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ニュース・フラッシュ

鉱種:
鉄鉱石
2022年1月25日 北京 塚田裕之

中国:2021年、鉄鉱石の輸入量が3.9%減少も輸入額が40%上昇

 2022年1月19日付け報道によると、2021年の中国の鉄鉱石輸入量は112,431.5万tで、対前年比3.9%(4,519.0万t)減少した。しかし、輸入額は対前年比39.6%(3,385.2億元)上昇し1.2兆元と、初めて1兆元を上回り、国内輸入額計17.4兆元のうちの7%を占めた。
 輸入量の下落は、粗鋼生産量の減少と密接に関連している。2021年、中国の鉄鋼業界は「生産能力削減、生産量規制」という二重規制を実施、その結果2021年の中国の粗鋼生産量は対前年比3.0%減の103,279万t、銑鉄生産量は同4.3%減の86,857万t、鋼材生産量は同0.6%減の133,667万tであった。このうち粗鋼生産量は、6年ぶりに対前年比で減少となった。
 一方で輸入額の上昇は、2021年前半の鉄鉱石価格の急騰が主な要因である。2021年5月、鉄鉱石の現物価格は一時1,600元/t超と高騰し、過去最高値を更新した。しかし、2021年後半から11月下旬にかけ急落、一時560元/tまで下落した。このことから、鉄鉱石の価格適正化及びその維持が中国鉄鋼業界にとって急務であるが、輸入依存度の高い鉄鉱石において、中国の鉄鋼業界には主導権がない。このため中国鉄鋼工業協会は、国家発展改革委員会、工業情報化部、自然資源部、生態環境部に、国内での新たな鉄鉱石開発、海外での新たな鉄鉱石権益確保、鉄鋼スクラップ資源開発を進め、鉄鉱石市場の発言権を強めるべく「基板計画」を申請した。
 各主要港の鉄鉱石在庫量が再び最高レベルに戻り、製鋼所の鉄鉱石在庫が2022年1月下旬に年度初めの最高値に達する予想となるなど、鉄鉱石供給量が依然需要を上回る見通しのため、鉄鉱石価格は更に下落の可能性がある。

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