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2023年10月17日 バンクーバー 武市知子

加:連邦最高裁、連邦の影響評価法(IAA)を違憲との判断

 2023年10月13日付の現地報道によると、加連邦最高裁判所は、州内の天然資源プロジェクトを規制する連邦の影響評価法(Impact Assessment Act:IAA)は違憲との判断を下した。
 2019年8月に施行されたIAAに基づき、連邦政府は先住民や魚類、気候変動など、連邦の管轄事項への影響に基づいて、エネルギー事業や鉱業、その他の事業計画を規制することができる。だがAB州はこの合憲性をめぐり州控訴裁判所に解釈を求め、2022年4月に同裁判所はIAAが州の管轄権を侵害すると判断した。これを受け、連邦政府は最高裁に上告していた。
 これを受け最高裁は、IAAの第81条から第91条に定められたプロセスは連邦所有地やカナダ国外で実施もしくは融資するプロジェクトに関わるものであり、連邦の管轄下にあることから「合憲」としたものの、「指定プロジェクト(designated projects)」のスキームについては「違憲」と判断した。IAAで定められたプロジェクト、もしくは大臣が命令したプロジェクトは「指定プロジェクト」となるが、指定プロジェクトのスキームを制定することで、連邦議会が憲法で定められた権限を越権していると最高裁は判断した。だが環境保護は依然として喫緊の課題の一つであり、議会はこの課題に対応するための環境審査制度を制定する権限を有するとしたものの、憲法に定められた三権分立の枠組みの中で行動する義務も負っているとした。

関係者からの反応
 連邦政府は最高裁の判断に従いIAAを早急に改訂し、連邦議会での承認を得ることを約束した。またGuilbeault連邦環境・気候変動相は、同法は改正を必要とするものの、連邦政府が環境保護で果たすべき役割が最高裁により肯定されたと述べている。また既に審査が進められているプロジェクトに関しては、最高裁の判断を考慮しながら引き続き審査を行うという。
 Smith AB州首相は、同州における権利の保護にとって実質的な勝利であるとし、連邦政府に対し州の管轄権を受け入れるように求めるとともに、共有する分野では州政府と協力するように求めると述べた。またFord ON州首相も、ON州と連邦の環境審査は不必要に重複していたとして、今回の判断を歓迎する声明を発表している。カナダ石油生産者協会(CAPP)も今回の判断を歓迎するとともに、連邦政府及び州政府と協力する姿勢を見せている。
 これに対し環境保護団体のEcojusticeは、重要な環境法が弱体化されたと述べている。だが環境保護団体のNature Canada and the West Coast Environmental Law Associationは、連邦政府が鉱山やダム、パイプライン等のプロジェクトの影響を評価し、気候変動や健康などへの影響を考慮する広範な管轄権を有することを最高裁により確認されたとして、今回の判断の一部を支持している。また連邦政府はすでに多数派が合憲とする方法で法律を適用しており、多くの改正を必要とすることはないとの見解を示した。

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