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2023年5月9日 バンクーバー 佐藤すみれ

メキシコ:鉱業法および関連改正法が成立

 2023年4月29日、連邦上院議会は鉱業法および関連法改正案を可決した。同法案は、与党国家再生運動(Morena)所属の下院議員らが提出したもので、鉱業法のほか、国家水法、生態系均衡環境保護一般法、廃棄物防止総合管理一般法を対象とする。後日大統領府の承認をもって公布される。
 主な改正点は次のとおり:

  • 鉱業権付与は全て競争入札制とする
  • 鉱業権の期間を現行法の50年から30年に短縮。更新は1回のみ、延長期間は25年とする
  • 鉱業権の延長期間終了後は鉱業権者に同鉱区の入札参加資格を与え、さらに25年の延長を可能とすることで、有効期間は最大で80年とする
  • 鉱業権付与の要件として、先住民協議および社会的影響評価の実施を義務化する
  • 水資源の乏しい地域における鉱業権付与を禁ずる
  • 鉱業権に採掘目的の鉱物を明記し、特定された鉱物のみ採掘を認める
  • 経済省が国営企業に対し国有鉱区を付与することを認め、有効期間を無期限とする
  • 鉱業権者による土地の収用権利を廃止し、土地の一時的占有あるいは用益権の設定のみ認める
  • 鉱業権取消の条件の強化(例、探鉱等作業を2年続けて実施しない、廃棄物処理計画の欠如、既存鉱業権に係る水利用権の未取得等)
  • 罰則を強化し、違反したものに対し刑罰および罰金を科す
  • 新たな鉱業権について現在処理中の申請は、それ以上処理することなく却下される(経過措置)
  • 既得鉱業権者は、改正法施行後90日以内に水資源当局に対し、水利用権を工業利用から鉱業利用に変更する申請を行う(経過措置)
  • 既得鉱業権者は、改正法施行後365日以内に、鉱業活動の実施中に発生し得る損害を保証する経済的保証手段を提出するほか、環境天然資源省に対し鉱山修復、閉山計画、閉山後措置を提出し承認を得る(経過措置)

 なお、改正法が可決された前日の上院本会議場では、国家情報公開庁(INAI)の委員任命が却下されたことに対する抗議や、大統領の複数優先法案の可決を阻止することを目的に、野党議員らが議会を占拠する事態に発展した。しかしながら、連立与党は臨時の議場に移り野党議員の出席なしに採決を進めたことで、鉱業法等改正案は全会一致で可決された。

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