閉じる

ニュース・フラッシュ

鉱種:
亜鉛
2023年8月24日 バンクーバー 佐藤すみれ

米・メキシコ:米通商代表部、Grupo México社による労働権侵害の疑いで労働分野紛争解決メカニズムに基づく初のパネル設置を要請

 米通商代表部(USTR)は、墨Grupo México社がZacatecas州に保有するSan Martín多金属鉱山にて労働権侵害の疑いがあったとして、2023年8月22日付けで米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づき、同協定下で初となるパネル設置を要請した。RRMは、労働者の結社の自由及び団体交渉権を侵害した事業所が対象となる。USTRはSan Martín鉱山に関し、ストライキが継続中であるにも関わらず通常稼働している点や、労働組合協約交渉権を持つメキシコ全国鉱夫・冶金・鉄鋼労働組合(SNTMMSSRM)ではない、他の組合と交渉を行った点を理由としている。
 USTRは本件についてSNTMMSSRMをはじめ、全米労働総同盟・産業別組合(AFL-CIO)および全米鉄鋼労働組合(USW)から提訴を受け、2023年6月にメキシコ政府に対し事実確認の要請を行っていた。これに対しメキシコ政府は同年8月1日付けで声明を発表し、SNTMMSSRMが主張する労働権の侵害はUSMCAが発効された2020年以前に行われたものであり、法の不遡及の原則から本件はUSMCAの対象外であるとの見解を発表していた。
 米国とメキシコはこれまでに様々な事業所における労働者の権利侵害に関しRRMの枠組みに基づき解決してきたものの、本件については合意に至らなかったことからパネルによる審議へ進むこととなる。

ページトップへ