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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ニッケル
2022年7月8日 バンクーバー 佐藤すみれ

ドミニカ共和国:鉱業推進派の現政権下においても開発は依然として停滞

 2022年7月6日付け業界紙は、Abinader政権の発足から2年が経とうとする中、大統領が政策の柱として掲げてきた鉱業部門推進について、主要プロジェクトは依然として進展がみられていない現状を報じた。以下に各プロジェクトの近況をまとめる。
・Pueblo Viejo金鉱山拡張プロジェクト(加Barrick Gold社、米Newmont社)
 同拡張プロジェクトに対する投資額は1,300mUS$と、中米およびカリブ地域において最大の鉱業投資額である。選鉱プラント拡張建設工事は2022年第1四半期時点で39%完了している一方で、新尾鉱ダム建設に関しては地元コミュニティによる反対と許認可取得の遅延に直面している。Barrick社と政府は尾鉱ダム建設地の再選定のため調査を実施し、その結果2件の候補地が選ばれた。同社は2022年5月時点で技術的調査およびコミュニティ移転に関する協議を実施中と明かした。同年第3四半期初旬には環境影響評価の提出を計画しており、当局による判断は同年末から2023年初旬頃に下されることが予想されている。
・Romero金プロジェクト(GoldQuest社)
 長期に亘って開発が延期されており、鉱業推進派の現政権下で進展が期待されていたものの、現在まで動きは見られていない。GoldQuest社は2021年9月に新CEOを迎え、Romeroプロジェクトの採掘許可取得に向け専念すると表明した一方、2022年5月に発表したMD&Aレポートによると、許認可の遅れにより、同社は他国における投資機会を模索、評価していることが明らかとなった。
・Neita金・銅プロジェクト(Unigold社)
 他のプロジェクトに遅れが生じている中、Neitaプロジェクトは許認可や技術調査において重要な前進を遂げている。同プロジェクトの開発許可については現在エネルギー鉱業省が最終確認作業を行っており、その後大臣、最終的に大統領へ回付されることとなる。Unigold社はこの審査が同社にとって有利に進むと見ており、2022年第3四半期中に開発許可取得を見込んでいると明かした。
・Loma Mirandaフェロニッケルプロジェクト(Falcondo社)
 Falcondo社は同プロジェクトの環境許可申請を2021年に取り下げている(2021年3月2日付 ニュース・フラッシュ:Falcondo社、Loma Mirandaフェロニッケルプロジェクトの環境許可申請を取下げ参照。)La Manaclitaエリアにおける開発により、同社が操業を行うFalcondoニッケル鉱山のマインライフは最大20年延長できると期待されていたが、開発が断念されたことで同鉱山の資源は4、5年で枯渇すると見積もられている。

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