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インドネシア:IRRES、中国によるインドネシアのニッケル製錬所への投資と違法行為を訴え
2022年3月2日付け現地メディアによると、IREES(Indonesian Resources Studies)のエグゼクティブ・ディレクターであるMarwan Batubara氏は、2022年2月3日のウェビナーで、ニッケル製錬所に関して、投資を口実に中国企業にうまく利用されているが、実際には一銭も国内に入ってこないとした。
Marwan氏によると、中国企業は各地にニッケル加工工場(製錬所)を建設しているが、道具や設備の労働者はすべて中国から持ち込んだものである。そのため、同氏は、「インドネシアはニッケルの産業廃棄物を得るだけである。」と主張する。
また同氏によると、中国企業は、高品位のニッケル鉱石のみを受け取り、採掘によって発生したリモナイト(低品位のニッケル鉱石)の形の廃棄物の2/3は盛り土になる。それらが、災害や環境破壊の引き金になり得るとする。
もう一つの重要な問題は、外国人労働者の活用である。現地の労働者に必要なスキルがないことを口実に、中国から労働者を輸入している。しかし、彼らが連れてくる労働者は、実はインドネシアの法規制に則ったものではない。
中国語のメディアで募集しているのは、警備員、溶接工、重機オペレーター、運転手など、インドネシアに多くいる未熟練労働者がほとんどであるとした。また、Marwan氏は、PT. Virtue Dragon Nickel Industry(VDNI)及びPT. Obsidian Stainless Steel(OSS)の労働者募集から、提供された給与が地元の労働者の給与と比較して非常に高いことを明らかにした。例えば、警備員の仕事は10,000元(約22,800kIDR:インドネシアルピア)に相当する給与が提示されている。同じ責任と仕事量で働いているが、地元の労働者は現地の最低賃金に応じた給料しか得られていない。
この問題は、労働法や入国管理法に違反しているだけでなく、インドネシアで施行されている法律を欺いている。また、雇用の違法行為を隠蔽するために、中国人労働者の給与は出身国の中国の家族に支払われ、労働者のお金がインドネシアで流通しないシステムになっており、PPH(所得税)もかかっていない。
IRESSは、脱税とDKPTKA(外国人労働者雇用補償基金)による国家の潜在的損失は、外国人労働者1人当たり年間約37.92mIDRと試算している。中国人労働者の数が5,000人とすると、国家への潜在的な損失は年間189bIDRになる。製錬所の数を20(1か所当たり5000中国人労働者)と仮定すれば、国家への潜在的な損失は年間3,780bIDRになる。
Marwan氏は、VDNIとOSS製錬所で起きたことは、インドネシアで活動する他の様々な中国投資の手口として疑われるべきであり、徹底した監査が必要であるとした。
