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加:連邦政府が2022年度秋の連邦予算案を発表、カナダ鉱業協会からは好意的な反応
Freeland副首相兼財務相は2022年度秋の予算案を発表した。
【低炭素エネルギー発電及びクリーンテクノロジーへの設備投資に対する税額控除】
低炭素エネルギー発電及びクリーンテクノロジーへの設備投資に対し30%の税額控除を導入する。5年間で6.7bC$を拠出する。適用範囲は以下のとおり:
- 太陽光発電や小型原子炉、太陽熱発電、風力発電、水力発電を含む発電システム
- 化石燃料を使用しない定置用蓄電システム
- ソーラーヒーターや地熱ヒートポンプ等の低炭素暖房機
- 採掘や建設現場で使用される、産業用ゼロエミッション車(ZEV)やそれに関連する充電・給油装置
【主要プロジェクトの環境許認可の迅速化】
プロジェクトの許認可プロセスの迅速化を図るため、影響評価局(Impact Assessment Agency of Canada:IAA)やエネルギー規制庁(Canada Energy Regulator:CER)などの連邦省庁に今後6年間で1.28bC$を拠出する。
【カナダ成長基金(Canada Growth Fund)の導入】
2022年4月の予算案の中で発表された、15bC$規模のカナダ成長基金(Canada Growth Fund)を2022年末までに開始する。同ファンドは、民間資本とともにCCUS(Carbon dioxide Capture,Utilization and Storage:二酸化炭素回収・有効利用・貯留)などの低炭素プロジェクトに投資して、民間投資家のリスクを軽減することを目的としている。
【水素エネルギーへの投資税額控除】
クリーン水素エネルギーの投資税額控除の内容は決定されていないが、連邦財務省は発表の中で、炭素排出量の少ないプロジェクトに多くの支援を提供する米インフレ抑制法の税額控除をモデルとすることを示唆している。
予算案の発表を受け、カナダ鉱業協会(Mining Association of Canada:MAC)はニュースリリースを配信、その中でカナダの鉱業界ではZEV等の導入が加速しており、今回の投資税額控除により様々な利益がもたらされ、気候変動対策での優先事項を達成するための一助になると述べている。またIAA等の連邦省庁への予算増額は、環境許認可許可プロセスの改善を促すとしつつも、スタッフの増員ではなくより知識のある専門家が必要との見解を示した。さらに「カナダ成長基金(Canada Growth Fund)」や水素エネルギーに対する投資税額控除も、カナダ鉱業界にとってプラスになるとの見解を示している。
現地では、今回発表された予算案はカナダ経済において政府の役割を強化するための取り組みの一環と報道されている。Freeland連邦財務相は数か月間に亘り、サプライチェーンをロシアや中国から民主国家へと方向転換させることを提唱している。また連邦政府は2022年4月の予算発表の中で、今後8年間で最大総額3.8bC$を重要鉱物開発支援に割り当てることを発表、探査事業の強化とバッテリーメタルのサプライチェーン構築を目指している。


