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中国:国内錫価格急落の動向と見通し
2022年7月1日、上海先物取引所の錫の契約価格は19万元/t(約380万円)で、2022年3月の最高値39.4万元(約788万円)から50%超下落している。2022年5月初め以降、錫価格は史上最も強い売りに押され価格は下落の一途をたどり、現在は1年以上前の安値に沈んでいる。
今般の価格急落の始まりは、2022年5月の錫の輸入量が大幅に増えたことに端を発するという。川下の電子産業は、2022年3月末以降の上海の新型コロナ対策による都市封鎖の影響で低迷していたため、短期的に供給過剰となった。この影響で、2022年4月の家電、携帯電話・コンピュータの生産はそれぞれ対前年同期比9%、10%減少し、2022年5月は同比1.6%、3.7%減になるなど、錫の消費が伸びなかった。
価格はわずか数週間で7万元/t(約140万円)下落、1日の価格変動幅はしばしば10%前後に達した。大きな価格変動により市場はパニックに陥り、在庫放出を継続したことがさらに下げ要因となり、26万元/t付近で推移していた価格がわずか2週間後には19万元/tを下回った。
一方、2022年に入ってから、5Gモバイル基地局数は対前年同期比58%増となるなど、太陽光発電、自動車電子部品等の分野での需要は増加傾向を維持しており、現在末端の加工工場の錫インゴット在庫は少なく、底に近付いているものもあるという。そのため、今後数週間で川下の錫購入は回復が予想されている。
