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2023年9月22日 リマ 初谷和則

ペルー:ペルー経済研究所、鉱業プロジェクト開発遅延による経済損失を試算

 2023年8月、ペルー経済研究所(IEP)は「国として何を失っているのか?鉱業における社会争議と煩雑な手続きの経済的インパクト」と題される調査の結果を発表した。本調査では2008~22年における鉱山企業とは無関係な理由によるプロジェクト中止、2021~23年の社会争議、煩雑な手続きによる遅延が、経済や税収、雇用にもたらした損失が試算された。主な結果やコメントは以下のとおり:

  • 2008~22年に、煩雑な手続きや社会争議等の鉱山企業の意向とは無関係の理由で延期されたプロジェクト23件によるGDP逸失(実現されなかった投資や鉱産物生産等)は698bPEN(ソーレス)、逸失税収は123bPENに上る。また創出されなかった雇用数は生産フェーズで541千人/年、鉱山投資フェーズで125千人/年に上った。本期間の年平均経済成長率は3.9%であったが、これらプロジェクトが開発されていた場合は4.7%となり、1.7百万人が2022年までに貧困層から脱出していたと見込まれる。
  • 2021~23年3月までに、社会争議を理由として国内8州の主要鉱山11件が操業を停止した。鉱産物減産によるGDP逸失は約7bPENに上り、その80%はCusco州(Constancia・Antapaccay銅鉱山)、Ancash州(Antamina銅鉱山)、Moquegua州(Cuajone銅鉱山)等での減産が理由であった。また本期間における逸失税収は1.8bPENと見込まれる。
  • 最も遅延が見られる行政手続きは環境許認可や先住民事前協議関連プロセスであり、特に環境影響詳細調査(EIA-d)の審査では規定の約5倍である36か月を要する。また先住民事前協議の実施には、規定の約3倍の最大12か月を要し、合計でこれらの行政手続きの完了に必要な期間は実際の規定の2~3年の倍以上である6~7年を要する現状である。
  • 平均的な鉱業プロジェクトの4年間の開発遅延によって、(1)GDP12bPEN、(2)投資フェーズで8,500人/年、生産フェーズで7,400件/年の雇用、(3)税収2bPENが失われる。このような多大な機会損失を前に、社会争議や手続き簡素化のための適切な政策実行と、より競争力のある投資環境の整備が急務である。
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