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2022年3月17日 ヨハネスブルグ 原田武

南ア:2022年予算案にて炭素税のフェーズ1の期間が延長

 2022年2月23日付け、南アEnoch-Godongwana財務大臣から発表された2022年度予算案において、炭素税に関するいくつかの変更が盛り込まれた。同予算案では、2022年の炭素税は、2021年の134ZAR/CO2eから144ZAR/CO2e(南ア・ランド:9.5US$相当)に上昇する。南アで炭素税が導入された2019年当初は120ZAR/CO2eであり、毎年消費者物価指数(CIP)+2%の割合で上昇してきており、それに沿った順当な値上げであった。一方で、2019~2022年(フェーズ1)は制度の導入段階として、各種の控除が炭素税法の中に盛り込まれており、実効税率は7~58ZAR/tCO2e程度であるとされている。控除には60%の基本控除や、産業プロセスや輸出入の各種条件を設定した控除、カーボンオフセットなどがあり、再生可能エネルギーの発電事業者特有の控除もある。年々税率は上がるものの、多くの控除もある状況である。フェーズ2以降には控除が縮小されるとしていたが、今回の予算案の中では、フェーズ1が2025年12月31日まで延長されることになり、これまでの控除が継続されることになる。ただ、これまで通り税率の上昇は年々段階的に行われ、控除の条件設定の見直しも検討される。
 2026年からのフェーズ2になれば、基本的な控除も縮小するとされており、税率も段階的に上昇し2030年までには453ZAR/CO2e(現在の為替で30US$相当)に達する見込み。予算案演説の中で、財務大臣は「まだ排出量を削減していない全ての企業に対して、今後10年間で段階的に排出量を削減する計画を策定するように要請する。」と述べた。
 メディアによると、政府は、国際的な気候変動に関する公約を満たすべく、温室効果ガス排出量の削減に真剣に取組んでおり、炭素税をそのための主要なメカニズムとして認識している。税率の引き上げと特定のインセンティブを縮小していくことで、炭素税制度を強化していく政府の意向は明らかであるとした。

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