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ニュース・フラッシュ

鉱種:
コバルト ニッケル リチウム
2021年11月5日 ジャカルタ 白鳥智裕

EU:欧州EVバッテリーのサプライチェーンギャップとインドネシア

 2021年10月31日付けインドメディアによると、仏Eramet社Corporate Affairs & Partenariatsの責任者であるPierre-Alain Gautier氏は、欧州は電気自動車用(EV)バッテリーのサプライチェーンに十分な投資を行っておらず、これにより計画中のギガファクトリーが重要な鉱物を不足させる可能性があると述べた。EVは、欧州連合(EU)の排出量削減計画の重要な柱となっている。欧州の自動車メーカーは、電池材料の生産に投資することには消極的で、代わりに調達契約を重視している。2025~2030年までにギガファクトリーが材料不足に陥る危険性がある。
 欧州では、鉱物を精製して正極材料を作ることができる化学メーカーが少ないことが、すでに制約となっている。ドイツのBASF社はそのような能力を持つ企業の1つであり、Eramet社と提携して、バッテリーサプライチェーンの最初の起点であるインドネシアのEramet社が運営する鉱山からのニッケルとコバルトの精製を研究している。
 2030年までに600GWの電池容量を目指す欧州のプロジェクトでは、約450千tのニッケルが必要になる。価格競争力のあるインドネシアの巨大なニッケル資源は、世界の電池需要の大部分をカバーすると予想される。
 また、欧州がインドネシアに依存することを心配する必要はないが、供給源へのアクセスを確保する必要があるとした。フィンランドで計画されているニッケル生産は、二酸化炭素排出量が少なく、その一部は仏自動車メーカーRenault社に割り当てられているが、供給量は約30千tに過ぎない。
 また、インドネシアで使用されている石炭火力発電による二酸化炭素排出量の問題は、加工技術の選択など、生産チェーンの中で相殺することができる。
 Eramet社のニッケル事業は歴史的にフランス領太平洋岸のニューカレドニアで行われているが、急増するバッテリー需要に対応するための能力が、高コストと社会的不安によって制限されている。
 Eramet社は、2030年にはEUのニッケル需要の20%、リチウム需要の25%、コバルト需要の12%をカバーできると見積もっている。

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