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2023年6月15日 リマ 初谷和則

ペルー:鉱業石油エネルギー協会会長、2023年の鉱業投資見通しや許認可についてコメント

 2023年6月8日付け現地報道によると、鉱業石油エネルギー協会(SNMPE)のGobitz会長は、2023年の鉱業投資額は3.5bUS$程度となり、エネルギー鉱山省(MINEM)による予測の5.6bUS$を下回る見通しを明らかにした。その背景として2022年はQuellaveco銅プロジェクト(Moquegua州)の建設で多大な投資が行われた一方、2023年1~4月の鉱業投資額は前年同期比約20%減の1.17bUS$であったほか、2023年のプロジェクト数は少なくQuellaveco銅プロジェクトのような大規模案件も存在しないことを説明した。
 また、2023年に見込まれる3.5bUS$は、既存鉱山の生産量を維持するため最低限必要な再投資であるとし、鉱業投資の増加を実現するにはより大きなプロジェクトの開発が必要だと述べた。
 鉱業プロジェクトの許認可に関して最近実際に進展があったのはZafranal銅プロジェクト(Arequipa州)の環境許認可承認のみであり、Inmaculada金・銀鉱山拡張プロジェクト(Ayacucho州)、Yumpag銀プロジェクト(Lima州)、Antamina銅鉱山拡張プロジェクト(Ancash州)については年内の環境許認可承認が期待されていると述べた。また、唯一の新規鉱山建設案件であるSan Gabriel金プロジェクト(Moquegua州)は開発が遅れているとコメントした。
 さらに、最近の中央準備銀行(BCR)アンケートで、鉱業・炭化水素セクター企業による将来の展望は他セクターに比べ悲観的だった結果について、開発遅延状態の鉱業プロジェクトの投資額は50bUS$にのぼるとし、その要因は様々だが(2021年の政権交代に伴い)鉱業への増税や国による管理強化等が取り沙汰され先行き不透明な時期があったほか、現在も完全に明確な鉱業政策の存在が確信できる状況ではなく、鉱業プロジェクトごとに複雑な問題が存在すると述べた。
 先にMINEMのVera大臣が、鉱業関連の許認可取得に必要な期間がこれまでの18か月間から90日間に短縮されたと述べたことについては、許認可プロセスの軽減や改善を目的とする「鉱業・エネルギー執行協議会(Mesa Ejecutiva Minero Energetico)」で官民が協議を重ねているものの、現時点で具体的な制度改正は何も行われていないほか、短期的な改正実現の兆しもないと述べた。
 また環境許認可プロセスにはMINEMだけでなく環境省や農業灌漑開発省の傘下機関が関与しており、持続可能環境投資許可庁(SENACE)や水資源庁(ANA)による審査期間はプロジェクトの規模により1.5年ほどかかると述べた。また環境面の審査を担う国の機関が多く存在するが、それぞれが独自の視点を持っており、企業は各機関にサンドイッチのように挟まれ前進できない状態だと説明した。その上で、短期的にはANA等の機関における人材不足を解決するための予算を充当することを目的として経済財務省(MEF)と調整を行い、中期的には環境許認可審査を1つの機関にまとめるべきだと意見した。

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