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メキシコ:憲法改正に係る公聴会、リチウム国家独占をめぐり意見二分
2022年2月10日付け業界紙報道によると、電力再国有化やリチウム資源の国家独占に向けた憲法改正案に関し、連邦下院にて「主権的エネルギー転換と戦略分野としてのリチウム」をテーマに公聴会が開催された。メキシコ自動車工業会(AMIA)は、国営企業の裁量によってリチウムが採掘されることで、産業や価格に影響が及ぶことが最大の懸念としたほか、メキシコ経営者連盟(COPARMEX)は、政府の資金力に疑念を抱いていると述べたうえで、憲法とは別にリチウム規制関連の法律を制定し、他の戦略的鉱物(注:2021年10月に提出された憲法改正法案の中で、「放射性鉱物、リチウムおよびその他の鉱物を戦略鉱物に指定し、これらを対象とする鉱業権は付与しない。」と記載されているものの、「その他の鉱物」に関する詳細は記載されておらず、現時点で規制対象鉱物が不明確となっている)も含め国有化をせず、国は規制を担うべきとの意見を述べた。2020年にリチウム国有化の憲法改正法案を提出した与党のAlejandro Armenta上院議員は、国内に存在するリチウムの価値はメキシコが抱える対外債務の4.5倍の額に相当すると推測されることから、インフラへの投資に利用できる資金が確保できると説明したほか、メキシコは単なる資源採掘国となるわけにはいかず、現在は中国が大部分を占める(リチウムイオンバッテリーの)上流、中流、下流市場にメキシコも参入していくべきと主張した。また、国家規制改善委員会(CONAMER)は、資源自給強化のため、リチウムやその他資源は国家のものにすべきと意見した。
下院政策調整委員会は、公聴会開催を当初予定の計19回から計27回に拡大し、2022年2月28日までの継続が決定している。
