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2022年8月4日 ジャカルタ 白鳥智裕

インドネシア:PT Timah、錫の海洋採掘で利益増

 2022年7月28日付け現地メディアによると、2023年からの錫の輸出禁止は、錫の付加価値を高め、川下の錫産業を奨励するために行われる。
 PT Pilarmas Investindo SekuritasのアナリストDesy Israhyanti氏は、錫の輸出禁止による影響は世界に及ぶと述べた。インドネシアの錫は、世界の錫供給の約40%を占めている。
 PT Timahにとって、錫の川下産業を奨励する政府の動きは同社のビジネスチャンスを拡大する。また、これまでのところ、同社の売上のうち輸出が90%を占め、今後、錫の川下製品として、錫めっき、錫はんだ、錫化学品などが開発される予定である。しかし、不況のリスクは、錫を含むコモディティの需要を弱める。これは、PT Timahにとってネガティブな市場心理となる。錫の価格は、2022年3月にピークを迎えたが、現在、錫の価格は49%下落した。
 PT BRI Danareksa SekuritasのアナリストHasan Barakwan氏は、PT Timahの好調な業績は2022年も続くだろうと述べる。PT Timahが錫採掘のガバナンスをしっかり行い、生産コストをコントロールしていることが要因だという。
 PT Timahは、陸上セグメントでは錫鉱石採掘のコストが高いため、海洋セグメントからの錫鉱石採掘を増加させる計画である。2021年第4四半期、陸上の錫鉱石の採掘コストは22,418US$/t、海洋では19,101US$/tであった。2018~2020年の陸上での錫鉱石生産はPT Timahの総錫鉱石生産量の70~80%程度であった。しかし、2021年には陸上での生産の寄与率が50%に減少している。
 2022年2月の時点で、海洋での錫鉱石生産の寄与率は60%である。PT Timahは2022年以降もこの傾向を維持する予定である。Hasan氏は、2023年も海洋での錫鉱石生産の寄与率が60%に達すると見ている。
 PT KB Valbury SekuritasのアナリストDevi Harjoto氏も、PT Timahの海洋採掘への注力と船舶能力の増加に伴い、2022年後半にPT Timahの錫生産が増加すると予測する。また、PT Timahの錫生産量は最適化され、2023年までに35,000tを超えると考えている。
 また、テクノロジー製品やソーラーパネルの生産、米ドル高は、PT Timahのパフォーマンスを引き上げる可能性があり、同社の事業がインドネシア国内の製錬業界を後押しするとみられる。
 他方、PT Timahの株価を下落させるマイナス要因もある。まず、政府による錫の輸出制限計画は、PT Timahの業績にとってリスクとなる可能性がある。先に述べたように、PT Timahの収益の90%以上を占めるのが輸出市場であるためである。第2に、金融引き締めとそれに伴う需要減で、錫を含むコモディティ価格が是正される可能性がある。これは同社の業績に支障をきたす可能性がある。

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