チリ:2010年4月の銅生産実績 |
チリ統計局INEによると、チリの2010年4月の銅生産量は454,979tで、前年同月の427,723tから6.4%増となった。銅精鉱中の銅が対前年同月比8.7%増の194,643t、銅カソードが2.2%減の260,336tであった。2010年1~4月期の銅生産量は172万tで、前年同期の167万tから3.2%増となった。 2010年4月のモリブデン生産量は対前年同月比5.9%増の2,745tで、2010年1~3月に見られた対前年同月比減少傾向が逆転した。鉄鉱石、金、銀の4月の生産量は各々対前年同月比22.6%減、9.4%減、15.4%減であった。 |
(2010. 6. 8 サンティアゴ 菱田 元) 目次へ |
チリ:Sierra GordaプロジェクトのEISが当局に提出される |
5月31日付けで、チリ第Ⅱ州COREMA(州環境委員会)に対し、Quadra FNX Miningが100%権益を有するSierra Gorda銅・モリブデンプロジェクトのEIS(環境影響評価書)が提出された。 同プロジェクトは、チリ第Ⅱ州Sierra Gorda町の北方4.5 kmに所在し、開発コストは19億US$、建設期間は30か月の予定で2013年に操業開始、21年間の操業が予定されている。 2009年11月の経済性評価では、年間の銅及びモリブデン生産量は各々113千~181千t、15千tを見込んでおり、モリブデンは世界で3~4番目の生産規模となる。 銅生産形態は、銅精鉱及び銅地金の2種類を計画しており、銅精鉱については、141 km離れた海岸町であるMejillonesにパイプ流送・脱水後、海外向けに出荷される。 なお、Quadra FNX Miningは、2010年3月にQuadra Mining(本社Vancouver)とFNX Mining(本社Tronto)が中規模の銅生産企業を目指し、対等合併して設立された企業である。 また、3月上旬にはQuadra Miningと中国国営送電会社である国家電網公司(SGCC)の関連会社の国家電網国際発展有限公司SGID(China’s State Grid International Development)と対等JV企業体を形成し、Quadraは900百万US$相当の資産を提供し、SGIDは900百万US$を出資する。本企業体の最終合意については中国当局の承認を得た後、取引は10月に完了する見込みである。 |
(2010. 6. 8 サンティアゴ 大野克久) 目次へ |
チリ:Anglo American Chile社の2010年投資額は10億US$ |
5月31日付け地元紙等によると、ロンドンに本社のあるAnglo American子会社のAnglo American Chile社CEO Miguel Angel Duran氏は、2010年のチリにおける投資額は10億US$で、その多くは進行中のLos Bronces銅鉱山拡張プロジェクトに費やされると述べた。 Los Bronces鉱山の2009年銅生産量は238,423tであったが、設備投資額24億US$の拡張プロジェクトは操業開始から10年間で年平均400,000t、最初の3年間で年平均490,000tの銅生産を目標としている。予定どおり2011年第4四半期に拡張工事が完了すると、Los Bronces鉱山は銅生産量で世界第5位となる。このプロジェクトには2009年末までに既に10億US$が支出された。 Duran氏によると、Anglo American Chile社の2009年銅生産量は669,814tで同社の記録を更新したが、2010年の銅生産量は銅鉱石品位低下により若干前年を下回る見込みである。 Anglo Americanはその他にEl Soldado銅鉱山、Mantos Blancos銅鉱山、Mantoverde銅鉱山、Collahuasi銅鉱山(44%権益)、Chgres銅製錬所を操業する。 |
(2010. 6. 8 サンティアゴ 菱田 元) 目次へ |
チリ:2010年Q1の民間鉱山会社の純利益は対前年同期比190%増 |
6月1日付け一般紙等によると、チリ証券保険監督庁に提出された民間鉱山会社17社のうち15社の業務実績報告に基づくと、2010年Q1のこれら企業全体の純利益は対前年同期比190%増の28億78百万US$を達成した。 これは、2010年Q1平均銅価格が2009年同期の1.56 US$/lbから111%増の3.29 US$/lbまで上昇した他、モリブデン及び硫酸価格の上昇によるものである。 中でもEscondida鉱山の純利益は10億25百万US$で2009年同期の3億93百万US$から161%増加している他、Collahuasi鉱山でも対前年同期比177%増の5億78百万US$を達成している。 因みに、国営鉱山企業であるCODELCOは、ここには含まれていない。 |
(2010. 6. 8 サンティアゴ 大野克久) 目次へ |
チリ:BHP BillitonがPampa Norteディヴィジョンを創設 |
6月3日付け地元紙等によると、多国籍資源グループBHP Billitonはチリ北部のCerro Colorado銅鉱山とSpence銅鉱山を合わせて経営管理するPampa Norteディヴィジョンを創設すると発表した。新しいディヴィジョンはSpence鉱山ジェネラル・マネージャーLucas Dow氏がヘッドとなり、BHP Billitonベースメタル部門社長の直属となる。事務所はチリ第Ⅰ州Iquique市に置かれ、7月より営業開始となる。 BHP Billitonベースメタル部門社長には、CODELCO総裁の職についたDiego Hernandes氏の後任としてPeter Beaven氏が最近任命されたが、正式就任は2010年11月で、それまではIvan Arriagada氏が社長としての業務を執り行う。 Lucas Dow氏は、新しいディヴィジョンはチリ北部におけるBHP Billiton社の存在基盤を強固にし、成長と発展のプラットフォームを築くであろうと述べた。 BHP Billitonはこの他チリ第Ⅱ州で世界最大規模のEscondida鉱山を操業している。 |
(2010. 6. 8 サンティアゴ 菱田 元) 目次へ |
チリ:Radomiro Tomic硫化銅プロジェクトの操業まもなく開始 |
6月3日付け地元紙等によると、CODELCO Norte ディヴィジョンSergio Jarpa副所長はチリ第Ⅱ州Radomiro Tomic鉱山の硫化銅鉱石を隣接するChuquicamata鉱山の鉱石処理施設で処理するプロジェクトを6月7日の週に開始すると述べた。 投資額370百万US$のこのプロジェクトは、一日当たり100,000tのRadomiro Tomic鉱山産の硫化銅鉱石を、9 km離れたChuquicamata選鉱場にベルトコンベアで運び処理する。 本プロジェクトはCODELCOが年間の銅生産量170万tを維持するため2010年に開始する3件の操業プロジェクトの1件で、残り2件はチリ中央部のEl TenienteディヴィジョンPiar NorteプロジェクトとAndinaディヴィジョンPhaseⅠ拡張プロジェクトである。 Chuquicamata鉱山と共にCODELCO Norte ディヴィジョンに属するRadomiro Tomic鉱山の2009年銅生産量は307,600tで前年286,000tの7.6%増であった。CODELCO Norte ディヴィジョンの2010年第1四半期の銅生産量は205,000tで、前年同期176,000tの16%増となった。 |
(2010. 6. 8 サンティアゴ 菱田 元) 目次へ |
チリ:リチウム資源に係る政府の新政策 |
6月3日付け一般紙等によると、チリ政府は鉱業の幅を拡大する観点から、特にチリに豊富に存在するリチウム資源開発に関する新政策を検討している。 Laurence Golborne鉱業大臣によれば、このアイデアは自動車会社やハイテク企業でバッテリーを必要とするような国際規模の企業や投資家をチリに惹きつけるような種々のインセンティブを創出することにあるとしている。要はリチウムの付加価値を高めるようなこれらの企業を招致することである。 しかしながら、同大臣は法的な改正が必要で決してすぐには解決できるものではないことを認めている。 そのためにも、Golborne大臣はこれからの数か月は鉱業権に関する法律の改正法案を国会に提出すべく、議員や専門家及びリチウム関係機関と議論を継続する予定である。 目的はリチウムの採掘に関する鉱業権を与えることができるようにすることで、その後、最終製品の製造会社を創出すべく国際投資企業と交渉する段階に移る。 同大臣は、「この産業は非常に小規模で、世界需要は炭酸リチウム換算で約10万tであり、チリは3億US$足らずの輸出となっている。若しこの業界を開発し、10倍の規模に出来るのであれば、来る10年間で30億US$の規模になる」とコメントしている。 また、鉱業大臣は先ず法的枠組みが整った時点で海外からの投資家、特にヨーロッパの自動車会社、韓国、日本、中国のハイテク企業ならびに製薬及び建設会社などを惹きつけるために必要とされるインセンティブを創造するといっている。 考えられる政策としては、塩湖からリチウムを採取できる企業とのジョイントベンチャー設立、調査ならびに開発を目的とした投資のための鉱業権の授与、二国間の協力協定締結等であると同大臣は語っている。 |
(2010. 6. 8 サンティアゴ 大野克久) 目次へ |
ペルー:ペルー中・南部、6月半ばに複数の抗議行動発生か |
6月2日付け地元紙等によると、国内中・南部において、6月半ばに複数鉱業への抗議行動が計画されている。 Moquegua農業調節協議会は、6月3日にAnglo Americanの銅Quellavecoプロジェクトによる水資源利用に反対する抗議行動の実施を計画しているほか、鉱山労働者連盟のCastillo書記長がDoe Run Peru社のLa Oroya製錬所が操業を停止していることに対して、6月7日に抗議行動を行う旨を発表した。 更に、Arequipa、Moquegua、Puno、Madre de Dios、Apurimac、Cusco県の市民の抗議行動団体等は、6月17日にCamiseaガス田の天然ガス輸出への反対を表明する24時間抗議行動の実施を計画しているほか、労働総連を始めとする各組合に対して、天然ガスの輸出反対や、その他燃料の値上げ反対を表明するために、6月15日前後に全国ストライキを行うよう呼びかけ、合意に至った模様である。 |
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メキシコ:Santa Elena金・銀プロジェクト、採鉱開始 |
SilverCrest Mines Inc.(本社:加Vancouver)は、メキシコ・ソノラ州に保有するSanta Elena金・銀プロジェクトで採鉱を開始したと5月27日付け同社HPに発表した。同プロジェクトは州都Hermosilloの北東150 kmに位置する。同発表によると、最初の切羽から約30,000tの鉱石が貯鉱場に送られており、3段階の破砕設備の最終調整が行われている。同プロジェクトでは、2010年夏から金・銀生産を開始し、商業生産の開始は2010年第4四半期の予定である。同プロジェクトの年産計画量はAu 1.1t、Ag 19t、マインライフは8年、平均操業キャッシュコストは375 US$/oz-Au(Agクレジットを含む)と見込まれている。 |
(2010. 6. 4 メキシコ 小島和浩) 目次へ |
メキシコ:El Cubo金・銀鉱山の労働争議 |
Gammon Gold Inc.(本社:加Halifax)は、メキシコ・Guanajuato州に保有するEl Cubo金・銀鉱山の労組が違法ストライキを開始したと同6月3日付け同社HPに発表した。同発表によると、同鉱山労組は請負業者及び労組員の鉱山施設内への立入を阻んでいる。労組からの正式発表は行われていないが、会社側は本違法ストライキを労使間の利益配分に関する交渉のもつれに起因するものと見ている。 同鉱山の2010年Q1の産金量は205 kg、産銀量は10.1tであった。 |
(2010. 6. 4 メキシコ 小島和浩) 目次へ |
メキシコ:Bolivar鉱山の2010年Q1操業実績 |
Dia Bras Exploration Inc.(本社:加・Montréal)は、メキシコ・Chihuahua州に保有するBolivar鉱山の2010年Q1の操業実績を下表のとおり5月28日付けで発表した。
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2010年Q1 |
2009年Q1 |
増減(%) |
粗鉱処理量(t) |
27,827 |
27,987 |
-0.57 |
Cu品位(%) |
1.54 |
1.66 |
-7.23 |
Zn品位(%) |
9.99 |
9.64 |
3.63 |
Cu生産量(t) |
360 |
381 |
-5.43 |
Zn生産量(t) |
2,469 |
2,367 |
4.31 |
キャッシュコスト (US$/t(粗鉱)) |
83.92 |
66.85 |
25.53 |
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(2010. 6. 4 メキシコ 小島和浩) 目次へ |
メキシコ:La Guitarra金・銀鉱山、フル操業再開へ |
Genco Resources Ltd.(本社:加Vancouver)は、メキシコ・Mexico州Temascaltepec地区に保有するLa Guitarra金・銀鉱山の爆薬使用が許可され、フル操業再開の準備が整ったと5月31日付け同社HPに発表した。同鉱山は、2008年10月に昇給を要求する労働者のストライキと同鉱山へのアクセス道封鎖により操業停止を強いられた。同社は、2009年12月にこれらの労働者を合法的に解雇し、鉱山操業の再開を目的とした活動を開始した。同鉱山の選鉱場は2010年4月から操業を再開している。 |
(2010. 6. 4 メキシコ 小島和浩) 目次へ |
加・メキシコ:加・Goldcorp社、メキシコのSan Dimas金・銀鉱山の売却を発表 |
Goldcorp(本社:Vancouver)は、メキシコ・Durango州(Sinaloa州との州境部)に保有するSan Dimas金・銀鉱山を総額500百万US$でMala Noche Resources Corp.(本社:Vancouver)に売却することで両社が合意したと6月2日付けで発表した。両社の合意によると、Mala Noche社は現金275百万US$、同社株式175百万US$相当、及び50百万US$の約束手形(支払期限5年、年率6%)と引き換えにSan Dimas鉱山を獲得する。GoldcorpはMala Noche社の全株式の約30%を保有することとなる。なお、売却の実施には、現在提案中のMala Noche社のエクイティ・ファイナンスが完了すること等が条件となっている。 San Dimas金・銀鉱山は3か所の抗内採掘場からなり、2009年のSan Dimas鉱山の産金量は3.5t、産銀量は158tであった。また、現在の埋蔵量は、金26.8t、銀1,894.2tである。 |
(2010. 6. 5 バンクーバー 村上尚義. メキシコ 小島和浩) 目次へ |
加:KORES、アルゼンチン北西部のSal de Vidaリチウム探鉱・開発プロジェクトに参入 |
Lithium One社(本社:Toronto)は6月4日、アルゼンチン北西部のHombre Muerto塩湖に位置するSal de Vidaリチウム探鉱・開発プロジェクトについて、韓国の国営企業であるKorea Resources Corp.(本社:韓国Seoul、略称「KORES」)とJV契約を締結したと発表した。 本JV契約は、KORESが開発前の探鉱及びDFS(Definitive Feasibility Study)完了に15百万US$を上限とする費用を支出することにより、本プロジェクトの権益30%を取得するオプション契約となっている。KORESはDFS完了後、オプションの行使によって、本プロジェクトの完遂及びLithium One社負担分開発費(権益70%分)の負債を保証することになる。 本JV契約に定められた生産物の取り扱いとして、KORESはリチウム生産物の全量を中国、日本及び韓国で販売する権利を有しており、一方、Lithium One社はカリウム生産物の全量を販売する権利を有する。また、KORESはLithium One社との交渉により、リチウム生産物の50%を上限として、市場価格で引き取ることができる。 その他にKORESは、その取得権益を韓国企業に引き継ぐことができ、既にKORES、GS Caltex社及びLG International社の間で、各々10%の権益を保有する覚書が交わされている。 Lithium One社は本プロジェクトエリアにおいて地質調査、地表試料採取、物理探査、ボーリング調査、そして3か所で調査井の掘削を実施済みで、現在4か所目の調査井を掘削中である。2010年4月の同社のレポートでは、約120 km²の範囲における地表付近の塩水分析結果として、その累加平均値は、Li 760mg/L(644ppm)、K 8,559mg/L(0.725%)、Mg 1,209mg/L、及びMg/Li比1.65となっている。今後Lithium One社は引き続きオペレーターを務め、DFS完了には約15か月が見込まれている。 本プロジェクトが位置するHombre Muerto塩湖では、FMC社が1997年からリチウムを生産しており、世界のリチウム生産量の約10%を占めている。 |
(2010. 6. 5 バンクーバー 村上尚義) 目次へ |
加:Pacific Rim社、エルサルバドルのEl Dorado金・銀プロジェクトを巡り仲裁始まる |
地元紙等などによると、2010年5月31日、Pacific Rim Mining社(本社:Vancouver、以下:PRM社)がエルサルバドル政府を相手取った仲裁が開始されると報じた。これは、2006年にエルサルバドル(以下、同国)がCAFTA(中央アメリカ自由貿易協定)に加盟して以来、初の仲裁となる。仲裁内容は、PRM社が、北エルサルバドルで展開中のEl Dorado金・銀プロジェクトにおいて、同国政府がPRM社の開発予定地域における環境被害の可能性を指摘して開発許可を取り消そうとしていることに対し、PRM社(米国部門)が当該開発許可を不法に取り消そうとしているとして仲裁を願い出たもの。PRM社は、既に同プロジェクトに77百万C$を投資しており、同国政府が開発続行を許可しない場合には、数百万C$の損害賠償請求も辞さない構えである。 |
(2010. 6. 7 バンクーバー 大野隆幸) 目次へ |
加:Copper Mountain社、三菱マテリアル社の尽力で資金調達 |
地元紙等などによると、2010年5月31日、Copper Mountain Mining社(本社:Vancouver)は、BC州南部における最重要なCopper Mountainプロジェクト(以下、同プロジェクト)の再開発のために322百万US$の融資契約に署名したと報じた。同プロジェクトへの融資取付は、同プロジェクトに25%の権益を有する三菱マテリアル社が手配したものであり、借入金の内訳は、三菱東京UFJ銀行とみずほコーポレート銀行から併せて162百万US$(NEXI(貿易保険機構)の保険付保)、JBIC(国際協力銀行)から160百万US$となっている。 |
(2010. 6. 7 バンクーバー 大野隆幸) 目次へ |
欧州:REACH順守状況、約1,600企業のうち24%が予備登録で義務不履行と判定 |
欧州化学品庁(ECHA)による6月1日の公式発表によれば、REACH施行に関する意見交換フォーラムは、REACH-EN-FORCE 1プロジェクトで、2009年5~12月の間にノルウェー、アイスランドを含む23か国で約1,600企業のREACH予備登録のコンプライアンス(順守)状況の検査を行い、24%の企業がREACH規則の義務に不履行であるとの結論に達したと発表した。 最初の対象となった1,600企業は、製造会社が878企業、輸入業者が666企業、代理業者が83企業、下流ユーザーが858企業。うち、ベースメタル製造会社は68社、金属加工業者は29社であった。不順守と判断された企業の多くは、化学物質安全性データシートまたは化学物質の予備登録でのマイナーミスが原因とされている。さらに、本調査対象企業のうち2.6%は、予備登録を怠ったため、本登録の猶予期間が与えられず、REACH規則第5条の「no data, no market」で違反していると分析された。 これらの予備登録の未完了に対する措置は、再提出などの管理命令が下された企業(169社)、各国で定められている罰金刑が下された企業(12社)、刑事告訴(3社)などと相違する。REACH規則違反に対する罰金や禁固処分に関しては各国によって異なるが、現在、先月発表されたEUコンサルタント調査報告書では、総合的にREACH罰金は値上げすべきとの意見も出ている。なお、今後、本フォーラムは2011年4月まで、予備登録の順守状況検査を延長する予定である。 (REACH順守状況の第一回検査結果: http://echa.europa.eu/doc/about/organisation/forum/ref_1_facts_report.pdf)
EUコンサルタント調査報告書: http://ec.europa.eu/environment/chemicals/reach/pdf/report%20REACH%20penalties.pdf)
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(2010. 6. 4 ロンドン フレンチ香織) 目次へ |
欧州:欧州議会、シアンを使用する青化製錬の禁止を求める |
環境関連誌によれば、欧州議会は、水枠組み指令(Directive 2000/60/EC)で設定された水質目標基準及び生物多様性の保全を目指して、欧州委員会は、シアンを利用する青化製錬を禁止すべきと提案している。 ハンガリー、ドイツ、チェコ共和国では、国家法でシアン利用の青化製錬をすでに禁止しているが、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャなどを含むいくつかのEU諸国では、禁止されておらず、新規の金鉱山での青化製錬の利用が予想されている。 現状、欧州委員会は本禁止案に反対の姿勢である。理由は、シアンの代替物質が欠如しており、また、現行の鉱業廃棄物指令によって排出は厳しく制限されているためと述べる。なお、欧州議会は、青化製錬の代替技術はすでに存在すると主張しており、2012年には本禁止を導入する方法を模索している。 |
(2010. 6. 4 ロンドン フレンチ香織) 目次へ |
カザフスタン:東芝、Kazatompromとレアメタル製造・販売の合併会社の設立に合意 |
東芝は6月3日、Kazatomprom(カザフスタンの国営原子力会社)と、レアメタル分野に関する合併会社を設立することで合意したと発表した。今後、必要な許認証を取得すれば、2010年9月には合併企業を設立する計画である。新合併会社の資本金は500万US$を予定。出資比率は東芝49%、Kazatompromが51%とされている。 日本、カザフスタンの政府間で締結された原子力エネルギー分野のパートナーシップ協定に基づいて、東芝は2007年4月に、Kazatompromが推進するウラン鉱山開発プロジェクトへの参画するなど協力関係を深めてきた。新合併会社では、[1]ニオブ、ベリリウム応用製品、タンタル材の販売、[2]ニオブ、タンタル、ベリリウムを応用した新製品に関する製品開発、[3]ウラン鉱山から副産物であるレニウム、ネオジウム、ディスプロシウム等の回収・販売事業に関する検討、[4]カザフスタン国内における新規供給源探索の検討などが事業展開の内容として紹介されていた。 |
(2010. 6. 4 ロンドン フレンチ香織) 目次へ |
ジンバブエ:Zimplats、Ngezi鉱山拡張及び製錬所の建設を検討中 |
報道によれば、南アImpala Platinum社の子会社であるZimplatsは、ジンバブエ初の金属製錬所の建設、そして投資総額5億US$のNgezi鉱山の拡張における第2フェーズ計画への本格的な移行を検討している模様である。ジンバブエは、南アに次ぐ世界第2位のプラチナ生産国であるが、現在の連立政権の不和状態、ならびに2010年3月に一方的に施行された『Indigenisation and Empowerment Act(2007)』によって、投資家の間で不信感が続いている。Zimplatsも3月の講演には、「本法の不利な条件や、同社へのジンバブエ中央銀行の債務が34百万US$にまで上っていること、また、APT(追加収益税)をめぐった政府関係者との議論などは、第2フェーズ拡張計画の実行を阻害する課題である」と述べていた。他方、今回の報道では、Zimplatsの関係者は、「本法の施行で、5億US$相当の第2フェーズ拡張計画を断念するのは誤判定である」との強気な意見が聞かれた。 Johnson Matthey社が5月に発表した2009年のプラチナ・パラジウム需給分析では、2009年におけるジンバブエのプラチナ生産は前年比28%増の230百万oz、パラジウム生産は同比28%増180百万ozの増加を示した。Zimplats社のNgezi鉱山は、Portal 1の開発プロジェクトが完了したことにより、2009年はプラチナ生産が130千ozにまで増産。2011年に第1フェーズ拡張計画が完了すれば、同鉱山でのプラチナ生産は180千oz/年にまで増強されるとされ、また、第2フェーズ拡張計画が実行されれば、さらに270千oz/年にまで拡大されると推測されている。 なお、Anglo Platinumが開発中のUnki鉱山開発プロジェクトは、プラチナ年産能力は6万ozで、2011年から操業開始が予定されている。地政学的リスクが懸念されるなか、プラチナ大手の鉱山開発は着々と進んでおり、今後の同国でのPGM増産が期待されている。 |
(2010. 6. 4 ロンドン フレンチ香織) 目次へ |
ナミビア:ロシア、ナミビア政府間で、ウラン共同開発に関する覚書(MOU)を締結 |
各社報道によれば、ロシアのメドベーシェフ大統領は5月20日、ナミビアのポハンバ大統領がロシアを訪問した際に、5年間のウラン共同開発に関するMOUに合意した。本MOUに基づいて、ロシア国営原子力企業Rosatom(旧・ロシア原子力庁の機能を継承)傘下のARMZと、ナミビア国営企業Epangelo Miningが、共同プロジェクトを計画・実施するためのワーキンググループを設立する予定である。なお、本共同チームは、Rossing Southウランプロジェクトの開発を目指す模様。 本MOUが締結された際、メドベーシェフ大統領は、「石油・天然ガスの探鉱、及び鉱物開発のJV事業に力を入れたい。そして、ナミビアに、水力発電所2基を建設し、また、ミネラル肥料の製造工場の設立、鉄道のインフラ整備も実行したい。今後は、同国でのエネルギー、運輸、及び鉱物資源開発を注視していく。」と発言している。また、同日、Rosatomのキリエンコ総裁は、「Rosatomは10億US$を投資できる準備は出来ている。」と言及。同総裁は、「ナミビアでの鉱山開発はコストが低く、魅力的」とコメントし、同社は年内に鉱山の開発調査を始める方針である。 ロシア政府は2010年5月、トルコと200億US$相当のトルコ初の原子力発電所の設置に合意。このことから、本MOUは、ロシアが、トルコで同国初となる原子力発電所へのウラン燃料を輸出するための資源確保ではないかとも分析されている。なお、Rosatom傘下のARMZは2008年、SWAウラン鉱山のJV探鉱に参画し、現在もRossing South付近にて探鉱活動を続けている模様。 ナミビアは、世界第4位のウラン産出国で、Paladin社のLanger Heinrich鉱山とRio TintoのRossing鉱山で、世界の約10%を占める。世界第3位の巨大鉱山であるナミビアのRossing鉱山は、2009年に3,519千tのウランを生産。ウラン確定鉱石埋蔵量は世界第8位である。1966年にRio Tintoがウラン鉱体を発見し、1976年に鉱山活動が開始したばかりなので、未開拓・未探鉱の地域が多いとされている。 |
(2010. 6. 8 ロンドン フレンチ香織) 目次へ |
モロッコ:IFC、Kasbah Resources社株14%の共同出資に合意 |
5月19日の豪ジュニア探鉱企業であるKasbah Resources社(AUX上場)の発表によれば、国際金融公社(IFC)、及び非上場投資企業によって構成されている豪投資会社African Lion社が共同出資(3.5百万豪$相当)を行い、IFCがKasbah Resources社の株14%を獲得することで合意した。同社が注目するモロッコのAchmmach錫プロジェクトは、高品位鉱床として知られ、JORC資源量は6百万t(錫品位0.9%)tと分析されている。2010年Q3にはFSを行い、2011年6月には今後の開発計画が決定される予定である。 |
(2010. 6. 2 ロンドン フレンチ香織) 目次へ |
南ア:南ア鉱業協会、2010年1Qの産金量発表 |
南ア鉱業協会(Chamber of Mines of South Africa)は、6月2日(水)に、2010年1Qの産金量を発表した。 それによれば、2010年1Qの南アの産金量は、約43.9tで、2009年4Qの約51.7tに比べ15%減となった。 なお、2009年の産金量は、約205tで、2008年の約218tに比べ5.8%減であった。 |
(2010. 6. 4 ロンドン 竹谷正彦) 目次へ |
南ア:Xtrata-Merafe ResoucesクロムJV、冬季メンテナンスで溶鉱炉休止 |
Merafe Resouces社(本社:南ア)は、6月3日(木)、Xtrata-Merafe ResoucesのクロムJVにおいて、冬季における溶鉱炉の定期メンテナンスを行うことを発表した。 今後3か月の間に、20機中10機の溶鉱炉を順次休止させ定期メンテナンスを行う。メンテナンス期間中の稼働率は、平均65%の予定である。 溶鉱炉の冬季操業は、電力コストが他の季節に比べ高くなることから、電力コストの低減を図るため、この時期に溶鉱炉の定期点検を実施している。 なお、同JVは、全世界のクロム需要の約20%を供給している。 |
(2010. 6. 4 ロンドン 竹谷正彦) 目次へ |
南ア:韓国の東部製鉄等、南アでの鉱山開発、及び銑鉄工場の新設に向けて、475百万US$の投資を発表 |
各社報道によれば、韓国の東部製鉄(Dongbu Steel)、韓国鉱物資源公社(KORES)、及び南アのKermas社の3社は5月27日、ヨハネスブルグ北部のStoffberg鉱山の開発に向けたMOUを締結した。Stoffberg鉱山の推定埋蔵量は最大5億t(品位Fe43%)。チタンの埋蔵量も豊富と期待されている。 加えて、本MOUのもと、3社は総額475百万US$を投資。Stoffberg内に1.2百万t/年の銑鉄工場も新設する計画である。本工場は、2013年に稼働を開始する予定で、東部製鉄及びKORESは、電炉原料となる銑鉄60万t、チタンを定額で安定調達できることとなる。 なお、東部製鉄は、韓国で3番目に大きい熱延薄板(HRC)の製造会社であり、電炉を有している。年間3百万t/年の生産能力を有し、2010年は2.5百万tのHRC生産を目標としている。 |
(2010. 6. 4 ロンドン フレンチ香織) 目次へ |
南ア:Great Western Group、旧Steenkampskraal鉱山におけるレアアース採掘権の更新を完了 |
報道によれば、南ア鉱物資源省は6月3日、Great Western Group(本社:加Saskatoon、TSX-V上場、以下、GWG)及びRareco社が開発するSteenkampskraalプロジェクト(休山中)に関する鉱業権の更新手続きを完了し、新鉱業権を発行した。 GWGは2009年1月、南アのRameco社(Rare Earth Extraction Co. Ltd.)と本プロジェクトの再開発に向けたオプション契約を締結。その際にGWGは、Ramecoに1百万ZARを支払うことによって、本プロジェクトからのレアアース金属を100%供給できる排他的アクセス権を獲得したが、現在は、本供給契約の最終決定が議論されている。 Steenkampskraal鉱山は1952~1963年の間、Anglo Americanの子会社によって運営され、トリウム回収を目的としたモナズ石採掘が行われていたが、中国の圧倒的なレアアース生産により閉山した。現在、本プロジェクトの開発は進んでおり、2012年に生産を開始する予定である。なお、同鉱山は、軽希土類と重希土類の比重が92:8ではあるが、過去の調査データでは、資源量29.4千tの中にジスプロシウム196tが含有されているとのこと。GWGは、本鉱山が中国外の最初のレアアース鉱山の再開になることを目標としている。 |
(2010. 6. 4 ロンドン フレンチ香織) 目次へ |
豪:資源超過利潤税は連邦議会選挙に影響 |
経済コンサルタントのAccess Economicsは、連邦政府が発表した資源超過利潤税(RSPT)により、総投資額835億A$、70の資源開発プロジェクトが開発の見直しを迫られているとの調査結果を示した。この中には4つの大型プロジェクトを含んでおり、これだけで500億A$を超える開発予算規模となっており、そのうちの一つがBHP BillitonがSA州で操業するOlympic Dam銅・ウラン鉱山拡張工事で、開発予算が200億A$、残り3つがQLD州で開発が進む石炭層ガス(Coal Seam Gas)プロジェクトとなっている。連邦準備銀行(中央銀行)が毎月発表している月次の商品価格指数(Monthly Commodity Price Index)は、底値であった2009年5月に比べ44%上昇しており、これが資源開発推進を保障する原動力になっていたが、RSPT発表後には、金融機関を含め開発資金の調達を再検討する必要が生じているとしている。 こうした資源企業の懸念は州政府にも影響を及ぼしており、労働党政権であるSA州では次回連邦議会選挙で労働党が4議席を失うとして連邦政府に警告を発し、同じく労働党政権であるQLD州も議席数や雇用に重要な影響が出るとしてRSPTの修正を連邦政府に促している。これに対してラッド首相、スワン財務大臣は口を閉ざしているが、APEC貿易大臣会合で訪日しているクリーン貿易大臣は、BHP BillitonとRio Tintoは、連邦政府の協力なくしてはWA州Pilbaraの鉄鉱石生産事業の統合はないとして、資源企業はRSPTに理解を示すべきとの考えを述べている。 一方、企業側の反応であるが、BHP Billitonは、Olympic Dam銅・ウラン鉱山拡張工事についてRSPTが開発に与える影響について懸念を表明しているだけで州政府に圧力をかけたものでないとの見解を示しているが、資源州においては資源開発が州の財政や雇用面に直接影響する。資源企業側からみれば、州政府に対し間接的に圧力をかけた形に見える。 なお、今週末にSydney Morning Herald紙と調査会社のNielsenが合同で実施した世論調査によれば、RSPT導入に対する国民の不支持が増加し、導入に反対する野党保守連合への支持率が53%と与党労働党支持の47%を引き離している。このため現時点で選挙を実施すれば政権が交代すると主要紙が伝えており、早期のRSPTの修正にラッド政権は応じるべきと論調している。 以下、RSPT発表以降に資源企業が開発の見直しを表明したプロジェクトを示す。
棚上げされたプロジェクト |
プロジェクト名 |
鉱種 |
開発事業者 |
開発規模 (億A$) |
影響を受ける
雇用者数 |
Eenest Henry (QLD州) |
銅/金 |
Xstrata |
6 |
250 |
Solomon (WA州) |
鉄鉱石 |
Fortescue Metals Group |
90 |
21,000 |
Western Hub (WA州) |
鉄鉱石 |
Fortescue Metals Group |
60 |
12,500 |
Wandoan (QLD州) |
石炭 |
Xstrata |
60 |
3,000 |
開発に影響があるプロジェクト |
Olympic Dam (SA州) |
銅/ウラン |
BHP Billiton |
20 |
17,000 |
Cloncurry (QLD州) |
銅 |
Exco |
2 |
270 |
Tropicana (WA州) |
金 |
Anglo Gold Ashanti |
6 |
1,100 |
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(2010. 6. 7 シドニー 原田富雄) 目次へ |
豪:Alumina社はアルミナ価格の価格決定方式の変更を提言 |
2010年6月3日、Alumina Ltd.(本社:豪Melborne)のJohn Bevan最高経営責任者(CEO)は、シドニーで開催されたカンファレンスで、アルミナ価格の価格決定方式の変更を提言した。現在のアルミナ価格はアルミニウム価格とリンクした価格決定方式を用いているが、これは適正な市場価格を反映しているとは言えず、今後は、需要均衡価格又は短期スポット契約を反映する価格決定方式へ変更する必要があると述べた。この背景には中国の市場シェアと短期スポット契約の増加がある。Bevan氏は、新価格決定方式によって中国以外の短期スポット契約を広げるべきであり、新価格決定方式は価格上昇と生産者への利益増をもたらす可能性があると述べた。 |
(2010. 6. 7 シドニー 増田一夫) 目次へ |
豪:QLD州の資源企業はロイヤルティの引上げを阻止 |
連邦政府は資源超過利潤税(RSPT)導入に伴い、資源企業への二重課税を防止する観点から州政府が課税するロイヤリティの課税控除を認めているが、RSPTが発表された2010年5月2日時点でのロイヤルティを基に控除するため、州政府によりロイヤルティが引上げられた場合の保障が認められない制度設計となっている。 QLD州は2008年に石炭のロイヤルティの引上げを行い、2011年度には非鉄金属についても引上げを検討しているとされ、先週、同州に拠点を置く資源企業の関連団体はキャンベラを訪問し、RSPTの協議委員会(コンサルテーション・パネル)に対して、連邦政府がQLD州政府に対して引上げを行わないよう指導することを求めた。同団体は消費税(GST)制度と同様に、連邦及び州政府の合意書に基づきロイヤルティの引上げを連邦政府が停止することが出来ると主張したが、協議委員会からは効果的なメカニズムがないとして明確な答えを引出せなかった。連邦政府としてはロイヤルティ引上げにより、RSPT制度運用に支障をきたすことを望んでおらず、州政府には引上げを行って欲しくないのが本音であるとみられる。 一方、QLD州政府はロイヤルティの引上げを行わないことを鉱山側に保障しており、今週発表になるQLD州予算案においてもロイヤルティ引上げを盛り込まないとしている。 |
(2010. 6. 8 シドニー 原田富雄) 目次へ |
豪:FMR Investment社はQLD州Eloise銅鉱山の再開計画を見送り |
2010年6月7日付け地元紙等によれば、資源超過利潤税(RSPT)の発表を受け、FMR Investment Pty Ltd.(本社:豪Perth)がEloise銅鉱山の再開計画を見送ったと報じた。Eloise銅鉱山は2008年11月に操業を一時中止し維持及び保守状態となっていたが、最近の金属価格の回復を受け、2010年末までに操業再開する計画であった。Eloise銅鉱山の再開により150名の雇用創出となるはずであった。 |
(2010. 6. 8 シドニー 増田一夫) 目次へ |
豪:PNG、環境保護法改正によりRamuニッケル/コバルト開発プロジェクトが進展 |
PNG議会は、環境破壊、労働争議及び土地所有者による搾取から資源開発を保護するため環境保護法改正法案を賛成73票、反対10票で可決した。改正法では、環境庁長官による許可が与えられればいかなる関係者も裁判所の係争に持ち込むことは出来ないとされる。 今回の決定には総工費15億A$を投じ2010年末の操業開始に向け開発が行われているPNG・Ramuニッケル/コバルト開発プロジェクト(オペレーター:中国冶金建設集団公司(MCC:China Metallurgical Construction Group Corp.))の事情があると考えられる。廃さいを深海底に埋め戻すBasamuk処理施設は、周辺海域に生息するサンゴ礁にダメージを与えるとして環境保護を訴える地元住民4名が施設建設差し止めを同裁判所に訴え、2010年3月、PNGの国家裁判所(National Court)は、Basamuk処理施設の建設を一時中断するよう命じていた。同プロジェクトの8.56%の権益を持つHighland Pacific社は、裁判所の停止命令を認めているが、施設建設予定地の地主は住民が起こした訴えを支持していないとして、当初の開発計画に支障はないと発表している。しかしながら、一方で中断期間が長期化した場合、施設の建設予定地の変更も必要になるとしていた。 また、2009年には、同処理施設建設現場で発生した地元労働者と中国人労働者の間で発生した暴動事件により建設工事が一時中断したこともあり、改正案により同プロジェクトの開発が進むものと考えられるが、今後、外国企業による資源開発が引き起こす環境破壊について義務を免れるものになりかねないとの懸念もある。 |
(2010. 6. 8 シドニー 原田富雄) 目次へ |
インドネシア:エネ鉱省、錫採掘・製錬企業の鉱業権剥奪に懸念 |
地元紙等によると、エネルギー鉱物資源省鉱物石炭地熱総局のMarpaung技術・環境局長は、Zulkifli Hassan林業大臣が言及したPT Koba Tinの森林法違反に対する鉱業権剥奪可能性に関し、もし剥奪されれば2010年の錫生産目標105千tのうち10%程度が達成できなくなり、ロイヤルティー収入にも影響がでる恐れがあるとコメントし、林業省を牽制した。 |
(2010. 6. 7 ジャカルタ 小岩孝二) 目次へ |
インドネシア:Bangka Belintung諸島州政府、住民による小規模錫採掘禁止を検討 |
地元紙等によると、Bangka Belintung諸島州政府は、住民による伝統的小規模錫採掘により同州内の環境が悪化しているとして、2015年を目途に禁止する方向で検討している。州政府当局者は、これまで小規模採掘により数百に及ぶ窪地ができ、青緑色の酸性水の湖沼と化していると指摘している。これら小規模採掘を禁止しても、PT Timah等の大企業による採掘により、錫生産量には影響は出ないとも述べている。しかし、中小の錫製錬所の中にはこれら小規模錫採掘に原料の大半を依存しているところもあり、影響を免れられない。 |
(2010. 6. 7 ジャカルタ 小岩孝二) 目次へ |
インドネシア:Tujuh Bukit銅・金硫化鉱プロジェクト探鉱結果 |
Intrepid Mines Ltd.(本社:豪・Brisbane)は、東Jawa州Tujuh Bukit銅・金硫化鉱プロジェクトの探鉱結果を発表した。これによると、GTD-10-146孔では孔口から158~726m間(着鉱幅568m):品位Au 0.60g/t、Cu 0.49%(内、高品位部 (246m以深38m間):Au 0.71g/t、Cu 0.89%)という成果を得ている。なお、同社は、鉱区が保護林区域に含まれており、同区域内で探鉱する森林省の許可が2010年2月失効のため更新手続きを行っているが、同省が許可全体の見直しを進めているため更新できておらず、探鉱を中断している。また、森林法の規定により保護林では露天掘が禁止されているため、保護林解除についても模索しているとしている。 |
(2010. 6. 7 ジャカルタ 小岩孝二) 目次へ |
ベトナム:鉱物法改正案を国会で審議 |
地元紙等によると、5月31日に国会経済委員会が国会本会議において鉱物法改正案の概要説明を行った。これによると、2005年の鉱物法改正により鉱業権付与権限が地方政府に大幅に委任されたが、これが乱開発による環境悪化を招いたとしている。このため、小規模鉱業については引続き地方政府に委任するが、それ以外の鉱業権発給・管理は天然資源環境省が実施する計画である。また、改正法では、企業に対し技術、財務両面での実行確実性を要求すると共に、環境の保全、鉱山周辺住民に対する福利提供等が法案に盛り込まれている。国会本会議では6月16日に同法案について議論する予定である。 |
(2010. 6. 7 ジャカルタ 小岩孝二) 目次へ |
中国:工業情報化部、希土類採掘規制強化へ |
CHINA DAILYによると消息筋によると、工業情報化部及び国家発展改革委員会は、希土類の違法採掘の厳重な取り締まりと企業再編による資源保護をめざし、数社の国有企業にのみ採掘権を付与する方針を固め、国務院に承認を申請した。承認されれば、数社の国有企業にライセンスが発行され、民間企業の採掘参加は出資のみ可能となる。 |
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中国:国土資源部中央地質探査基金管理センター、鉱産地戦略備蓄を検討 |
中国国土資源報によると、国土資源部中央地質探査基金管理センターは5月7日、北京で専門家による「国家鉱産地戦略備蓄研究会」を開催した。国務院発展研究センター、工業情報化部、国土資源部、国家物資備蓄局などの専門家約20名により鉱種、規模、配置、管理及び運営などの問題に関し討論を行った。中国政府は鉱産地戦略備蓄の研究を進め、第1回備蓄モデル対象を石炭、希土類とする予定。 「国土資源第11次5か年計画綱要」では、政府及び企業の共同出資によりエネルギー、重要鉱産物の大中規模鉱産地での戦略備蓄制度を確立するとしていた。2008年に国土資源部が作成した「全国鉱産資源計画(2008~2015年)」では、2020年(注:上記資源計画では2010~2015年となっている)までに40~50か所の鉱産地での備蓄を指標とし、10~20か所の特殊炭種及び希少炭種、10~30か所のタングステン、アンチモン、レアアースなど保護性採掘対象鉱種の備蓄基地を建設するとしている。 国土資源部中央地質探査基金管理センターの程利偉主任によると、中央地質探査基金管理センター設立許可(2007年5月)にあたり、同センターは国家鉱産資源戦略備蓄制度の研究及び鉱産地備蓄実施機関となった。2008年7月に行われた国務院による政府組織計画案見直しにより、国土資源部による鉱産地備蓄管理機能は一層明確にされている。地質探査基金管理センターは2008年、鉱産地備蓄制度の早期確立のため国土資源経済研究院及び財政部財政科学研究所と鉱産資源戦略基地備蓄に関し枠組・実施方法などについて共同研究を行い、「鉱産資源戦略基地備蓄管理弁法(意見版)」を作成した。2009年にはレアアースと石炭の試験的鉱産地戦略備蓄計画研究を開始、基地立地及び利害調整問題を解決するため試験的実施計画案をまとめ、現在研究は終盤に近づいている。 また程利偉主任によれば、鉱産地戦略備蓄は資源の安定供給、資源開発管理、経済社会の持続的発展確保のために必要な措置で、突発的な供給中断に対する最も直接的かつ効果的な手段であるとしている、とのことである。ここ数年、鉱産地資源戦略備蓄制度に関心が高まり、各分野専門家による研究及び政策提言がなされており、すでに鉱産地資源戦略備蓄のうち戦略石油備蓄はすでに開始されている。鉱産地備蓄は管理コストが低く、長期的に有効な資源備蓄方式であり、速やかな推進が必要であるとも述べられている。 同研究会では、鉱産地備蓄制度確立の重要性及び緊迫性を確認し、目標、方法及び関連する重要問題に関し政策面、実施面から提言している。 |
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中国:資源税改革、新疆で原油と天然ガスについて先行実施 |
現地報道によると、国務院の批准を経て、財政部と国家税務総局は『新疆原油天然ガス資源税の若干の問題に関する規定』を制定、6月1日施行で財税(2010)54号として発布した。これにより、資源税改革が、新疆ウイグル自治区で先行して、原油と天然ガスについて実施される。「資源税改革を新疆で先行実施することにより、我が国の資源税改革は堅実な一歩を踏み出した」と税務総局は述べた。 中国の資源税で規定されている課税対象は、原油・天然ガス・石炭・黒色(主に鉄鉱)金属鉱石・非鉄金属鉱石・その他非金属鉱石・塩等の7分類であり、価格の高低に影響されない従量課税であった。これを売上高従価税とすることや、税収地方配分を増加することなどが改革のテーマとして掲げられている。また一部には課税対象の拡大(例えば水資源)も伝えられているが、その改革全体像はまだ明示されていない。 今回の発布された上記規定は、この資源税改革に基づき、対象と地域を限定して先行実施するもの。当局は改革全体像の目的を、資源の合理的な開発採掘と節約による環境友好型社会の構築のためとしているが、同時に、税金負担の再調整や地方税収の増加のための中央-地方配分比の改定なども掲げている。 |
(2010. 6. 8 企画調査部 渡邉美和) 目次へ |
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おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。
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