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ニュース・フラッシュ

鉱種:
アルミニウム/ボーキサイト
2021年12月2日 北京 塚田裕之

中国:インドネシア政府のボーキサイト輸出禁止政策の中国への影響

 2021年11月24日付け現地紙は、インドネシアのJoko大統領が、2022年にボーキサイト、2023年に銅、2024年に錫の輸出停止に言及した件(2021年11月26日付 ニュース・フラッシュ:Joko大統領、ボーキサイト及び銅の輸出停止に言及参照)に関し、中国への影響を報じた。
 米国地質調査所の統計によると、2020年、インドネシアのボーキサイト埋蔵量は12億tで世界第6位となっている。インドネシアはかつて世界最大のボーキサイト輸出国で、2013年のボーキサイト輸出量は世界輸出量の51%を占めた。2014年に鉱石の輸出を禁止したため、ボーキサイトの輸出量は大幅に下落、2015年には完全に停止した。2017年にインドネシア政府がボーキサイト輸出割当政策を公表した後、同国のボーキサイト鉱石輸出量はやや回復した。
 2014年以前、中国にとってインドネシアはボーキサイトの主な輸入先であり、その輸入量は中国のボーキサイト輸入量全体の70~80%を占めていた。しかし、インドネシアの鉱石禁輸後は、ギニアがインドネシアに代わり中国のボーキサイトの最大輸入先となった。
 2014年以降、嬴聯盟(SMB-Winning Consortium)がギニアでボーキサイトのプロジェクトを稼働開始したことを皮切りに、多くの中国企業がギニアでボーキサイトプロジェクトを開発している。中国資本がギニアで生産開始したボーキサイトプロジェクト6件の合計生産能力は10,150万t/年で、生産されたボーキサイト鉱石はほぼ全量を中国に輸出している。
 インドネシア政府のボーキサイト輸出再開後、中国のインドネシアからのボーキサイト輸入量は年々増加し、2021年1~10月は1,376万t、ボーキサイト輸入量の15%を占めた。同時に、ギニアからの鉱石輸入量も大幅に増え、2021年1~10月の輸入量は4,805.5万tで輸入量の53%を占め、その割合は年々拡大している。
 2014~2017年、インドネシアがボーキサイトの輸出を禁止したのは、海外企業によるインドネシアの資源への投資を誘致するためであった。この期間中、中国宏橋集団有限公司及び南山アルミ業は、インドネシア国内のボーキサイト企業と共同で、それぞれ生産能力100万tのアルミナ工場を建設した。しかし、鉱石輸出はインドネシアの主幹産業であったことから、2017年8月、インドネシア政府はボーキサイトの輸出を再開した。インドネシア政府は再び鉱石輸出停止に言及したが、それは「可能性」であり、今後実行するか否かは動向を見極める必要がある。
 現在、中国企業がギニアで保有するボーキサイト生産能力は1億tを上回った。2021年、中国のギニアからのボーキサイト輸入量は5,800万tに達する予想で、今後も大きく伸びる可能性がある中、インドネシア政府が再び鉱石の輸出を禁止した場合、ギニアの鉱石の生産能力余剰分でインドネシアの不足分を補完可能である。そのため、同政府が鉱石の輸出を禁止したとしても、中国のアルミナ生産にはほとんど影響がないとみられている。

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