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ニュース・フラッシュ

鉱種:
コバルト
2022年6月8日 ヨハネスブルグ 栗原政臣

DRコンゴ:鉱山大臣、零細採掘コバルトの独占を解除へ

 2022年5月11日付けメディアによると、DRコンゴのAntoinette N’Samba Kalambayi鉱山大臣は、Entreprise Generale du Cobalt(EGC)社に対し国内で生産される零細コバルトの独占を認めるとした政令の取り消しを求めている。EGC社は零細採掘由来のコバルトを独占的に購入、加工、販売する目的で2019年12月に設立され、2021年3月31日に正式に発足したが、まだコバルト鉱石を購入していない。零細採掘コバルトはDRコンゴの工業化された鉱山に次いで世界第2位のコバルトの供給源となっている。国営鉱山会社Gecaminesの子会社であるEGC社は、政府部門間の内紛、Gecamines指導者の交代、そして購入先となる零細採掘へのアクセス確保という課題によって事業が停滞している。Kalambayi大臣は、EGC社について「賛成とも反対とも言えない。しかし、1つだけ確かなことは、EGC社に独占権を与えてしまい、それは共和国法に違反している」とし、「EGC社を解散させるのではなく、単にEGC社が持つ法的独占を解除し、全ての企業が零細採掘コバルトを購入可能とすることを目指している。政令の取り消しはDRコンゴの閣僚会議と首相によって検討される」と語った。
 零細採掘の多くはコバルト鉱山鉱区内で違法に行われており、これを正規の経済に組み込むことは、政府とコバルト鉱山にとって頭痛の種である。Kalambayi大臣は、「DRコンゴの法律ではコバルト鉱山がそのライセンスの一部を零細採掘者に譲渡することを認めており、フォーマル化に取り組む企業を支援する」と述べ、零細コバルトの既得権益に関する問いには「一部の政治家は零細採掘組合を所有し利益を得ているが、そのすべてを再構築している」と返答した。
 2020年11月にEGC社と取引契約を締結し2021年は水酸化コバルトの受け渡しを条件に5mUS$を融資した資源商社Trafigura社の広報担当者は、閣僚の発言には通常コメントしないとしつつ、「DRコンゴ政府がどのように零細採掘をフォーマル化するかは政府の問題だが、我々はその実現に向け全面的に協力するつもりだ」と述べた。同社は、2022年のDRコンゴのコバルト輸出のうち零細採掘による生産が最大で30%を占めると推定している。

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