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ニュース・フラッシュ

鉱種:
その他 ニッケル
2022年7月4日 モスクワ 小松弘希

ロシア:国内鉱山会社、欧米サプライヤー撤退と中国のCOVID-19による供給停止により設備・技術の不足に直面

 2022年6月23日付けの報道等によると、ロシアの鉱山会社は、ウクライナ侵攻後の欧米サプライヤーの撤退により、鉱山開発用の設備や技術、部品の不足に直面し、計画されているプロジェクトが大幅に遅延する可能性がある。また、産業機器や採石機器について欧米の代替先となる中国が、新型コロナウイルスによるロックダウン等を受けて供給停止していることもまた、ロシアの鉱山会社にとって大きな課題となっている。
 Norilsk Nickel社のStepanov生産担当副社長は、2022年6月18日、Sankt-Peterburg国際経済フォーラムにおいて、ロシアの鉱山会社による環境対策案件向けの分離膜、ポンプ、省資源装置などの調達に制約が発生しており、今後も利用可能な技術でプロジェクトを進めるより他にないことを明らかにした。具体的には、同社の脱硫プログラムの第1段階とされるNadezhda製錬所におけるガス脱硫に使用される8~10品目の設備(総額3mUS$)を調達できず、同案件が遅延し始めていると述べた。更に、同社の初期の準備段階にあるプロジェクトは、より大きな遅延が発生する可能性があると指摘した。
 しかしながら、同副社長によると、同社は、一部のサプライヤーがロシアからの撤退を通知し始めた段階で、倉庫にある多くの部品や消耗品を確保し、約4か月間の猶予期間を得た。また、設備関連の業者の約半数が同社との取引を続けており、代替先を探す必要があるのは、残りの半数である。このため、同社の輸入部品や消耗品在庫は、2022年中は足りるものの、2023年の第1~2四半期にかけて、最も厳しい不足に直面する可能性があると予測している。また坑内掘り用機器については、一部を分解し、残りの9割の機器を維持可能であるが、これも2023年に不足する見込みであると述べた。
 特に、産業機器や採石機器については、欧米の代替先である中国が、新型コロナウイルスの影響により供給停止していることも課題になっている。Stepanov副社長によると、石炭の坑内掘り用機器の80%、露天掘り用機器の50%が中国製である。製錬・金属加工用機器についても、約30%を中国から調達する余地があるが、新型コロナウイルスのロックダウンの影響で現状は調達不可能な状況にある。具体的には、同社は北極圏のTalnakhニッケル精鉱所の拡張に中国のパートナーの設備の納入を予定しているが、中国の供給再開やパートナーの方針次第では、濃縮プラントと製錬所の設計を再度やり直す必要が生じる可能性がある。パートナー名は明らかにされなかったが、現在、当該設備向けの粉砕機が港湾で留め置かれている状態にあり、今後制裁の影響により出荷されない場合、Talnakh精鉱所の拡張スケジュールが約2年遅延する可能性がある。
 同様に、ロシア最大の金採掘会社であるPolyus社もまた、設備調達に課題を抱えており、同社のSukhoi Logグリーンフィールド及びEvenkiysky金鉱床の進捗に影響を与えている。また、同社Zhuravlev政府関係担当副社長によると、Krasnoyarsk地方における同社の大規模ブラウンフィールドであるBlagodatnoye案件は、生産量9百万t/年の金回収プラントを新設予定であるが、同じ問題が発生していると指摘し、現在、供給代替先と交渉中であり、2022年9月末までに変更するかどうかの判断を行うとしている。
 なお、天然資源環境省Tetenkin副大臣によると、ロシア政府は、主要な環境対策案件を2年間延期することを認めている。

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