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2022年3月24日 メキシコ 佐藤すみれ

中南米:中米・カリブ地域で高まりを見せる鉱業部門の政治的リスク

 2022年3月21日付け業界紙は、中米において、新規プロジェクトの停止やロイヤルティの大幅な引き上げなどをはじめとする、政治的リスクの高まりについて報じた。以下は国別の概要である。

・ホンジュラス
 エネルギー天然資源環境鉱山省は2022年2月、国内全土で露天掘りを禁じるほか、鉱業モラトリアムを講じることにより、金属および非金属採掘に係る鉱業コンセッションや各種許可を見直すこと等を宣言する声明を発表した。その後、同省はこれらの措置が既存の鉱業活動には適用されない旨を説明した。同国にSan Andrés金鉱山を保有する英領ヴァージン諸島Aura Minerals社の声明によると、政府の目的は無秩序な採掘活動に対する監督であり、すでに許可を得ている企業は活動の継続が可能であるとの見解が示された。

・グアテマラ
 野党種の運動党(SEMILLA)は2022年3月17日、金属資源の探査、探鉱及び開発に係るモラトリアム法案を議会に提出した。本法案は、5km2以上の鉱区に対し付与された鉱業権を対象に、10年間の鉱業活動を禁止することや、鉱業法改正により、ロイヤルティ率を51%に引き上げること等が含まれている。SEMILLA所属議員は、鉱業が国にとって「悪質事業」であると主張し、現在の法的枠組みが国有財産の浪費や、政治家、公務員、経営者による富の独占をもたらしていると非難した。

・パナマ
 ロイヤルティの大幅な引き上げの可能性が最大の懸念とされており、これを目的とする法案はすでに2021年に初回の審議が行われた。パナマ政府および加First Quantum Minerals社との間では、Cobre Panamá銅鉱山操業に係る契約再交渉が行われた結果、2022年1月に合意に至り、現在政府は新契約書の作成を進めている。ロイヤルティは従来の2%から新たに12~16%に引き上げられることで合意されている。また、業界紙は、パナマ職業団体連合会(FEDAP)が2022年3月16日、金属鉱業禁止法の草案を立法機関である市民参加局に提出したことを報じた。同連合会は、採掘権の一部がメソアメリカ生物回廊内に位置し、鉱業が広大な生物多様性地域に影響を与える危険性等を主張している。

・ドミニカ共和国
 現政権は鉱業活動の再活性化を目指す一方で、加Barrick Gold社が1,300mUS$を投じるPueblo Viejo金鉱山の尾鉱ダム拡張計画は、市民の反対運動に直面し先行き不透明の状況にある。

・ニカラグア
 2021年11月にOrtega大統領が4期連続当選を果たし権威主義を強める中、同国の鉱業政策は比較的安定しており、各社が投資額を増加させ、プロジェクト成長の新たな波が生まれている特異なケースとなっている。

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