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ニュース・フラッシュ

鉱種:
カリウム
2024年8月14日 バンクーバー 武市知子

加:BHPが加Filo社に買収提案を行い、重要鉱物企業に対するディールの規制強化に動く連邦政府の対応が注目される

 2024年8月8日付けの現地報道によると、同年7月30日にBHPは加Lundin Mining社と共同で、アルゼンチンとチリにまたがるFilo del Sol(FDS)銅プロジェクトを保有する加Filo社の全株式を約4.1bC$で買収する提案を行った。さらにBHPはLundin社が保有するアルゼンチン・チリのJosemaria銅・金・銀プロジェクトの50%の権益を取得し、両社はFDS及びJosemaria両プロジェクトのJVを組成する予定である。
 外国企業によるカナダの重要鉱物企業に対するディールにおいて、加連邦政府は極めて例外的に、純利益(net benefit)があると判断された場合にのみ、純利益の審査を許可するとして規則を強化しており、同盟国企業からの投資も厳しい審査対象となった(2024年7月9日付 ニュース・フラッシュ:Champagne連邦イノベーション・科学・経済開発相、重要鉱物の大規模生産を行うカナダ企業に対するディールの審査に際し純利益の基準を引き上げ参照)。
 連邦政府がBHPのディールを却下した場合、外国企業によるカナダ重要鉱物企業の買収は歓迎されないというメッセージとなり、Teck Resources社やHudbay Minerals社、Cameco社など他のカナダの大手鉱山会社の多くが、外国企業による買収の対象外となる可能性があることを意味する。
 だが今回のディールでは、BHPはFilo社の全株式取得ではなくRundin社と出資を折半する形をとっている。またBHPはSK州に数bUS$規模のJansenカリ鉱山を建設中で、連邦政府は同プロジェクトに100mC$の出資を約束しており、BHPは有利な条件を持ち合わせている。また連邦政府は、初期段階の探鉱プロジェクトを進める小規模のジュニア企業に対する買収提案に関しては認める可能性があることも示唆している。なおFDSプロジェクトは初期開発段階ではあるものの、Filo社の企業評価額は4bC$以上で決して小規模企業ではない。
 なおMacdonald-Laurier Institute社のシニア・フェローは、外国企業による買収を阻止しようとする連邦政府の取組は、現状維持を行うだけで産業の成長に繋がらない、と批判している。

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