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2022年1月31日 北京 塚田裕之

中国:2021年の風力発電新設設備容量、対前年比4割下落

 2022年1月25日付け報道によると、中国の2021年の風力発電新設設備容量は4,757万kWhと、対前年比約4割減に留まった。
 この主な原因の一つは、2020年は陸上風力発電プロジェクトに対する補助金交付の最後の年であったため、新設設備容量は7,167万kWhと2017~2019年の3年間の合計を超え過去最高となったが、2021年は補助金終了にあたり早急にプロジェクトをまとめる状況ではなくなったことが挙げられる。
 関係者の話によると、2021年は陸上風力発電市場の需要が縮小した訳ではなく、「エネルギー消費に対する二重規制」が風力発電の鋳造産業に影響を与えた結果、風力発電機メーカーに原料や部品が届かないといった納品延期が発生し、サプライチェーンが逼迫したという。多くの風力発電鋳造メーカーは中国の東部省区に配置している。例えば、江蘇省や浙江省にはハブや機械の台座を製造する企業があり、「エネルギー消費に対する二重規制」により段階的に影響を受けた。このサプライチェーンが十分整えば、新設設備容量は少なくともさらに10~20%伸びるという。
 一方、洋上風力発電は2021年、新設設備容量が対前年比452.29%増の1,690万kWhに達し、大きく伸びた。これにより中国の洋上風力発電の合計設備容量は2,638万千kWhに達し、英国を追い越し世界第1位となった。これも、2021年は洋上風力発電プロジェクトへの補助金支給の最終年だったためである。
 また、2022年の新設設備容量は4,500~5,000万kWhと予想されている。中国政府が提示した「双炭(ダブルカーボン)」目標によって、新エネルギーを主エネルギーとして後押しするため、風力発電にも数多くの刺激策が取られる見通しである。
 2020年10月、海外の風力エネルギー企業400社余りが「風力エネルギー北京宣言」を発表した。これによると、第14次5か年計画期間中に、新設設備容量平均を5,000万kWh/年以上とする。2021年10月、中国共産党・中央委員会と国務院は、2030年までに風力発電、太陽光発電の総設備容量を12億kWh以上にすると明記した。2021年12月、国家発展改革委員会・エネルギー局は、ゴビ砂漠や荒地を中心とした97.05GWhの大規模な風力発電・太陽光発電基地建設プロジェクトリスト(第1回分)を公表した。

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