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ニュース・フラッシュ

鉱種:
モリブデン
2022年4月25日 北京 忽滑谷諒子

中国:最近の新型コロナウイルスが錫産業に与える影響

 2022年3月下旬以降、中国国内では新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染拡大が続いており、錫産業の中心地である上海とその周辺省・市の感染動向は、錫産業サプライチェーンに大きな影響を与えている。2022年4月20日に発表された安泰科の調査結果によれば、2022年3月28日の上海市の段階的都市封鎖措置が取られてから現在に至るまで、錫の生産、販売活動はほぼ停滞状態にあるという。
 安徽省に集中する製錬所は、周辺の江蘇省、浙江省、上海市一帯から原料調達を行うため、物流の停滞により在庫の確保が困難になっているという。錫化学工業等の川下産業も生産停止に追い込まれ、受注が出来ず発注もキャンセルされ、多数の事業者が厳しい経営状況に陥っているという。また、シンガポールや東南アジア諸国に発注が振り替えられている実態が明らかになった。
 こうした最近の状況は錫価格にも反映され、2022年3月21日以降現在までの間、上海取引所の錫価格は変動を続け、海外の取引市場の錫価格もこの期間中3.5%上昇しているという。
 政府は、混乱する国内の物流とサプライチェーンについて、安定化させる必要があるとの認識を示し、2022年4月18日、「全国統一通行証」、主要サプライチェーンの「ホワイトリスト」制度を確立するなど、貨物輸送を円滑にし、産業を循環させる方針を示している。

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