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ニュース・フラッシュ

鉱種:
2024年9月13日 バンクーバー 武市知子

加:YT準州最高裁、Minto銅・金鉱山の施設を先住民Selkirk族に売却することを承認

 2024年9月7日付けの現地報道によると、YT準州の最高裁判所は先住民族Selkirk First NationがMinto銅・金鉱山のミルと水処理施設の建物を含む全施設及び設備の一部を買い取るという提案を承認した。Minto Metals社が同鉱山を操業していたものの2023年5月に突如として操業を停止、PricewaterhouseCoopers(PwC)社が管財人として任命されていた。同鉱山はSelkirk族の伝統的領土内にあり、買収金額については明らかにされていない。
 同鉱山の売却プロセスは2段階に分かれており、今回承認されたのは最初のディールである。準州の最高裁は鉱区やライセンス、許認可などの無形資産の売却に対し、Selkirk族が独占的に交渉できる権利も認めた。
 Selkirk族は声明で、同鉱山の永久閉鎖を防ぐことが最終目標だと述べており、自分たちが所有者となることで伝統的な法律と慣習に従って環境を優先しながら、経済成長を目指すことができるとしている。
 今回の売却が実現すれば先住民が所有するカナダ初の鉱山になると考えられている。Indigenous Resource Networkも今回のディールは過去に前例のないことであり、先住民族が収入源を確保できるだけでなく、環境への影響をコントロールして持続可能性を監督できる機会になるとして歓迎の意を表している。
 YT準州政府は同鉱山のリクラメーション作業を引き継いでいるが、最大で3年かかる可能性がある。YT準州の最高裁はPwC社に対し同鉱山の資産の競売を開催して鉱山の資産を売却することを許可していたものの競売は延期され、その間にSelkirk族は全ての資産をプライベートで買収する提案を行うことができたという。またPwC社としても全資産をSelkirk族に売却した方が競売よりも売却費が高くなるとして、Selkirk族との交渉を行うことを決めたと述べている。
 以前も同鉱山の買収提案は行われたものの、PwC社によると他の提案者は鉱山再稼働の実現可能性の判断やリクラメーション事業、担保金の支払い計画など、重要な問題に対処する計画を打ち出せていなかったが、Selkirk族はこれらの課題に対処できていたという。
なおSelkirk族の提案内容は以下のとおり:

  • 鉱山再開の可否を判断するため、年内にボーリングと探査を完了する予定。
  • 鉱山再開を決定した場合、担保金の支払いに応じる意向。
  • YT準州政府が行うリクラメーション事業を阻害しない。

 なお連邦政府は2024年度予算で、先住民による鉱山プロジェクトの株式取得を支援するために5bC$の融資保証を提供することを発表している(2024年5月8日付 ニュース・フラッシュ:2024年度連邦予算案の鉱業への影響参照)。

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