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ニュース・フラッシュ

鉱種:
チタン イルメナイト ルチル アルミニウム/ボーキサイト バナジウム
2023年8月29日 金属企画部 長原正人

カザフスタン:露侵攻によるスポンジチタン等メーカーUKTMP社への影響

 2023年8月23日付け報道によると、カザフスタンでスポンジチタン等を生産するUKTMP社は、露侵攻により原料調達や市場の環境が大きく変化したという。
 UKTMP社はチタン鉱石をウクライナから調達していたが、調達に困難が生じ、現在はノルウェーなどからチタン鉱石を輸入するとともに、Bektemirイルメナイト鉱床を採掘するSGOP社等、カザフスタン国内からの調達も重視している。また、同社はインド企業IREL社とインド国内にチタンスラグを製造する合弁企業を立ち上げる覚書に調印した。
 2022年上半期にチタン鉱石供給がひっ迫し、価格がルチル精鉱で16%、イルメナイト精鉱で11%、チタンスラグで3%、それぞれ上昇した。チタン製品も投機的な購入があり、欧州や中国で価格が上昇している。
 西側のチタンユーザーが制裁を危惧し、ロシアへの発注を取りやめ、代替としてUKTMP社への引き合いが増えた。しかし、原料調達難により生産に影響が出たため、中国、インドおよび米国の顧客に対し、同社は注文量削減や注文取消を行う事態になった。輸送コストも上昇しているため、これら顧客との契約を見直すことを模索している。
 同社の2021年売上66.8bKZT(カザフスタン・テンゲ)に対し、2022年売上は13%増の75.6bKZTであった。売上の地域別内訳は、韓国19bKZT、フランス18bKZT、米国17.4bKZT、中国13.4bKZT、カザフスタン2bKZT、英国1bKZTであった。製品別内訳はスポンジチタン42.5bKZT、チタンインゴット32.7bKZT、バナジウム0.1mKZT、アルミニウムマスターアロイ0.2bKZTであった。売上原価は調達難で原料の調達量が減少したことが原因で2021年の54.4bKZTから2022年には47.6bKZTに減少した。2023年の純利益は6.7bKZTであった。

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