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ニュース・フラッシュ

鉱種:
コバルト ニッケル マンガン リチウム リン
2022年8月4日 ジャカルタ 白鳥智裕

インドネシア:ニッケルベースのEV用バッテリー産業を構築、中国に対峙

 2022年7月27日付け現地メディアによると、電気自動車(EV)用バッテリー産業を構築し、世界的なプレーヤーになるというインドネシアの野望は、簡単なことではない。EV用のリチウムイオンバッテリー(LIB)は、ニッケル以外にも、鉄系、あるいは鉄をベースにしたバッテリーの使用も急増している。このためインドネシアは、既にEV用バッテリー産業に参入している中国と対峙することになる。
 インドネシアが選んだのは、ニッケル・マンガン・コバルト系EV用バッテリー(NMCバッテリー)の開発である。
 他方、中国は現在、鉄系EV用バッテリーであるフェロリン酸リチウムバッテリー(リン酸鉄リチウムバッテリー(LiFePO4))産業を積極的に推進している。中国には、原材料となる鉄鉱石やリン酸塩が大量に存在しているためだが、鉄系に加え、中国はニッケル系のEVバッテリーも製造・販売している。そのニッケルはインドネシア産のものである。
 国営企業PT Indonesia Battery Corporation(IBC)のToto Nugroho社長は、世界で生産されるニッケル系車載バッテリーのほぼ6~7割は、原料をたどればインドネシアに行き着くと述べている。
 インドネシア政府がニッケル鉱石の輸出を禁止した後、中国の投資家はEVバッテリーの原料であるニッケル鉱石の加工生産設備の建設に尽力した。その一つがPT Indonesia Morowali Industrial Park(IMIP)が所有する工業地帯にある。生産されたニッケル鉱石は、中国のLIBメーカーに輸出される。
 例えば、ニッケルとコバルト合わせて70千t/年の生産能力を持つPT Huayue Nickel Cobaltは、中国CATL社にEV用バッテリーの正極材原料を供給している。
 Toto社長によると、最近、ニッケル系バッテリーの比率は80~60%程度に縮小し、ニッケル系バッテリーより鉄系バッテリーを使用する傾向がある。しかし、EVの普及に伴い、ニッケルが主流であることに変わりはないという。現在、EV用バッテリーに生産されるニッケルは14%に過ぎない。2030年には、ニッケル生産量の40%がEV用バッテリーに利用されると予測されている。
 ただし、現在インドネシアの電気モーターメーカーの多くは、鉄系電池を使用しており、ジャカルタで普及している電気バスもLFP電池を使用している。

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