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2023年4月17日 バンクーバー 佐藤すみれ

メキシコ:鉱業法改正案、AMLO大統領「投資に影響なし」、業界からは強い懸念の声

 Andrés Manuel López Obrador(AMLO)大統領は、2023年4月12日の定例会見にて、前月に提出された鉱業法等改正案(2023年3月31日付 ニュース・フラッシュ:AMLO大統領、鉱業権有効期間の大幅短縮を含む鉱業法等改正法案を提出、鉱物および水資源の規制強化へ参照)に関する記者からの問いに対し、鉱業投資への影響は無いと断言した。その根拠として、過去の政権下で付与されてきた広大な鉱業権が投資や探鉱を行われず単に投機目的で所有されてきたとし、結果これらを取り消しても業界に影響はないと主張した。AMLO大統領は、「(投資には)全く問題は無い。天然資源の保護を模索し、将来世代の未来を守るものである。領土を破壊するのではなく、偽善的でない真正な環境保護を実現するものだ。」と強調した。また、改正により既存鉱業権の約半数が取り消されるとの見通しを語り、残りの半数だけでも千年以上採掘が可能との持論を述べた。
 一方で、鉱業界や法律専門家からは、鉱業権の大幅短縮をはじめとする規制強化によって、鉱業部門にとって非常に不利な状況となることはおろか、鉱物資源を必要とする多数産業、特に今後需要の高まりが見込まれるエレクトロモビリティやグリーンエネルギー分野に対する悪影響を強く懸念する声が多数挙がっている。在墨カナダ商工会議所は、法案の内容が国際協定に違反するとされることから、改正に至った場合には、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に基づく紛争解決手続きに着手する必要が生じると警告した。また、企業家調整評議会(CCE)は、議会が同評議会を含めた議論を開始すべきと主張している。
 なお、現在開会中の連邦議会第2通常会期は2023年4月30日に閉会となる。

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