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ロシア・ウクライナ:欧米のチタン市場、欧米諸国のサプライヤーを探し始める
2022年2月25日付けの地元報道等によると、ロシアとウクライナの緊張関係は、既に2022年2月半ばからチタン市場を動揺させている。消費者は、チタン製品の重要な供給元である両国の企業との長期契約が履行されるという確信を失った。
紛争のリスクを考慮し、英国のフェロチタン生産企業にアプローチする消費者が増えており、欧米諸国産の金属価格は高まる一方である。多くの市場参加者は、今後数週間で価格が上昇する可能性があると見ている。彼らによると、鉄鋼メーカーは減産から脱することを検討しており、フェロチタン市場の価格は徐々に戻る兆しがある。つまり、自動車生産に深刻な影響を与えた半導体チップと自動車製造用電子部品の不足は、わずかながら緩和され始めた。
紛争の両当事者であるロシアとウクライナが、チタン原料、金属、合金の世界的な生産国であるため、紛争激化による市場不安が高まっている。ロシアのVSMPO-Avisma社は世界有数のメーカー(年産能力最大34千t)であり、同社のチタン製品の供給はBoeing社及びAirbus社にとってほぼ不可欠である。専門家は、「Boeing社もAirbus社もVSMPO-Avisma社に依存しており、政治情勢から、既に競合他社に接近し始めている。」と指摘している。
このため、日本の東邦チタニウム、米国のATI Metals社、RTI International Metals社がチタン製品の代替サプライヤーになる可能性が高い。欧州の航空宇宙企業であるSafran社及びAirbus社は、チタン等の重要かつ特殊な金属のサプライチェーンを見直そうとしているが、VSMPO-Avisma社の市場シェアと製品ポートフォリオが大きすぎるため、まだ同社から完全に離れることは極めて困難である。
