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鉱種:
2022年2月18日 北京 塚田裕之

中国:2022年、新エネルギー車市場拡大によりLIB用銅箔が供給不足の見通し

 2022年2月15日付け現地紙は、2022年、5G産業や新エネルギー車市場の拡大により、これらに使われる銅箔の供給不足が継続する可能性があり、銅箔メーカーが生産能力増強を急いでいると報じている。
 2022年春節(旧正月)後、5G産業、家庭用電化製品、新エネルギー車市場における需要増加により、銅箔価格は2022年2月14日現在で、中国国内市場の平均価格が10.7万元/t、最高値は10.9万元/tと、2021年の製品の最高価格に近づいている。特に、リチウムイオン電池(LIB)用銅箔の供給が需要に追いつかず、2022年の銅箔業界は生産拡大傾向との指摘がある。一方で、5G産業や新エネルギー産業が2021年急成長したため、関連材料の供給が逼迫した。2022年以降、銅箔企業は生産能力の増強を急いでいるが、供給不足が継続する可能性がある。なお、春節期間中でも操業を停止せず、生産を続けていたメーカーがあるという。
 中国電子材料産業協会銅箔部会の予想では、2022年に100.5千tの銅箔生産能力を新たに追加し、このうち85%の約85千tがLIB用銅箔である。だが、銅箔の生産プロセスは多様なため、増設プラントの建設から正式稼働までに3年は要する。このため短期間内で銅箔の供給不足を解消することは難しい。一方で、川下メーカーが材料の安定供給に危機感を抱いていることから、多くの川下メーカーは銅箔メーカーと協力関係や共同投資を望んでおり、銅箔業界を活況に押し上げたほか、現在建設中の増設プラントが稼働すれば、銅箔の供給が過剰に転じる可能性もある。
 更に、技術発展に伴い、銅箔の品質も向上している。LIB用銅箔の厚さはLIBのエネルギー密度と密接な関係があり、2017年以降、LIB用銅箔の厚さは8µmから6µmに、更に現在の4.5µmまでになっている。だが、銅箔がより薄いほど、生産はより難しくなる。現在、銅箔大手メーカーが4.5µmの銅箔を大量生産すると宣言しているが、競争力を保つには、各メーカーが自身の技術を高めることも必要である。

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