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ニュース・フラッシュ

鉱種:
ニッケル
2022年11月30日 ジャカルタ 白鳥智裕

インドネシア:ニッケル下流部門の発展は、中国の利益に

 2022年11月10日付け現地メディアによると、インドネシア国会(DPR)第7委員会のRofik Hananto委員は、Joko大統領がインドネシアの利益のためにニッケル鉱石輸出を禁止したが、実際はインドネシアからのニッケル主要輸入国の一つである中国の利益になっていると述べた。
 ニッケルの下流からの利益はこれまで15tIDR/年(インドネシアルピア:約0.87bUS$)であったものが、2021年には360tIDR(約20.9bUS$)になったとのJoko大統領の主張に対して、Rofik委員は、これはこの時点で商品価格が上昇していたことと、ニッケル鉱業の増加数の影響が要因であると述べ、その利益を誇りとすることには意味がないとした。また、ニッケルを精製する過程での付加価値の創出にも関係しており、そのプロセスが完全に明らかにならない限り、ニッケルの下流部門が成功したと判断するのは難しいとした。
 Rofik委員は、政府が宣伝する利益を享受しているのは、天然資源の所有者であるインドネシア国民ではなく、中国であると指摘し、次の点を問題視した。
(1)ニッケル鉱石の95%は、中国が購入している。インドネシア国内での販売価格は34US$/tにしか設定していないが、上海価格は80US$/tに達する。中国は、インドネシア国内で、鉱山会社から直接国際価格の半値でニッケルを購入している。また、中国の製錬業界は直接採掘しないため、ロイヤルティを支払っていない。
(2)政府は25年間の免税やタックス・ホリデーという形で鉱業にインセンティブを与えているため、ニッケルの付加価値から得られる利益を享受していない。
(3)中国の製錬会社に、フェロニッケルやNPI(ニッケル銑鉄)等のニッケル下流部門の半製品に対する輸出税が未だ課されていないため、輸出税による利益を得られない。
(4)中国の製錬企業はほとんどが中国人労働者を雇用しており、その大半は就労ビザを持っていないため、ビザによる収入や個人の所得税の面から国家収入に不利益となっている。
 以上から、Rofik委員は、360tIDRの数字がいかに小さいかを強調した。国家が天然資源から収入を得る機会を失う要因がまだ多くあり、ニッケルの下流の発展を誇りとしていても、実態は一握りのグループだけがその恩恵を享受し、中国を含む他国の産業を振興してきたという。

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