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その他 ニッケル
2022年1月7日 ジャカルタ 白鳥智裕

フィリピン:合同外国会議所、露天掘りの解禁を歓迎

 2022年1月5日付け現地メディアによると、環境天然資源省(DENR)による露天掘り採掘方法の解禁に批判がある中、合同外国会議所(JFC)はDENRの決定を支持する声明を発表した。
 JFCは、フィリピンの米国商工会議所、オーストラリア・ニュージーランド商工会議所、カナダ商工会議所、日本商工会議所、韓国商工会議所、多国籍企業地域本部連盟で構成されている。
 カナダ商工会議所(CanCham)のJulian Payne会長は、「DENRの決定により、金属鉱業はフィリピン経済の長期的な成長に大きく貢献し、フィリピン人、特に貧困と失業率の高い遠隔地の鉱山労働者に利益をもたらすことができる。」と指摘する。また、大規模な採掘によって国や地方自治体から得られる税収は、環境保護や社会福祉プログラムなど、必要とされる政府活動の資金源となり得ると述べた。
 他方で、反鉱業団体Alyansa Tigil Minaなどの環境保護団体は、露天掘りの解禁は環境の破滅を招くだけだと非難している。最近では、Philippine Misereor Partnership社(PMPI)、Pambansang Lakas ng Kilusang Mamamalakaya ng Pilipinas(Pamalakaya)とAnakpawis Party-listが反対の意を示している。PMPIは、銅、金、銀、複合鉱石の露天掘りの禁止が解除されたことは、フィリピンの環境に対する打撃であると述べた。また、PamalakayaとAnakpawisは、独立系シンクタンクIbon Foundationのデータを引用し、鉱業は経済にほとんど寄与していないと述べた。
 両団体によると、2020年の国内総生産に占める鉱業の割合はわずか0.75%で、政府は15.5bPHP(フィリピンペソ)の税金、課徴金、ロイヤルティを徴収しただけで、これは徴税全体の0.07%に相当するとのこと。他方で、豊かな森林、生産性の高い農地、そして鉱山会社によって略奪されている海洋資源は、彼らの破壊的な操業から得られるわずかなロイヤルティや税金よりもはるかに大きな支出であるとした。
 露天掘り禁止令の解除は、DENRが収入や収益を得るために鉱業事業の開放を最優先する一方で、Duterte大統領の鉱業における環境保護の方針と相反していると言われている。

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