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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ニッケル
2022年4月12日 バンクーバー 佐藤すみれ

グアテマラ:Escobal銀鉱山操業に係る協議進展も、社会面、政治面で課題が継続

 2022年4月8日付け業界紙は、Fénixニッケル鉱山に続き、Escobal銀鉱山においても先住民協議に進展が見られる一方で、引き続き存在する社会的および政治的課題を報じた。グアテマラ当局は、先住民族との協議を早期に終了させ、同国の経済復興のため鉱山の操業再開に道を開きたいとしている。2021年末にはFénixニッケル鉱山操業に係る住民協議が完了し、2022年1月に同鉱山は操業再開に至った。エネルギー鉱山省(MEM)の発表によると、2017年以降操業停止にあるEscobal銀鉱山については協議が数か月以内に完了する見込みであるほか、Tambor金プロジェクトについても2022年内に完了させることが目標とされており、同省はFénix鉱山の協議プロセスを成功例として、他の住民協議のモデルにすることを目標としている。
 一方で、MEMの肯定的見通しに対し、各鉱山企業のコメントには温度差が生じている。Escobal銀鉱山を保有する加Pan American Silver社は業界紙に対し、協議完了時期および、生産再開時期のスケジュールは現時点で存在していないと回答した。Tambor金プロジェクトを保有する米Kappes, Cassiday & Associates社は、同プロジェクトの開発中止命令を受けグアテマラ政府に対し訴訟中であるが、詳細に関しコメントを控えた。また、2022年2月には、加Volcanic Gold Mines社が探鉱を実施中のHolly金・銀プロジェクトにおいて、数人の集団による爆撃事件が発生し、掘削リグに甚大なダメージが生じた。同社によると、2021年末以降、採掘の影響に関する偽情報を広める小規模団体が存在しているとのことである。同社は、「本件は非常に残念な事件であり、近い将来、当社およびHolly鉱区における探鉱に影響を与えることは確かである。」とコメントした。
 Giammattei政権は鉱業に対する強い支持を表明しており、MEMは適切な政策枠組みを取り入れることで、鉱業部門がGDPに占める割合を現在の0.5%から5%に拡大可能と見込む。しかしながら、2022年3月には野党種の運動党(SEMILLA)が、金属資源に係るモラトリアム法案を議会に提出していることからも、地域社会と同様に、政府内においても対立が生じていることが課題とみられている。

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