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加:中Zijin Mining Group子会社、連邦政府による国家安全保障審査を不服として提訴
2024年8月11日付けの現地報道によると、同年5月に加Pan American Silver社は中Zijin Mining Group(紫金鉱業集団股份有限公司)の子会社であるシンガポールJinteng Mining社に、ペルーLa Arena金鉱山とLa Arena II銅・金鉱床を約300mUS$で売却することで合意した。これに対しChampagne連邦イノベーション・科学・産業相は、同ディールが国家安全保障を害する可能性があるとし、同年6月下旬にPan American Silver社に対してカナダ投資法に基づき正式な国家安全保障審査を命じる可能性があることを伝えた。だがLa Arena金鉱山はペルーで操業されており、いかなる雇用もカナダで創出されておらず、また操業するための資産はカナダにないことから、同年7月下旬にJinteng社は同相が管轄権に欠けるとして連邦裁判所で訴えを起こした。
今回の国家安全保障の審査を回避しようとするJinteng社の裁判は、カナダに法人登記を行いながらも同国内で事業を行わず、国外で資産を保有する企業に対する連邦政府の影響力を試すものである。
カナダ企業がペルーの資産を中国国営企業に売却することから、連邦政府はカナダとの敵対国家による戦略鉱物などへの投資を精査し、厳しく取り締まる意向を示しているとCentre for International Governance Innovationの常務理事兼法律顧問は見ている。また本ディールはLa Arena金鉱山のみならず、近隣の金・銅鉱床や送電施設も買収の対象となっている。そのため同氏によると、ラテンアメリカ諸国における中国政府の戦略の一環との見方もできるとのことで、地政学的な争いの中でカナダや米国等はこのようなディールに対しより厳しい措置を取るようになっていると見ている。またJinteng社が国家安全保障審査を回避できれば、法制度の範囲外で外国企業にディールを締結できる手段が与えられる可能性があり、カナダは難しい立場に置かれると述べている。
なお2024年3月、連邦イノベーション・科学・産業相が国家安全保障審査を延長できる権限や審査の期間中に同相が暫定条件を課す権限が導入されるなど、カナダ投資法は大幅に改正され、審査プロセスは強化されている。


