ニュース・フラッシュ
- 鉱種:
- 銅 レアアース/希土類
加:連邦政府とSK州政府、豪Vital Metals社が生産するカナダ産レアアースの購入契約を締結、中国企業への販売契約を撤回
2024年6月17日付けのプレスリリースによると、豪Vital Metals社は加連邦天然資源省の仲介により、SK州政府の管轄組織であるSaskatchewan Research Council(SRC)にレアアースのストックパイルを3mC$(約3.3mA$)で売却する契約を締結した。同社のレアアースは、NT準州Nechalachoレアアース鉱山のNorth T鉱床で採掘されている。
加連邦の重要鉱物戦略においてレアアースは重要鉱物と指定されている。今回の合意はカナダにおけるNechalachoレアアース鉱山の戦略的価値と重要性を表すものだ、と同社CEOは述べている。また同社は同鉱山内にあるTardiffレアアース鉱床にフォーカスしており、2024年末までにスコーピング調査を実施するとのことである。
同社は2023年12月、中Shenghe Resources Holding社(盛和資源控股股份有限公司)に同鉱山で採掘されたレアアースを売却することで合意していた。だが今回のSRCへの売却により、Shenghe社との合意は撤回されることとなった。Shenghe社とのレアアース取引価格は2.6mA$だったと報道されている。
現地報道によると、カナダ産レアアースを中国企業に売却することに対して識者などからは非難されていた。また2023年10月には5.9mA$相当のVital Metals社の株式をShenghe社が取得するとともに取締役を選出できることでも合意されているが、加連邦政府が投資法をもとにShenghe社に対してVital Metals社の保有株式の売却を命じるかは不明である。連邦イノベーション・科学・経済開発省の広報担当者は取材に対し、カナダ投資法の守秘義務規定により、Vital Metals社とShenghe社との資本提携に関してはコメントできないとしているものの、カナダの国家安全保障を損なうような取引に対しては躊躇することなく行動を起こす、と述べている。
カナダは国内の重要鉱物産業を強化するとともに、中国からの投資に対する規制を強化している。2022年11月に連邦政府は中国国有企業3社に対し、保有するカナダの重要鉱物資源企業の株式を売却するよう指示、また2024年5月にもエクアドルWarintza銅プロジェクトを進める加Solaris Resources社はカナダ規制局の審査が不安定であることが一因として、同社の普通株式15%を中国企業に売却する計画を中止している(2022年11月7日付 ニュース・フラッシュ:連邦政府、中国国有企業3社に対し、保有するカナダの重要鉱物資源企業の株式の売却を命令、2024年5月23日付 ニュース・フラッシュ:加Solaris Resources社、中Zijin社への少数株式売却計画を中止参照)。
連邦政府は国内の重要鉱物産業を支援するための予算として約3.8bC$を組んでいる。鉱山企業に対してより多くの直接投資を行っており、2024年5月にも重要鉱物鉱床を開発中のカナダのジュニア企業2社(加Lomiko Metals社と加Fortune Minerals社)に対し、米国政府と初めて共同で補助金を提供することを発表している(2024年5月20日付 ニュース・フラッシュ:米政府と共同でカナダの重要鉱物鉱床を開発するジュニア企業2社に補助金を提供参照)。
