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EU:EU議会の産業研究エネルギー委員会、重要原材料の供給のセキュリティ強化に関する研究結果を公表
2023年1月17日付けのプレスリリースによると、欧州議会の産業研究エネルギー委員会(Committee on Industry,Research and Energy(ITRE))は、「グリーントランジション・脱炭素化のための重要原材料を含む製品の供給のセキュリティ強化」と題する研究結果を公表した。変化する地政学的状況におけるグリーン・デジタルトランジションに必要な重要原材料を含む製品へのアクセスについて、EUのニーズと脆弱性を評価するもので、原材料から最終製品に至るサプライチェーンのどの段階で欧州の産業エコシステムが重要原材料の輸入に依存しているかを特定することを目的としている。
EUは、原材料そのもの以上に、大半のグリーンエネルギーとデジタル技術のための主要な部品の対外依存度が高くなっている。現在、EUは水素技術の発展に不可欠な材料であるプラチナ、パラジウム、チタンの3つの重要原材料の輸入の大部分をロシアに依存している。さらに、EUは永久磁石の生産、その生産に使用するレアアースの抽出・精製のいずれも中国からの輸入に大きく依存しており、電気自動車(EV)やエネルギー貯蔵に用いるバッテリーの輸入も中国に依存している。
この研究では、EUが備蓄施設を設けることで、原材料や部品の供給の混乱を緩和し得るとしている。重要原材料を含む製品の戦略的備蓄は米国、日本、韓国、スイスにおいて共通する政策であり、これらの例からEUの備蓄の原則が導かれるとしている。潜在的な備蓄により60日分の輸入をカバーする場合、重要原材料の備蓄に必要とされる金額は、6.45b€(重要原材料のみ)~25.8b€(グリーン・デジタルトランジションに関連する約300の輸入品)の範囲と推定している。なお、備蓄を政策的に推進する場合、官民の役割分担が議論になるとしたうえで、民間企業による自主的な備蓄を公的に資金支援することが望ましいとの見立てを提起している。


