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ニュース・フラッシュ

鉱種:
リチウム
2022年2月21日 バンクーバー 佐藤すみれ

メキシコ:与党上院議員、連邦経済競争委員会を糾弾

 2022年2月16日、与党Morena(国家再生運動)に所属するAlejandro Armenta上院議員は、中Ganfeng Lithium(贛峰リチウム業)社による英Bacanora Lithium社の買収に関連し、連邦経済競争委員会(COFECE)が下した判断が不当であるとし、検察に告訴した旨を発表した。COFECEは2021年12月、Ganfeng Lithium社によるBacanora Lithium社買収に対し、競争法上の問題が無いとし承認した。これに対しArmenta上院議員は、当局に対する通告なしに鉱業権変更に関連する承認が行われたことを過度の寛容であるとし、この行為が国家反逆罪にあたると非難した。また、Sonoraリチウムプロジェクトからは炭酸リチウム約250百万tの生産が見込まれているが、約9~10bMXN(メキシコペソ)/年の収益が試算されており、これによって国内の治安、保健、教育、インフラ分野に対する投資が可能とされることから、国家資源の保護のため大統領と協働すると主張した(大統領の発言に関しては2022年2月7日付 ニュース・フラッシュ:AMLO大統領、リチウム開発に際し外国企業排除の姿勢を強める参照)。同じくMorena所属のCesar Cravioto上院議員は、COFECEが鉱業権をある国から他国へ売却することを認めたのは完全に違法であり、全くの非愛国的な行為であると非難した。
 これに対しCOFECEは同日付けで声明を発表し、同委員会が有する権限の範囲内である市場競争への悪影響という観点から裁定する義務を負うが、本件に対する承認は、法律に基づく他の許可や他の当局の権限を損なうことなくなされたものである、と説明した。また、鉱業法の下外国企業による採掘が認められているほか、鉱業権の付与や取り消しの決定権は経済省にあり、COFECEにはこのような判断を下す権限はない旨が明記されている。

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