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ニュース・フラッシュ

鉱種:
カリウム
2022年3月17日 北京 塚田裕之

中国:国内のカリウム肥料価格が上昇、ウクライナ侵攻で更に高騰の可能性

 2022年3月10日、中国農資流通網が発表したデータによると、2022年3月7日の中国の塩化カリウム卸売価格指数は4,139.64ポイントで、対前日比7.18%上昇、対前年同期比90.54%上昇した。また中国農資流通協会によると、2022年2月28日~3月4日の1週間で、浙江、江西、山東、広東、四川各省の国産塩化カリウム卸売価格は、前週より50~250元/t上昇した。黒竜江、山東、湖南、広東、江西各省等の輸入価格は、前週より50~300元/t上昇した。
 カリウム肥料価格の主な上昇理由は、春の耕作期間中にカリウム肥料の需要が増加する一方で、供給が限定的であり、また海外価格が大きく高騰することである。春の耕作需要増加に伴い、下流の複合肥料企業全体の稼働率が好調で、稼働率4割以上を保っている。塩化カリウム市場の調達量も好調である。
 また、ロシアのウクライナ侵攻の影響で、輸入カリウムは港の入荷量が減少し、輸入価格も高騰した。中国農資流通協会によると、2022年2月28日~3月4日のロシア産62%カリウムの見積価格は4,600~4,700元/tで、前週より5.6~6.8%上昇した。粒子状カリウムは4,600~4,700元/tで、前週より2.2~4.4%上昇した。
 中国はカリウム肥料の輸入大国であり、塩化カリウムは肥料の輸入量に占める割合が大きい。中国税関によると、2021年の中国の塩化カリウムの輸入量は757万tで、同年の肥料輸入量909万tの8割以上を占めた。肥料アナリストの代莉氏は、中国は毎年(需要量のうち)50%以上のカリウム肥料を輸入し、このうち約200万tがロシアまたはベラルーシからの輸入と述べた。世界のカリウム肥料生産国は、主に米国、カナダ、ロシア、ベラルーシと一部の国に集中している。
 2022年3月10日、ロシアのManturov産業大臣は、ロシアが化学肥料の輸出を一時的に停止すると発表した。ロシア対外貿易銀行(VTB Capital)のアナリストによると、輸出の一時停止は、欧州、アジア、ラテンアメリカを含むすべての主要市場に影響を与えるとの見方を示した。化学肥料の供給が中断すると、世界的に価格は高騰する可能性がある。
 またEUは、ベラルーシに対し新たな制裁を加えると宣言した。その中にカリウム肥料の輸出制限、またはベラルーシのカリウム肥料の輸出規制範囲を拡大することが含まれた。
 中国農資流通網によると、ロシアとベラルーシのカリウム肥料輸出量は世界の輸出量の40%を占めている。ロシアのウクライナ侵攻により、世界的にカリウム肥料が供給不足となり、海外のカリウム肥料価格は全面的に高騰しており、今後も塩化カリウムは高値が続く可能性がある。

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