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ニュース・フラッシュ

鉱種:
レアアース/希土類
2022年1月25日 北京 塚田裕之

米:米国防総省の戦略的鉱物資源の在庫構築、武器業者の中国産レアアース購入禁止を謳った超党派法案が提出される

 2022年1月19日付け報道によると、米共和党のTom Cotton上院議員及び民主党のMark Kelly上院議員は、2022年に重要エネルギー及びレアアース確保に関する超党派の法案を提出した。
 この内容は、米国の国防産業の成長と同時に中国レアアースへの依存度を減らすため、2026年までに米国内武器業者のレアアース購入を禁止し、米国国防総省が戦略的鉱物資源の在庫を構築するというものだという。国防総省が数十億US$規模の戦闘機、ミサイル及び他の武器調達を活用し、米国の国防請負業者の中国依存を止め、米国のレアアース生産再開を支援することとなっている。
 米国地質調査所(USGS)によると、2018年の世界のレアアース埋蔵量は1.2億t(REO、以下同様)で、主に中国、ブラジル、ベトナム、米国、ロシア等に分散している。このうち中国は44百万t(世界埋蔵量の36.7%)、米国140万t(同1.2%)であるように、米国のレアアース資源も豊富で、米国は過去に主要レアアース生産・供給国であったが、現在稼働しているのはCA州のMt. Pass鉱山のみである。1952年から生産開始し、世界トップクラスの軽希土鉱石生産を誇っていたが、1993年、中国の軽希土生産量(主に白雲鄂博鉱山)がMt. Pass鉱山の生産量を超え、2002年に環境や経済的な理由で操業停止した。その後、2018年第1四半期に操業を再開した。
 こうした状況の中、米国はレアアース化合物及び金属の80%を中国から輸入している。近年米国は、WY州、NE州、TX州、AK州でレアアースの探査プロジェクトに力を入れているが、短期間で中国依存から脱却することは難しい。このため米国国防総省は、レアアースの在庫確保に、依然中国から一部のレアアースを購入する見込みだという。

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