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中国:ロシア・ウクライナ情勢が一転し、過去最高値を更新する金属はどの金属か
ロシアは、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、プラナチの世界的な主要輸出国である。
ロシア・ウクライナ情勢に端を発した経済制裁は、アルミニウムやニッケルなどロシアの様々な金属の輸出取引に直接的な影響を及ぼす可能性がある。
申万宏源レポートの統計値によると、ロシアのアルミニウム、ニッケル、パラジウム、プラチナの輸出貿易量の世界全体に占める割合は、それぞれ12%、7%、26%、4%である。また欧州市場に占める割合は、それぞれ16%、42%、45%、36%である。マグネシウムインゴットの生産量は、世界生産の約8%を占める。
同レポートによると、今回のロシア・ウクライナ情勢の変化が、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、プラチナなどの非鉄金属の世界的な供給に影響を与え、関連製品の価格を押し上げると指摘した。
ロンドン金属取引所(LME)のアルミニウム価格は2022年2月24日、2008年の最高値を上回り、3,412US$/tに達し、最大4.75%の上昇で過去最高となった。
ニッケル価格も同様に2022年の最高値を更新した。LMEのニッケルの最高値は2月24日の約25,400US$/tであり、最大で4.01%、1年間で20%以上の上昇となった。
今回の地政学的な対立は2月21日に激化した。同日夜、プーチン大統領は大統領令に署名し、ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」及び「ルガンスク人民共和国」を承認した。また、地域の指導者らと友好協力相互支援協定に署名し、平和維持部隊を派遣した。
米Biden大統領は2月22日、ロシアの大手金融機関2社に対する制裁を発表した。その後、多くの国がロシアに対する制裁を次々と発表した。
プーチン大統領は2月24日、ウクライナ情勢に関する緊急テレビ演説を行い、ドンバス地域での特別軍事作戦の実施を決定したと述べた。
今回の米国、欧州、英国、日本などによる対ロシア制裁は、アルミニウムをはじめとする金属業界で2018年の再来となる可能性がある。
米国は2018年4月6日、ロシアRusal社に対する制裁を発表した。その後、ロンドン先物取引所では、Rusal社の一次アルミ地金に対する取引を一時的に停止し、GlencoreのIvan Glasenberg CEOはRusal社の取締役会から離脱した。またRio TintoはRusal社との一部の契約について、不可抗力のため契約を履行することができないと宣言した。これらの出来事により、アルミニウムの国際価格は11営業日で30%以上高騰し、7年ぶりに最高値を更新した。
米国政府は深刻なアルミニウム不足により、米国内の川下の製造企業のコストが高騰したため、やむを得ずRusal社に対する制裁を徐々に低減し、最終的に解除せざるを得なくなった。
Rusal社は世界最大のアルミニウム生産企業の1社であり、電解アルミニウムの年間生産能力は4百万tを超えており、世界の電解アルミニウム総生産能力の6%以上を占めている。
ロシア税関のデータによると、2021年1~11月、ロシアのアルミニウム輸出量は319.02万t、輸出額は6.3496bUS$で、それぞれ前年同期比31%及び66%増加した。
華泰証券によると、2021年下半期、欧州の風力発電及び原子力発電の生産量が不足し、天然ガスの供給も不足し、エネルギー価格が何度も高騰し、欧州のアルミ製錬企業が減産したと指摘した。
2022年以降も、欧州のエネルギー危機は続いており、既に85万tの電解アルミニウムの生産能力が影響を受け、世界の総生産能力の約1.1%を占めている。
ニッケルも同様な影響を受けている。華泰証券のデータによると、2021年のロシアにおける一次ニッケル生産量は約14.6万tである。そのうち、精製ニッケルの生産量は約12.1万tであり、世界の一次ニッケル総生産の約5%を占めている。
ロシア税関のデータによると、2021年1~11月、ロシアのニッケル輸出量は4.51万t、輸出額は789mUS$で、それぞれ前年同期比57.41%減及び43%減であった。
中国税関のデータによると、2021年に中国がロシアから輸入した精製ニッケルは4.6万tで、中国の精製ニッケル輸入総量の約18%を占め、前年比11%下落した。
界面新聞の記者によると、ロシア製ニッケルは、上海ニッケル取引所の主な取引製品の一つであるため、ロシア製ニッケル輸出が影響を受ければ、中国国内市場でロシア製ニッケルの供給が逼迫し、上海ニッケル価格も引き上げられる可能性がある。
Genesis Futures社は別の視点により、過去数年間、ロシアのニッケルは欧州や中国への輸出割合は約30~40%であり、米国への輸出割合はわずか5%であると説明した。米国が欧州と連携し、ロシアへ制裁を加えれば、中国はロシアのニッケル輸出の最初の選択肢となり、ある程度、中国国内の三元系前駆体の好調な需要とリンクすることができる。
アルミニウムやニッケルに加えて、パラジウムや金などの貴金属もその恩恵を受けることになる。その中でもパラジウムは、すべての貴金属の中で最も著名な存在であり、ロシアのパラジウムは世界の輸出取引の26%を占めている。
金属への直接的な影響に加え、ロシア・ウクライナの情勢変動によるエネルギー供給懸念も、亜鉛や工業用シリコン等のようなエネルギー多消費型製品の価格を下支えすることになる。
申万宏源によると、ドイツが「Nord Stream 2」パイプラインへの認証を一時停止したことで、市場は、欧州の天然ガス供給に対する懸念を誘発し、天然ガス及び電力価格は高騰するだろうと指摘した。
欧州はエネルギー多消費型製品である電解アルミニウム、亜鉛、工業用シリコンなどの主な生産地であり、それぞれ世界の総生産能力の約11%、15%、6%を占めている。欧州のエネルギー問題が継続すれば、関連製錬企業の電力コストが拡大し、関連製品の供給に影響を与え、価格を押し上げることになる。


