ニュース・フラッシュ
- 鉱種:
- 金 銅 モリブデン
米:Biden政権、AK州Pebble銅・金・モリブデンプロジェクトを禁止
2023年1月31日付けのプレスリリースによると、米環境保護庁(EPA)は水質浄化法(CWA)に基づき、AK州Bristol湾を保護するため、加Northern Dynasty Minerals社Pebble銅・金・モリブデンプロジェクトの開発事業、及び同鉱床を活用した将来的な開発事業を禁止する最終決定を行った。
最終決定では、South Fork Koktuli川とNorth Fork Koktuli川流域の特定水域に、Pebbleプロジェクトの建設及び操業のための浚渫・充填材を排出すること、また水生資源にPebbleプロジェクトと同程度以上の損失や変化を及ぼすような、同鉱床開発のための将来的な鉱山建設・操業を提案することを禁止している。さらに同鉱床開発のため、South Fork Koktuli川、North Fork Koktuli川、Upper Talarik Creek流域に、Pebbleプロジェクトと同程度以上の悪影響を及ぼすような浚渫・充填材の排出を将来的に提案することを制限している。
Bristol湾は、世界最大の天然ベニザケ(sockeye)の回遊地として知られている。2022年12月にEPA Region 10の地域事務局がEPA水資源事務局長に対し、Bristol湾での鉱山廃棄物の投棄を禁止するよう正式な勧告を表明しており、それを受けて今回の最終決定が行われた。(2022年12月6日付 ニュース・フラッシュ:水質浄化法の改正において、環境保護庁がPebble銅・金プロジェクトの鉱業廃棄物の禁止を勧告参照)
ベニザケを含むBristol湾流域の経済価値は、2019年時点で2.2bUS$以上と推定され、15千人/年以上の雇用が創出されている。また同湾流域には25の先住民族の村やコミュニティが存在している。
Northern Dynasty社のCEOは、今回のEPAによる最終決定は違法であり、法的手段に訴える構えを見せている。また現地報道によると、全米鉱業協会(National Mining Association)は、この決定が重要鉱物に依存する再生可能電力と電気自動車(EV)の普及を加速させるという米Biden政権の公約と矛盾していると指摘するとともに、許認可プロセスで不確実性をもたらすものだとの見解を示している。その一方で、漁業関係者や先住民族からは今回の最終決定を歓迎する声があがっている。
