ニュース・フラッシュ
- 鉱種:
- レアアース/希土類
ミャンマー:Kachin州でのレアアース違法採掘及び環境への悪影響
2022年3月10日付けRadio Free Asiaによると、ミャンマーのKachin州では、中国への輸出を目的としたレアアース鉱物の無秩序な採掘が取り返しのつかないほど環境を破壊しているとして、同州北部の地元監視団が語った。
中国の国家税務総局によると、ミャンマーは2017年5月から2021年10月の間に1bUS$以上の価値のある140千t以上のレアアース鉱石を中国に輸出している。
2021年2月にミャンマー軍が民主的に選出されたミャンマー政府から国の支配権を奪って以来、スマートフォンや電気自動車(EV)などのハイテク製品に使用されるレアアースの中国への輸出が増加していると、地元の活動家グループはRFAに語った。
Kachin州の住民によると、レアアースは数年前に州東部MyitkyinaのChi-pweタウンシップに位置するPangwa地区で発見されたという。軍部のクーデター以降、鉱山に関する規制はなくなり、軍とその取引先がそこの鉱山を完全に支配した。また、鉱山近隣に住む住民によると、2021年2月のクーデターでミャンマー選出の政府が倒された後、南部からこの地域に来る人が大幅に増えている。
Kachin州と中国の国境は、2020年初頭、COVID-19の大流行で一時的に閉鎖されたが、2021年11月に再開された。閉鎖中、ミャンマーで採掘されたレアアース鉱石3~4千tが国境に取り残されていることが明らかになった。
閉鎖が解除された12月2日、広州に拠点を置く中国国営鉱業会社のマネージャーによれば、鉱石はすべて江西省にトラックで運ばれたとして中国にて報道された。
中国は世界最大のレアアース鉱物の生産国だが、隣国のミャンマーから鉱石を購入することによって、安価な労働力を搾取している。
Pangwa地区の環境活動家によれば、Kachin州での無秩序な採掘が多くの地元の森林や山を破壊してきたと語った。また、主な事業主は中国人とし、ミャンマー国内にいる彼らの関係者が、地元の地主と土地の使用について取り決めをしている模様。更に、鉱山労働者は通常、地面を整地し、穴を掘る。そして、その穴に化学処理した液体を流し込み、それが終わると、穴を塞がないから、雨が降ると土砂崩れが起きるとされている。
ミャンマーの活動家団体Justice MyanmarのYadanar Maung氏は、レアアースの国際的な需要の高まりはミャンマーの違法採掘と密接な関係があり、先進国がEVや風力タービンなどの技術に移行するにつれ、需要が増加していると指摘した。
