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ニュース・フラッシュ

鉱種:
リチウム
2022年4月4日 バンクーバー 佐藤すみれ

メキシコ:SGMによるリチウム探鉱が進行中も、技術面、探鉱開発期間の課題が浮き彫りに

 2022年3月31日付け報道によると、2021年10月に経済省所管のメキシコ地質サービス庁(SGM)により発表されたリチウム探鉱計画に関し、同庁が「リチウム概論」をテーマに行った講演の中で現在の進捗状況が明らかとなった。以下は専門誌が報じた概要である。
 現在、SGMは55.2mMXN(メキシコペソ:約2.7mUS$)を投じ全国で探鉱を進めており、Flor de Maria Harp SGM長官が述べたところによると、現在までに約1,900件のサンプルが採取済みで、うち3州計8件の地域において潜在性が確認され、そのうちのSan SebastiánおよびAmonitas地域における追加評価の実施が決定された。しかしながらHarp長官は、今回の調査期間が計8か月と非常に短く、評価にはさらなる期間がかかるとされるほか、潜在性地域の開発ついて合理的な見解を得るには10~15年程度が必要とみられていると語った。また、高い潜在性が確認されたサンプルの大多数が湖沼性堆積物の粘土層で採取されたものであり、塩湖からのリチウム抽出と比較し技術およびコストの面で課題が存在する。SGMは粘土鉱床からのリチウム採取プロセスについて明確化させるため、2022年5月以降作業に着手する計画であるが、Herp長官は、将来的に抽出プラント建設には数百万US$の費用が必要であるほか、建設には3~4年を要するとの見込みを述べた。
 メキシコ政府は憲法改正を通じてリチウム採掘の独占化を目指すが、専門誌は、政府が技術面と開発期間の2つの問題に直面する可能性を指摘する。また、現在開発中のSonora Lithiumプロジェクトに関し、英Bacanora Lithium社の2021年報告書によると、生産開始時期はこれまで予定されていた2023年第2四半期から2024年第2四半期へ延期されることとなり、国内における炭酸リチウムの早期生産開始への期待が遠ざかった。

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