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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ジスプロシウム ネオジム プラセオジム レアアース/希土類
2021年12月2日 北京 塚田裕之

中国:2021年第4四半期のレアアース市況見通し

 2021年11月25日付け現地紙は、2021年第4四半期のレアアース市場の動向を分析、予測した。
 それによると、2021年第4四半期、軽希土類の供給は逼迫し、2021年11月以降、レアアース価格は上昇基調にあることから、2021年12月には酸化プラセオジム、酸化ネオジム現物価格は高い水準で推移するとみられている。2021年11月下旬まで、中国国内の軽希土類(ジジム合金、ジジム酸化物、酸化プラセオジム、酸化ネオジム等)価格は大幅に上昇した。このうち、ジジム合金は102.5万元/tで、100万元/t台に乗り、月間の上昇幅は2割近くに達した。ジジム酸化物は84万元/tで、2021年11月中に17.07%も上昇した。酸化ネオジムは85.5万元/tで、2021年11月中の上昇幅は16.33%、酸化プラセオジムは86.5万元/tで、11月中の上昇幅は13.07%であった。
 国内の中・重希土価格もやや上昇しているが、その上昇幅は軽希土類には及ばない。2021年11月下旬まで、酸化ジスプロシウムは294.5万元/tで、月間の上昇幅は3.51%である。ジスプロシウム合金の291万元/tで、月間の上昇幅は2.46%である。金属ジスプロシウムは378万元/tで、月間の上昇幅は4.13%である。
 こうした国内のレアアース価格上昇は、政策による刺激や冬期の石炭供給不足等によるものである。中国工業情報化部は「電気モーターエネルギー効率高度化計画」を公表し、従来型工業電気モーターから省エネ希土類電気モーターに代替するよう奨励している。このため市場は強気で、在庫を保有する企業の多くは価格を公表せず、市場内の価格は高値基調にある。
 また、磁石材料需要は、国内家電用インバーターエアコン中のネオジム磁石(NdFeB)が普及し続け、永久磁石需要が大幅に伸びた。新エネルギー車の販売は通常どおりで、軽希土需要が依然高い。国の環境保護監督検査も続いていることから、レアアース価格は高値を継続している。
 そのほか、ミャンマーのレアアース供給の影響も受けている。レアアース鉱石の採掘は環境保全に負担を与えることから、戦略的資源に対する政策的管理や国内のレアアース鉱石採掘指標により採掘量が限定されているため、各メーカーは輸入に依存している。2021年、中国は7.6万tのレアアース鉱石を輸入、このうち米国から軽希土鉱石5.6万t、ミャンマーから中重希土鉱石1.4万tを輸入している。新型コロナウイルスの影響で、ミャンマーは2021年7月以降税関を閉鎖しているため、レアアース鉱石の供給が減少した。
 今後のレアアース市況は、風力発電機、インバーターエアコンなどで永久磁石のコスト比率が比較的高く、利ざやを縮めていることから、製品需要が減少すると原料価格にも影響する可能性がある。2021年第4四半期、軽希土類の酸化ジジムの現物供給は逼迫傾向が継続し、2021年12月の酸化ジジムの現物取引価格は78~87万元/tの高いレベルで推移する予想である。酸化ジジムの需給バランスは、使用済み風力発電機を全て回収・利用できれば、今後2~3年間の需給不足分を補うことが可能とみられる。現在、使用済み永久磁石電気モーターの回収業務は主に中国国内に集中し、この市場の成長見通しは明るい。中国国内または輸入した使用済み風力電気モーターからの永久磁石の分離量はわずか2,000t/月であり、ごく一部の大手スクラップメーカーが実施しているにすぎないことから、まだ競争相手の少ない未開拓の市場となっている。

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