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加:米政府と共同でカナダの重要鉱物鉱床を開発するジュニア企業2社に補助金を提供
2024年5月16日付けのプレスリリースによると、Wilkinson加連邦エネルギー・天然資源相は重要鉱物鉱床を開発中のカナダのジュニア企業2社(加Lomiko Metals社と加Fortune Minerals社)に対し、米国政府と初めて共同で補助金を提供することを発表した。
Lomiko社に対してはフレーク状グラファイトをバッテリー品位に転換するパイロット施設を支援するため、加連邦政府は重要鉱物開発支援の連邦予算から4.9mC$を、また米政府は国防生産法(Defense Production Act:DPA)を通じて8.4mUS$を提供する。Fortune社にはNICOコバルト・金・ビスマス・銅プロジェクト開発のエンジニアリングと加工事業を支援するため、加連邦政府は最大7.5mC$を、米連邦政府はDPAを通じて6.4mUS$を提供する。
今回の発表は、重要鉱物協力に関する加米共同行動計画(Canada-U.S. Joint Action Plan on Critical Minerals Collaboration)及び加米エネルギー転換タスクフォース(Canada-U.S. Energy Transformation Task Force)の下での緊密な二国間協力の成果である。さらに2020年1月に両政府は北米の重要鉱物生産を強化するため、重要鉱物の協力に関する共同行動計画(Joint Action Plan on Critical Minerals Collaboration)を策定している。
2023年にもカナダ国家リサーチカウンシル(Canada’s National Research Council)はLomiko社が進める天然フレーク状グラファイト精鉱を使用したPFSレベルのバッテリー試験を支援するため最大500kC$を提供、また2024年3月にも加連邦政府は高純度の硫酸コバルトを生産する湿式冶金のパイロットプロセスを支援するため、Fortune社に対し714,500C$の提供を発表している。さらに加連邦政府はクリーン技術への製造投資税額控除(Clean Technology Manufacturing Investment Tax Credit)を通じてカナダ国内の重要鉱物プロジェクトを支援しており、リチウム、コバルト、ニッケル、グラファイト、銅、レアアースの6鉱種の採掘と処理事業への投資を強化している。
地元メディアによると、Fortune社はNT準州でのNICO鉱床及び精鉱の生産開発、またAB州での精錬所を計画している。同社CEOはインタビューの中で、カナダと米国の重要鉱物サプライチェーンでは「精錬所」が欠けており、同社プロジェクトには精錬所が含まれていることから今回の両政府からの補助金支援に繋がったと述べている。また同氏はカナダの市場で資金を調達するのは非常に困難であることを認めている。カナダのジュニア企業が自国市場での資金調達に苦戦する大きな理由の一つとして、加連邦政府が資金力のある中国からの資金調達を例外的にしか認めていないことから中国からの投資が大幅に減速していると報道されている。
