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ボリビア・アルゼンチン・チリ・メキシコ:フォーラム「ラテンアメリカからのリチウムの展望」開催
2022年4月13日、フォーラム「ラテンアメリカからのリチウムの展望(Perspectivas del Litio desde América Latina)」がオンラインで開催された。ボリビアのMolina炭化水素エネルギー大臣は、再生可能エネルギーとエレクトロモビリティに向けたエネルギー転換は取り組むべき重要な課題であることと、今日の地政学的紛争の拡大においてラテンアメリカ諸国がエネルギー転換の中心的な場所であることを各国が認識しており、この考えに沿って、ボリビア、アルゼンチン、チリ、メキシコはリチウムに関する対話をハイレベルな国際会議に格上げし、今年開催することで合意したと発表した。
また、本フォーラムでは、ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)、ボリビア、アルゼンチン、チリ、メキシコの代表者がプレゼンテーションを行い、リチウムはエネルギー転換と気候変動抑制に貢献する戦略的資源であるとの意見が一致した。さらに、世界のリチウム埋蔵の半分以上を占めるこれらの4か国がリチウム産業化を進め経済の柱とするための、革新的で環境に優しい戦略を策定することの重要性を強調した。
〇ECLAC・Jeannette Sánchez Zurita天然資源部局長「ラテンアメリカにおけるリチウムの動向と展望(Tendencias y Perspectivas del Litio en América Latina)」
エネルギー転換と電気自動車(EV)生産の増加により、より多くのリチウムが必要になるため、リチウム埋蔵量が多い国にとって、革新的でより持続可能な抽出プロセスが必要である。そして、世界の技術的・地政学的な不確実性を考慮しながら、リチウムを取り巻く産業政策と、開発と産業化の両方における地域の統合と補完の可能性を追究し、革新する必要がある。
〇チリMarcela Hernando鉱業大臣「チリのリチウム:現状と展望(Litio en Chile: Actualidad y Perspectivas)」
チリにある63の塩水環境のうち、18の塩湖にポテンシャルがあり、Atacama塩湖が最も重要であり調査されている。
国の利益のためにリチウムを利用するには、塩湖の特性とその社会的・環境的持続可能性の理解不足、規制と管理の欠如、徴税の不十分さ、価値生成の低さ等の複数の困難を克服する必要がある。
Boric新政権は、(1)地域社会の参加を得た新たな産業発展のためのリチウム公社の設立、(2)持続可能な管理を実現するための塩湖に関する新たなガバナンスの形成、(3)新たな抽出方法、先端材料、技術、イノベーションに関する基礎研究と応用研究を行うリチウムと塩湖の研究開発機関の設立、を目指している。
〇アルゼンチンGuillermo Usandivarasエネルギー省機関調整次官「アルゼンチンのリチウム:20年以上のリチウム輸出(El Litio en Argentina: Más de Dos Décadas Exportando Litio)」
20年前に蒸発資源の生産が開始し、現在2件のリチウム抽出プロジェクト、2件の開発プロジェクト、2件の建設プロジェクト、50件の探査プロジェクトがある。
法的な枠組みについては、鉱業法に基づきリチウムは第1カテゴリーに分類されるため、地方の鉱業権を介して、国内外の民間企業が無条件で開発できる。
また、アルゼンチンは現在、電池の組み立て、セルの製造、リチウムイオン電池の試験、水酸化リチウム・カソードの生産の研究に投資をしている。
〇メキシコRocío Nahle Garcíaエネルギー大臣「メキシコからのリチウムの展望(Perspectivas del Litio desde México)」
米国地質調査所によると、メキシコには1.7百万tのリチウム埋蔵量があり、主に粘土に、少ないが塩湖にも含まれる。国内には36件のリチウムの利権があり、そのうち27件で活動が認められ、10件が外資によって管理されている。
メキシコのリチウムの科学技術的課題は、リチウムイオン電池の製造、アノードとカソード製造の産業用ロボットの製造、EV用電池の組み立てである。最後のものは、メキシコ国家のイニシアチブであるEV製造に関連する。
〇ボリビアFranklin Molina炭化水素エネルギー大臣
世界のリチウム埋蔵量の半分以上がボリビア、アルゼンチン、チリの3か国にあるため、ラテンアメリカは世界のエネルギー情勢の重要アクターになる。域内のリチウムは進行中のエネルギー転換戦略の重要な要素であり、地政学的に重要である。ボリビアでは、Uyuni塩湖でのみ埋蔵量が確認済みで21百万tとされ、リチウム産業化に焦点を当てて経済構造を変革している。これまでにボリビアは、蒸発資源を活用し、商業化により付加価値を生み出すために、(1)蒸発資源の科学的研究、試験、開発、生産、(2)産業プラントへの技術実装、(3)リチウム産業化、の戦略的段階を進めてきた。現在ボリビアは、建国200周年を迎える2025年に向けた「社会経済開発計画(PDES)2021-2025」に基づいて、リチウム産業における重要な競争参加者となることを目標としている。