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中国:炭酸リチウム価格下落基調、新エネルギー自動車販売減速が要因か
調査会社MySteel(我的鋼鉄)のデータによると、2022年12月6日のバッテリー向け炭酸リチウム価格が3,500元/t(約7万円/t)下落し、平均価格は56.80万元/t(約1,136万円/t)となった。工業用炭酸リチウム価格も3,500元/t下落し、平均価格は55.15万元/t(約1,103万円/t)、水酸化リチウムも3,500元/t下落したという。なお、2022年11月7日には、バッテリー向け炭酸リチウムの平均価格は61.5万元/t(約1,230万円/t)で、最高値61.7万元/t(約1,234万円/t)が記録されていた。
2022年の炭酸リチウムスポット市場は、主に新エネルギー自動車とエネルギー貯蔵市場での想定以上の需要の増加に対し供給がひっ迫したことから、2022年3月に一時50万元/t(約1,000万円/t)を突破し、安値だった2020年比の12倍近くも上昇した。電池メーカーの努力や政府指導によりその後約2か月間は下落傾向にあったが、下半期に入ると急激に上昇し始め、2022年8月には50万元/tの水準に戻り、その後は最高値を更新し続けた。2022年11月中旬に60万元/tを超えて以降堅調に推移し、一時は取引業者らが「100万元/t(約2,000万円/t)超も現実になるかもしれない」と噂するほどであったというが、2022年11月末以降は下落基調にある。
下落の背景として、新エネルギー自動車の成長が鈍化していることが指摘されている。2022年10月の全国新エネルギー自動車販売台数は55.6万台で前年同月比75%上昇しているものの、前月比では9%の下落となっている。2022年は新エネルギー自動車向け政府補助金の終了年であることから、年末にかけての駆け込み需要が期待されていたが、中国国内での新型コロナウイルス再拡大による行動制限が現在でも継続しており、消費活動が消極的になっている。
今後の炭酸リチウム等市場の見通しについて、関連産業、企業関係者が以下のとおり見解を語っている。
●中国化学物理電源業界協会動力電池応用分科会 張雨・秘書長
生産能力が徐々に拡大することに伴い、2023年から関連材料の価格は若干下落し、徐々に合理的になると予想される。
●恵州億緯鋰能股份有限公司 劉金成・董事長
遅くとも2024年にはリチウム鉱山からの産業チェーンへの供給が過剰になると予想する。陽光電源(SUNGROW)社によると、炭酸リチウムの価格は2023年第2四半期に下落し、これにより2023年はエネルギー貯蔵産業の利益状況が改善され、同産業の発展をさらに促進するという。
●江西贛鋒鋰業集団股份有限公司 李良彬・董事長
リチウム塩の生産能力は急速に増加しており、生産能力のピークは2023年半ば頃に新たな段階を迎えるだろう。リチウムバッテリーの需要と生産能力の拡張は2024~2025年に山場を迎え、それ以降は拡張ペースが鈍化するはずだ。そのときリチウム塩の需給が根本的に変化し価格が逆転する可能性がある。
●業界関係者(匿名)
短期的なリチウム価格は依然として多くの要因による擾乱に直面し変動が激しいが、世界のリチウム資源供給が徐々に量を増やしていくにつれ、長期的にはリチウム価格は徐々に理性を取り戻していくだろう。