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- グラファイト スカンジウム ガドリニウム サマリウム レアアース/希土類 リチウム レアメタル
加:連邦政府、重要鉱物サプライチェーンを確保するため新たな投資を発表
2025年10月31日の連邦天然資源省のプレスリリースによると、Hodgson連邦エネルギー・天然資源大臣は先進7か国(G7)及び産業界のパートナーとともに、安全な重要鉱物サプライチェーンの開発を加速するための重要鉱物生産同盟(Critical Minerals Production Alliance)に基づく戦略的プロジェクトや施策の第一弾を発表した。6.4bC$規模の重要鉱物プロジェクトの開発を加速及び実現するための新規投資やパートナーシップの主な内容は以下のとおりである。
- 官民資本を動員してグラファイトやレアアース元素、スカンジウムの生産など、重要鉱物プロジェクトを加速
- フランスやドイツ、イタリア、日本、ルクセンブルク、ノルウェー、米国、オーストラリア、ウクライナという同盟国9か国の産業パートナーと提携し、オフテイク契約と共同投資を確保
- 連邦政府は加Nouveau Monde Graphite社とグラファイト、またRio Tintoとスカンジウムに関するオフテイク契約を締結
- AB州Kananaskisで開催されたG7サミットのフォローアップとして、G7重要鉱物行動計画(G7 Critical Minerals Action Plan)の主要成果物である重要鉱物の基準に基づく市場を促進するためのロードマップ(Roadmap to Promote Standards-Based Markets for Critical Minerals)を発表
また今回発表された、戦略的投資及びパートナーシップは以下の通りである。
- QC州Matawinieグラファイトプロジェクト(加Nouveau Monde Graphite社):連邦政府及びルクセンブルTraxys社や日系企業とのオフテイク契約、また日本政府より投資に対する意向を受ける。これにより同社は北米最大級の完全統合型の天然グラファイト生産施設の完成を目指す。
- QC州スカンジウム生産プラント(Rio Tinto):カナダ成長基金(Canada Growth Fund)から約25mC$のロイヤルティ投資及び連邦政府とオフテイク契約を締結。これにより同社は現在の実証プラントを本格的な商業生産へ拡大し、また同盟国へのスカンジウムの安定供給の大幅な増強が可能となる。
- ON州Kingstonで建設中のレアアース処理施設(加Ucore Rare Metals社):連邦政府から条件付きで最大36.3mC$の投資が承認された。これによりサマリウムとガドリニウムの精錬に特化した、世界初の商業規模の処理施設を拡張する。またON州政府も本プロジェクトを開発を迅速に進めるため、必要な許認可発行を推進する。
- QC州Strange Lakeレアアースプロジェクト(加Torngat Metals社):仏Carester社とレアアース元素の生産及び加工に関するオフテイク契約及び技術協力契約を締結。
- ON州合成グラファイト施設(ノルウェーVianode社):カナダ輸出開発公社(Export Development Canada)から最大500mUS$の融資に関する関心表明、カナダインフラ銀行(Canada Infrastructure Bank)からの関心表明、また独政府から最大300mUS$の輸出信用保証による支援の可能性に関する関心表明を取得。
- QC州Lac des Ilesグラファイト鉱山(加Northern Graphite社):伊Alkeemia社とオフテイク契約及び処理契約に関する意向書を締結、また本契約はNorthern Graphite社がフランスとQC州に計画中のアノード材製造施設にAlkeemia社技術の導入もサポートする。
以上の戦略的発表は、同盟国との以下の新たな重要鉱物協力に基づくものである。
- 英国輸出信用保証局(UK Export Finance)はカナダ輸出開発公社及び連邦天然資源省と緊密に連携し、重要鉱物プロジェクトへの金融支援を検討
- ENI(伊)はカナダのリチウムやグラファイト、レアアースの精錬や重要鉱物のリサイクル技術を有するスタートアップ企業への投資機会を通じ、重要鉱物の戦略的生産やサプライチェーンへの参入を計画
- 連邦政府と豪政府は重要鉱物の協力に向けた意向に関する共同宣言(Joint Declaration of Intent on Critical Minerals Cooperation)に署名
またG7重要鉱物行動計画の一環として、国際的パートナーと共同で開発する重要鉱物の研究開発プロジェクトを支援するため、連邦政府は最大20.2mC$を提供することも発表した。
さらに連邦政府は以下の目的のため、国防生産法(Defence Production Act)を活用して重要鉱物の備蓄を行う。
- 国防に不可欠な戦略的分野における国内のキャパシティを強化
- 国内生産を動員するとともに保護し、カナダ及び同盟国の防衛産業への安定供給を確保
- 信頼できるパートナーと協力し、北極圏の主権と国内及び集団的な備蓄の取り組みを支援
- 大西洋を横断するキャパシティを拡大し、北大西洋条約機構(NATO)の抑止力及び防衛目標を推進


