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- 金 銅 鉛 銀 亜鉛
米:Trump米政権、AK州Upper Kobuk Mineralプロジェクトへの戦略的投資とAmbler道路建設の許認可の再発行を行う予定
2025年10月6日付けの加Trilogy Metals社のプレスリリースによると、Trilogy Metals社と豪South32社、米Ambler Metals社は米戦争省(Department of War:DOW)と拘束力のある基本合意書(LOI)を締結した。これはAK州Upper Kobuk Mineral銅・亜鉛・鉛・金・銀プロジェクト(以下UKMプロジェクト)の探査及び開発の推進を目的とするもので、同プロジェクトはTrilogy Metals社と豪South32社が50:50で組成したJVのAmbler Metals社により運営されている。
DOWはUKMプロジェクトの重要鉱物資源の開発のために約35.6mUS$を投資してTrilogy Metals社の株式約10%を取得する予定で、Trilogy Metals社とSouth32社の両社はこの資金をUKMプロジェクトの探査及び開発事業に充てる。詳細は以下の通りである。
- DOWはTrilogy Metals社の8,215,570ユニットを1ユニット当たり2.17US$、合わせて約17.8mUS$で取得する。各ユニットは普通株式1株と10年ワラントの3/4で構成され、Ambler Accessプロジェクトの建設が完了した後の10年間に渡り、DOWは同社の権利行使価格0.01US$で普通株式1株を追加で取得できるワラントを有する。
- DOWは、South32社が保有するTrilogy Metals社の普通株8,215,570株を約17.8mUS$で取得する。またAmbler Accessプロジェクトの建設が完了した後10年間に渡り、Trilogy Metals社の6,161,678株を1株あたり0.01US$で追加で取得できるコールオプションを有する。
またDOWは3年に亘り、独立した第三者1名をTrilogy Metals社の取締役に指名できる権利を有する。さらに本契約の締結日から2029年1月1日まで、Trilogy Metals社はDOWの事前の書面による承認なしに、総額1bUS$を超える第三者からの債務を負わないことに同意する。
さらに今回の合意では、Ambler Metals社、South32社、Trilogy Metals社、米政府及びその他の必要な関係者がAmbler道路の許認可取得や資金調達、建設に関する基盤を確立する枠組みの協定に関して協議することも想定、これにより探査活動で特定されたArctic鉱床、Bornite鉱床及びその他の鉱物プロジェクトの開発が可能となる。またDOWはAK州と連携し、Ambler道路の建設に必要な資金調達を支援する。また許認可プロセスを迅速に進めるため、同プロジェクトの将来的な許認可申請をFAST-41プロセスに組み込むべく関係者は協力する。
以上の取引は全ての規制当局及び証券取引所の承認を受けることが前提であるが、特に、米議会による国防生産法の再認可と連邦政府による外国による所有・支配または影響(FOCI)の審査が完了することが条件となっており、この条件が2026年3月31日までに満たされない場合、LOIは失効する。
また、同日付現地メディアによると、2024年に内務省はAmbler道路の建設を行わないという決定記録を発行したが、内務省の土地管理局(BLM)と国立公園局、また米陸軍工兵隊は許認可を再発行して先の決定を覆す予定である。これにより、建設が早ければ2026年Q2にも開始できるとBurgum内務長官は述べている。一方、環境保護団体によると、提案されているAmbler道路は北極圏の国立公園を横断してカリブー群の移動経路を分断することから、コミュニティと野生生物にとって打撃になるという(2024年7月2日付 ニュース・フラッシュ:内務省、AK州公有地における2施策を発表参照)。


