ニュース・フラッシュ
- 鉱種:
- 亜鉛
中国:2022年1~2月、中国の亜鉛精鉱は増加も地金・合金輸入量は減少
2022年3月24日付け報道によると、最新の税関統計では、2022年1~2月、中国の亜鉛精鉱の輸入量は対前年同期比2.3%増の69.4万t(マテリアル量)、このうち2022年1月の輸入量は対前年同月比4.4%増の42.8万t、対前月比78.3%増加した。2022年2月の輸入量は対前年同月比1.0%減の26.5万t、対前月比38.1%減であった。
国別でみると、豪州、ペルー、南アが引き続き中国の亜鉛精鉱の主な供給源である。このうち2022年1~2月の輸入量は、豪州が対前年同期比13.9%減の18.3万t、ペルーが同36.2%減の10.1万t、南アが対前年同期比103.2%増の7.2万tであった。また、カザフスタンからの輸入量が同383.6%伸びており、伸び率が大きい。一方、エリトリア、パキスタン、モンゴルからの輸入量はそれぞれ同1.5万t、1.2万t、1.1万t減少で、下げ幅はそれぞれ30.4%、22.9%、50.9%であった。
現在、エネルギー価格の高騰が欧州の製錬生産量に影響を与え、亜鉛精鉱の供給が減少していることから、世界は中国からの調達に一層依存している。一方、2021年12月末以降、精鉱輸入の損失額が2,000元/tに上ったことで製錬所が全体的に原料調達への意欲に欠け、港湾在庫が蓄積し、多くの国からの精鉱輸入が減少した。
一方で、南アGamsberg鉱山は2020年末~2021年1月に事故のため閉鎖、カザフスタンでは2021年第1四半期に新型コロナウイルス(以下、コロナ)肺炎感染が精鉱の取引に影響を与えたため、2022年1~2月のこれら2か国からの精鉱輸入量は前年同期より大幅に増加した。また、中国国内のコロナ感染状況が深刻化し、北部2か所の港における鉱石輸送に影響を与えたため、モンゴルからの精鉱輸入は大きく減少した。
中国の亜鉛地金及び亜鉛合金の取引について、2022年1~2月、亜鉛地金輸入量は対前年同期比76.5%減の2.1万tである。このうち、2022年1月の輸入量は対前年同月比59.8%減の1.5万t、対前月比45.2%増加した。2022年2月の輸入量は対前年同月比89.0%減の0.6万t、対前月比63.3%減少で、数年ぶりの低水準を更新した。2022年1~2月の亜鉛合金輸入量は対前年同期比0.7%減の1.0万t、このうち2022年1月の輸入量は対前年同月比105.9%増の0.6万t、対前月比15.5%減であった。2022年2月の輸入量は対前年同月比0.7%減の0.4万t、対前月比41.6%減であった。
国別でみると、2022年1~2月の亜鉛地金は主に豪州、アラブ首長国連邦(UAE)、カザフスタン及び韓国から輸入しており、これらの国からの輸入量は全体の83.8%を占めた。一部の国を除いて、大半の国からの亜鉛地金輸入量は減少した。その原因は以下のとおり。
(1)2022年1~2月、亜鉛地金及び亜鉛合金輸入における平均損失額は2,020元/tで、2021年同期の121元/tと比べ16倍近く拡大した。ただ、輸入亜鉛地金は、一部の強い需要を満たしている。
(2)2022年1~2月、中国の春節や冬季五輪の開催時期に当たり、消費閑散期に入ったことで消費実績が海外より軟調であり、需要量が減少した。
(3)海外の構造的な地金不足により、亜鉛地金の輸出先にやや変化が生じた。
コロナ感染状況の悪化で、国内外の入札価格の回復が緩やかであり、鉱石輸入時の損失が大きい。中国国内の消費改善が遅れているため、亜鉛精鉱や亜鉛地金の輸入が回復するには依然時間がかかり、低水準が続く可能性が予想される。
