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 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の海外事務所から送られてくる、資源開発や金属産業に関する最新のニュースを集めたニュースレターです。過去の記事をキーワードで検索することもできます。
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 No.10-50  12月22日

[ 中 南 米 ]
チリ:SQMが硫酸カリウム増産に係る環境認可を取得
チリ:銅価格と鉱業ロイヤルティ
ブラジル、チリ:MMXは、Serra Azul鉄鉱石鉱山拡張及びBom Sucesso鉄鉱石鉱山開発プロジェクトに29.3億US$の投資を承認
メキシコ:Panther社(加)がGuanajuato金銀鉱山の新規地区の資源量評価を公表
メキシコ:2010年10月主要非鉄金属生産量

[ 北 米 ]
米:Western Lithium社、ネバダ州粘土リチウム案件のパイロットテスト結果を公表
米:Uranium Energy社、テキサス州・Goliadウラン・プロジェクトで環境許認可を取得
加:Rio Tinto、カナダのアルミ精錬所の近代化と拡張に10億US$を投資する計画を発表

[ 欧 州 ・ C I S ]
グリーンランド:Kvanefjeldウラン‐レアアース案件評価に対しGreenland Minerals社が許認可を取得
カザフスタン:Tau-Ken Samruk公社、Rio TintoまたはValeとの共同探鉱を模索

[ ア フ リ カ ]
タンザニア:ロシアARMZ、Mantra Resources及びUranium Oneとの合意を発表
  [ オ セ ア ニ ア ]
豪:鉱物資源利用税(MRRT)の詳細を検討する「政策移行グループ(Policy Transition Group(PTG))」が検討結果を連邦政府に提出
豪:Navigator Resources社、レアアース新会社の概要を発表
豪:Global Advanced Metals社(前Talison Minerals社)、タンタル生産を再開か
豪:アンチモン・プロジェクト保有のAnchor Resources社、中国企業から買収提案を受ける

[ ア ジ ア ]
インドネシア:経済担当調整大臣、鉱業分野の高付加価値化政策の早期実施を主張
ベトナム:鉱産資源採掘開発管理強化
ベトナム:改正鉱物法が公布、2011年7月から施行
中国:2010年、10種非鉄金属生産3,100万t超の見込み
中国:中国アルミ業公司(Chinalco)、中国長江三峡集団公司と戦略的協力協定締結
中国:チベット、エネルギー及び非鉄金属戦略地域化
中国:財務部、2011年輸出暫定税率発表
中国:中国五鉱集団(Minmetals)、傘下上場企業も含めグループ内再編


チリ:SQMが硫酸カリウム増産に係る環境認可を取得
 世界有数の肥料企業であるSQM(本社Santiago)は、チリ第Ⅱ州COREMA(州環境委員会)より、硫酸カリウム増産に係る環境認可を取得した。
 これにより、同社は現在の硫酸カリウムの生産能力160万t/年を2014年に210~220万t/年に拡大することが可能となる(投資額1億US$)。
(2010. 12. 21 サンティアゴ 大野克久) 目次へ
チリ:銅価格と鉱業ロイヤルティ
 チリ政府は、2010年2月下旬に発生したチリ地震復興財源確保の一環として、鉱業ロイヤルティ(正式名称:鉱業特別税)を引き上げることにより2010~2012年の3年間に10億US$を確保することを念頭に、2010年10月下旬に鉱業ロイヤルティ法(鉱業特別税法)を改正した。
 これに対し、チリ鉱業協会(SONAMI)は、最近の銅価格高騰を背景として、ロイヤルティを引き上げなくても今後3年間で10億US$の国庫収入拡大は可能であるとの試算を発表した。
 これに対し、Golborne鉱業大臣は、10月に改正した鉱業ロイヤルティ法は、単に地震復興資金捻出のみならず、金属価格の上昇に伴い増加した分については、チリの発展のために利用されるものであるとコメントしている。
 民間企業は、2011年1月17日までに改正鉱業ロイヤルティ法あるいは従来の鉱業ロイヤルティ法についての選択を決定することになっている。
(2010. 12. 21 サンティアゴ 大野克久) 目次へ
ブラジル、チリ:MMXは、Serra Azul鉄鉱石鉱山拡張及びBom Sucesso鉄鉱石鉱山開発プロジェクトに29.3億US$の投資を承認
 ブラジルの鉄鉱石生産企業MMX(本社サンパウロ)は、同社がMinas Gerais州に保有するSerra Azul鉄鉱石鉱山に20.5億US$を投資し、新たに24百万t/年の選鉱施設建設、鉄道敷設及び全長10 kmの鉱山から鉄道ターミナルまでのベルトコンベア敷設を実施する他、8.8億US$で年間鉄鉱石生産量10百万tのBom Sucesso鉱山を開発することを承認した(2014年生産開始予定)。
 また同社は、チリ第Ⅲ州で2014年から鉄鉱石の10百万t/年生産を念頭に地質調査とエンジニアリング概念設計を実施中であるが、2011年にボーリング調査を実施し、同年末には資源量評価レポートを公表する予定である。
(2010. 12. 21 サンティアゴ 大野克久) 目次へ
メキシコ:Panther社(加)がGuanajuato金銀鉱山の新規地区の資源量評価を公表
 Great Panther Silver Ltd.(本社:加・Vancouver)は、メキシコ・Guanajuato州に保有するGuanajuato金銀鉱山の新規3地区の最初の資源量評価を2010年12月15日付け同社HPに発表した。
 同社は、同鉱山の他、Durango州のTopia多金属鉱山を操業するとともに、両鉱山近隣地区で探鉱を実施している。3地区(Cata Clavo地区、Los Pozos地区及びSanta Margarita地区)の精測・概測資源量は、399,000 t、平均品位Au 2.12 g/t及びAg 282 g/tと見込まれ、同鉱山の資源量評価は対2009年の評価比で53%増となった。
 同鉱山の2010年Q3の生産量は、Ag 11.9 t、Au 68.5 kg、Pb 271 t及びZn 352 tであった。
(2010. 12. 20 メキシコ 高木博康) 目次へ
メキシコ:2010年10月主要非鉄金属生産量
 INEGI(メキシコ国立統計地理情報院)は2010年12月20日付けHPにおいて、2010年10月のメキシコ主要非鉄金属生産量(速報値)を、下表のとおり発表した。

  2009年
10月
2010年
9月
2010年
10月
前年
同月比
(%)
前月比
(%)
2009年
1~10月期
2010年
1~10月期
前年
同期比
(%)
金(kg) 4,900 5,811 5,254 7.2 -9.6 38,720 47,117 21.7
銀(kg) 274,719 266,610 279,426 1.7 4.8 2,145,395 2,591,347 20.8
鉛(t) 10,925 9,097 11,026 0.9 21.2 84,593 99,269 17.3
銅(t) 19,182 18,789 15,474 -19.3 -17.6 192,749 184,783 -4.1
亜鉛(t) 32,372 32,150 31,703 -2.1 -1.4 325,535 322,273 -1.0
(2010. 12. 20 メキシコ 高木博康) 目次へ
米:Western Lithium社、ネバダ州粘土リチウム案件のパイロットテスト結果を公表
 Western Lithium USA Corp.(本社:ネバダ州リノ)(以下、Western Lithium社)は、2010年12月17日、同社が現在開発に向けてプレFSを実施しているネバダ州北部のKings Valley粘土リチウム案件について、独立第三者コンサルタントによる炭酸リチウム生産についてのパイロットテストの結果を公表した。
 米国とカナダの2か所のラボでパイロットテストを実施した結果、炭酸リチウムの純度が99.5%以上を示し、一部では99.9%に達するものもみられたとのことである。現在の処理工程ではまだppmオーダーの硫酸ナトリウムや硫酸カリウムが認められるが、これらも二酸化炭素を用いた処理により、バッテリーグレードのリチウム品位にまで高めることが可能であることが、パイロットテストの結果から示された。また、同社は本テストにより約2 kgの炭酸リチウムの生産に成功している。2011年は、これら処理プロセスの最適化及び許認可の取得に注力していくとのことである。
 Kings Valley案件は、2010年1月にNI43-101準拠の予備的な経済性評価レポートを出しており、それによると副産物であるカリウムの利益を考慮すると、炭酸リチウムの生産コストは1t当たり1,967 US$と、塩湖かん水型リチウム案件と比較しても十分なコスト競争力があるとしている。
(2010. 12. 20 バンクーバー 片山弘行) 目次へ
米:Uranium Energy社、テキサス州・Goliadウラン・プロジェクトで環境許認可を取得
 Uranium Energy Corp.(本社:米国テキサス州)は、2010年12月14日、同社が米国テキサス州南部に保有するGoliadウランプロジェクトについて、テキサス州環境委員会(Texas Commission on Environmental Quality)から採掘許可(Mine Permit)、生産区域に対する認可(Production Area Authorization)及び帯水層に対する指定免除(Exempt Aquifer)を受けたことを明らかにした。
 Goliadウランプロジェクトは、原位置でウランを溶液にて浸出して回収するin-situ recovery(ISR)による生産を目指しており、現在、同州の放射性元素ライセンス(Radioactive Material License)を申請中である。放射性元素ライセンスは、環境委員会による技術レビューが実施されているところであり、同社により1月中旬に追加情報が提出され次第、環境委員会による技術レビューの結論が出される予定である。
 本プロジェクトは、Uranium Energy社が所有するテキサス州南部の4つのウランISRプロジェクトの一つであり、Hobson ISR処理施設の東約65 kmに位置する。現在、同社はそのうちの一つであるPalangana鉱山で2010年11月17日に同様のISR法にてウランを生産開始し、また、Hobson処理施設で12月1日に処理を開始した。
(2010. 12. 20 バンクーバー 片山弘行) 目次へ
加:Rio Tinto、カナダのアルミ精錬所の近代化と拡張に10億US$を投資する計画を発表
 Rio Tintoは、2010年12月14日、近代化と拡張により、カナダのアルミ精錬所の生産効率を向上させるための投資計画を発表した。
 投資の大半(7億5,800万US$)は、QC州Saguenay-Lac-Saint-JeanのAP60プラントの第一段階を完成させるために費やされる。また、BC州Kitimat製錬所の25億US$の近代化建設計画の準備として、更に3億US$を投資する。
 Rio Tinto Alcan(Rio Tinto子会社、本社QC州Montreal)によって開発されたAP技術は、エネルギー効率を向上させてアルミニウム生産コストを削減するように設計されている。AP60は最先端技術であり、プラントのポット当たり金属生産量は、既存の製錬所より40%更に高くなる。
 Kitimat近代化プロジェクトは、現在の年間生産容量を約42万tへ48%以上増加させる。
 Rio Tinto Alcanの代表Jacynthe Côtéは「AP60プラントの第1段階は、私達のAPシリーズの次世代プラットホームになり、アルミ精錬技術において世界のリーダーであることを強調する。最も費用対効果に優れ、低エネルギーで環境に優しい商業的に利用可能な製錬技術。いったん完成されるとKitimatは世界で最も低コストの製錬所になる。」と述べている。
 年末までにAP60プロジェクトに約3億7,100万US$の支出を見込んでいる。また、Kitimat近代化プロジェクトへは3億5,000万US$の支出を見込んでいる(最終承認は2011年予定)。
(2010. 12. 20 バンクーバー 大北博紀) 目次へ
グリーンランド:Kvanefjeldウラン‐レアアース案件評価に対しGreenland Minerals社が許認可を取得
 Greenland Minerals and Energy Ltd.(本社:豪州・Perth)(以下、Greenland Minerals社)は、2010年12月14日、同社がグリーンランドで保有しているKvanefjeldウラン‐レアアース案件の評価を実施するための許可をグリーンランド政府から得たことを明らかにした。
 この許可は、金属鉱床評価の枠組みを定めた「グリーンランドにおける探鉱ライセンスに関する基本条項(standard terms for exploration licenses in Greenland)」に最近加えられた修正に基づいて発行されている。この修正は、従来のライセンス対象とされなかったウランをはじめとする放射性元素を対象に含めるものであり、これにより同社が、放射性元素を対象に含むライセンスを取得した最初の企業となった。
 Kvanefjeld案件は、グリーンランド南部Ilimaussaqアルカリ貫入岩の北縁に位置し、ウラン、レアアース、鉛に富むとしている。2009年6月のJORC準拠レポートによると、概測資源量と予測資源量の合計が457百万t、平均品位0.028% U3O8,1.07% TREO, 0.22% Zn(カットオフ品位0.015% U3O8)と報告されている。
(2010. 12. 20 バンクーバー 片山弘行) 目次へ
カザフスタン:Tau-Ken Samruk公社、Rio TintoまたはValeとの共同探鉱を模索
 各社報道によれば、カザフスタン工業新技術省(Ministry of Industry and New Technologies of the Republic of Kazakhstan)の副大臣は2010年12月14日、同国のTau-Ken Samruk鉱山公社が、Rio TintoまたはValeのどちらかと共同で、Karaganda州Spasskayaゾーンを探鉱する機会を模索していると発言した。Spasskayaゾーンは面積1万2千km²規模で、金、銀、銅資源などの多金属鉱床が期待される。2010年9月には、Valeが本ゾーンの開発に興味を示していると報じられていた。
 Rio Tintoは2010年6月、カザフスタンのTau-Ken Samruk公社と共同探鉱・採掘に係るJV事業の形成に係るMOUを締結。50:50の参加比率で、本MOUにより、Tau-Ken Samrukは探鉱・生産権やその他の権利を得るために援助し、Rio Tintoは技術協力、及び探鉱、採掘、製錬プロセスなどのグッドプラクティスを共有する役割を担うこととなっている。Tau-Ken SamrukのCEOは、「本JV事業により、銅、金、ボーキサイト、鉄鉱石を探鉱する方針である」と述べている。
(2010. 12. 20 ロンドン フレンチ香織) 目次へ
タンザニア:ロシアARMZ、Mantra Resources及びUranium Oneとの合意を発表
 ロシア国営企業ARMZは2010年12月15日、タンザニアでウラン探鉱案件を有するMantra Resources(豪、ASX & TSX上場、以下Mantra社)の株式100%取得を目的として、全額現金で11.6億A$相当の買収オファーを提示し、Mantra社と本計画実施に関する合意(Scheme Implementation Agreement)に至ったと発表した。さらに、ARMZは同日、大多数の株式(51%)を有するUranium One(加、TSX & JSE上場、以下U1)と、12か月以内(延長可能)でMantra社の株式100%を売買できるオプション契約(Pull/Call Option agreement)も締結したと発表した。ARMZは、「ARMZの成長のためにも、世界展開の基盤となるUranium One社による開発を目指し、これらの合意に至った」と言及。本プロジェクトを買収すれば、U1は、同社の精測及び概測資源量を68%増加させることとなる。
 Mantra社は、タンザニア南部で最も有望視されているMkuju Riverウラン探鉱プロジェクトを有する。Mkuju RiverプロジェクトのNI43-101規程に基づく精測及び概測資源量は平均U3O8品位439 ppmで67.7百万t。2012年に生産を開始する予定で、現在はDefinitive F/Sが完了に近づいている。なお、Uranex NL社(豪)に続いて、同社のプロジェクトはタンザニア国内でのウランの初生産と期待されており、政府は現在、放射性物質の取り扱いに関する法整備に取り組んでいる模様。
 ARMZは、ロシア国営原子力企業Rosatom(旧ロシア原子力庁の機能を継承)傘下の企業である。ARMZは世界ウラン生産第5位で、主な生産はロシアで行っているが、2010年6月にUranium One社の株式51%を610百万US$で取得したことにより、カザフスタン、米国、豪州のウラン権益を獲得。また、アフリカではナミビアで、2008年よりSWAウラン鉱山のJV探鉱に参画し、現在もRossing South付近にて探鉱活動を続けている模様である。2010年5月には、ナミビアとロシア政府のと間で、5年間のウラン共同開発に関するMOUが合意され、ARMZはナミビア国営企業Epangelo Miningとワーキンググループを設立している。
(2010. 12. 20 ロンドン フレンチ香織) 目次へ
豪:鉱物資源利用税(MRRT)の詳細を検討する「政策移行グループ(Policy Transition Group(PTG))」が検討結果を連邦政府に提出
 2012年7月1日に連邦政府が導入を予定している「鉱物資源利用税(MRRT)」の詳細を検討する「政策移行グループ(Policy Transition Group(PTG))」は、2010年12月21日、これまで関係者間で議論、検討してきた結果をレポートにまとめ、Swan副首相兼財務大臣に提出した。同日、提出された2部構成のレポートは連邦政府のウェブサイトに公開されており、94に及ぶ提言がまとめられている。
 PTGの中で最大の関心事であった州政府のロイヤルティに関し、これまでPTGの共同議長を務めたMartin Ferguson連邦資源大臣は、「MRRTの導入に際し、二重課税防止の観点から、(MRRTの基になった資源超過利潤税(RSPT)が発表された)2010年5月2日時点で採用されていたロイヤルティについては資源企業への還付対象とするものの、それ以降のロイヤルティ値上げ相当分については対象としない」旨表明してきたことから、MRRT導入にあたってギラード首相との間で妥結した資源大手3社(BHP Billiton、Rio Tinto、Xstrata)との約束を反故にする発言として物議を醸してきた。
 資源大手を含む業界は、RSPT導入が発表された5月以降、メディアを通じた反政府キャンペーンを実施、国民から大きな反響を得たことを教訓に、連邦政府がロイヤルティに対する考えを変更しない場合、年明けから再度反政府キャンペーンを実施すると表明していたが、今回「現在及び将来に亘りロイヤルティは全額相殺(be credited)される」と提言されたことから、資源大手3社、豪州鉱業協会(MCA)は歓迎の意向を示している。
 一方で、Swan大臣は年明けから連邦政府との間でロイヤルティ問題、特に連邦の関与・値上げに関し討議を開始したいとしているが、資源を多く産出するQLD州及びWA州の首相は、ロイヤルティ制度は憲法上も州政府が権限を持つとして、既に連邦の姿勢に反対を表明した。
 その他今次提言の中で注目される点は次のとおりであるが、上記ロイヤルティ問題を含め、採択するかについては年明けから政府部内で協議するとされている。
 ・課税対象企業(原案では年間利益が50百万A$以上)は、50百万A$以上から課税対象
 とし、100百万A$以上からフルの税率で課税する段階税率の適用
 ・探鉱還付金等の探鉱企業支援制度へのインセンティブは不要と結論
 ・課税ポイントは鉱山からの採掘時点(加工を含めず)→磁鉄鉱企業の求めに応じる
 なお、RSPT導入を提言したヘンリー調査報告書(Henry Tax Review)の取りまとめ役であり、10年間に亘り財務省次官ポストを努めてきたHenry次官は、本レポートが提出された21日付けで退職(Barclays Capitalが再就職先候補)となり、連邦政府で重要課題である気候変動政策(炭素税、CPRS)に詳しいParkinson気候変動・エネルギー効率化・水資源省次官(前財務省副次官)が後任となる。
(2010. 12. 21 シドニー 原田富雄) 目次へ
豪:Navigator Resources社、レアアース新会社の概要を発表
 2010年10月22日、豪州WA州でCummins Rangeレアアース・プロジェクトを手がける金鉱山会社Navigator Resources社(本社:WA州Perth)は、レアアースに特化した会社(Rare Earth Company(RECo))を設立、2011年初頭にも豪州証券取引所に上場するとしていたが、2010年12月16日、新会社となるKimberley Rare Earths Ltd.(以下、KRE)の概要を発表した。
 Navigator Resources社はCummins Rangeレアアース・プロジェクトの25%権益を保有、これとは別にKREに対しては、Navigator Resources社とのJV合意書の中で、4年間で10百万A$の拠出により30%権益を取得する権利を与えることで、KREはマジョリティとなる55%のプロジェクト権益を有する。また、Navigator Resources社は、プロジェクトのEarn-in期間においてマネージメントとオペレーションを行うとしている。
 更にKREは、15百万A$を市場から調達するため、Navigator Resources社の株主を優先しNavigator Resources社の1株に対しKREの2株を取得できるとし、その他にもBGF Equities社をファンドマネージャーに指名して証券の公募を行うとしている。
(2010. 12. 21 シドニー 原田富雄) 目次へ
豪:Global Advanced Metals社(前Talison Minerals社)、タンタル生産を再開か
 2010年12月14日、豪州WA州でMt Cattlinリチウム・タンタル開発プロジェクトを手がけるGalaxy Resources Ltd.(本社:豪Perth、以下、Galaxy社)は、Global Advanced Metals社との間で同プロジェクトから産出されるタンタル精鉱の販売契約を締結したと発表した。Mt Cattlinの鉱石は約3%のタンタル酸化物を含有し、5年間に亘り20万ポンド(約90 t)をGlobal Advanced Metals社に供給販売するとしている。
 タンタルとリチウムの世界的サプライヤーであったTalison Minerals社は、所有資産のうちタンタル資産をTalison Tantalum Pty Ltd.(現Global Advanced Metals社)に、リチウム資産をTalison Lithium社に分社化しているが、2005年にGreenbushesタンタル・リチウム鉱山(WA州)のタンタル生産を停止、2008年末にはWodgina鉱山(WA州)を一時閉山し、210人の労働者の解雇を発表していた。同鉱山は1989年に開発され、140万ポンド(約635 t)のタンタルを生産する能力があるが、世界金融危機当時、電子産業用の需要が落ち込んでいること、サプライ・チェーンにおける材料費を長期的に圧縮する傾向にあること、また、中央アフリカ、特にDRCコンゴ国内において不法、あるいは危険を冒して採掘される鉱山からの供給が増えていることを閉山に至る理由として説明していた。
 Global Advanced Metals社は、今回Galaxy社からタンタル精鉱を買鉱することで合意に至ったことから、年明けにはタンタルの生産を再開、その半年後に出荷が開始されると読む関係者もいる。
(2010. 12. 21 シドニー 原田富雄) 目次へ
豪:アンチモン・プロジェクト保有のAnchor Resources社、中国企業から買収提案を受ける
 2010年12月20日、ジュニア探鉱企業のAnchor Resources社(本社:NSW州Sydney)は中国のChina Shandong Jinshunda Groupから買収提案を受けたと発表した。豪州証券市場(ASX)に公表された提案書によれば、Shandong Jinshunda Groupの豪州子会社Sunstar Capital Pty Ltd.を通じてAnchor Resources社の発行済み全株式を0.28A$/株で買い取るとしている。
 同社は、2010年12月9日に、NSW州北西部で探鉱中のBielsdownアンチモン・プロジェクト(Wild Creek鉱床)のJORC資源量を更新したところで、今回の唐突な提案に対し株主には静観するよう求めている。
(2010. 12. 21 シドニー 原田富雄) 目次へ
インドネシア:経済担当調整大臣、鉱業分野の高付加価値化政策の早期実施を主張
 地元紙等報道によれば、インドネシアHatta Rajasa経済担当調整大臣は、南東スラウェシ州Kendalにおける中国企業とのニッケル製錬所建設プロジェクトの調印式の席上で、「鉱業分野での高付加価値化政策に符合する製錬所建設を早期に実施していくべきである」と語った。また、「鉱石輸出は天然資源がもたらす利益を国に還元するには不十分であり、今後、政府としては、安易に容認すべきではない」と訴えた。
 このニッケル製錬所建設プロジェクトの調印式は、中国Jilin Horoc Non-Ferrous Metal Group(吉林昊融有色金属集団公司)と南東スラウェシ州知事との間で調印され、経済担当調整大臣は立会人として署名した。同ニッケル製錬所建設プロジェクトは19億US$を投じ、ニッケル年産10万tの規模の製錬所と発電プラントの建設を行うもので、プロジェクトのインドネシア側企業パートナーはPT Billy Indonesiaとなる。
 発電量の一部は地元周辺地域に供給され、新鉱業法下の高付加価値化政策の具現化と、地元地域への貢献といった点で、インドネシア政府関係者の間では高く評価されている。
(2010. 12. 20 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ
ベトナム:鉱産資源採掘開発管理強化
 中国地元紙はベトナム紙による情報として、ベトナムでの鉱物資源状況やその採掘開発管理について以下のように報道した。
 ベトナム工貿部の統計によると、ベトナムには現在60種以上で5,000以上の鉱区が存在し、資源量が大きい鉱種として、ボーキサイト、石炭、チタンなどがある。2009年の鉱業部門はGDPの12%を占めている。近年、同国の採鉱企業数は継続して増加していて、2000年にはわずか427社だったものが、現在では1,500社を超えている。発行済の鉱産、資源開発採掘証は約4,000件に上り、そのうち建材関係が2,500、その他が金属・非金属・鉱泉水である。これら鉱物採掘企業は一般的に規模が小さく、技術と設備も劣り、結果として鉱物資源の浪費につながっている。許可証の発行も透明性が不足しているといわれている。また無許可での採掘も多く、ベトナム北東部の広寧(Quang Ninh)省だけでも、石炭密輸は毎年1,000万tに達し、国家財政に約2.3億US$の損失をもたらしているとのことである。
 同国工貿部門によれば、鉱物資源の開発採掘管理の強化のための新たな細則を起草し審議を受けているとのこと。この細則は2011年7月1日の鉱産法施行後に発効予定だが、今後は鉱物資源の探査開発は主に国有大型企業が実施し、原則として外資は参加できないとされている。しかし、特殊な条件下、例えば原油やボーキサイトやハノイ南東部平原地区での石炭などの開発について、技術や資金や販売先などが外資に求められる場合は、例外となる。鉱産品の加工業や更に川下産業に関しては、外資だけでは参入できない。
(2010. 12. 14 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
ベトナム:改正鉱物法が公布、2011年7月から施行
 各社報道によれば、ベトナム改正鉱物法(Minerals Law)が第8回国会を通過し、2010年12月14日公布された。改正法の施行は2011年7月1日となる。天然資源環境省のコメントでは、改正法における探鉱・開発ライセンス付与手続き上の主なポイントは、オークションによる鉱物資源の開発ライセンスの付与、鉱物資源の国家管理、ライセンス手続きの地方への権限移譲などである。
 ライセンス付与のオークション化は、現在のライセンス手続きにみられる政府・事業者間などの癒着を誘発する構造を排除することを狙いとし、十分な能力と経験を有した適格者にライセンスを与えることを目的としている。また、単に探鉱や開発上のルールを定めるだけではなく、この分野において関係機関の重複していた権限を解消するなど、鉱物資源政策全般に亘る規定の変更がなされており、加えて、ライセンス所有者からライセンス料を徴収するなどの市場経済のルールに基づいた国家管理手法に大きく変更されている。
(2010. 12. 20 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ
中国:2010年、10種非鉄金属生産3,100万t超の見込み
 中国有色金属工業協会の尚福山副会長によれば、第11次5か年計画期間中に非鉄金属生産量は安定的に増加し、その最終年の2010年に10種非鉄金属生産量は3,100万t以上(10月までの生産量は2,613.77万tで、対前年同期比23.89%増)となる見込みである。第11次5か年計画期間中の年間平均伸び率は、13.62%となる。10月までの生産量及び輸入量は、次のとおり。

(単位:万t)
  生産量 輸入量
  2010年
1~10月
対前年同期比(%) 2010年
1~10月
対前年同期比(%)
ボーキサイト N.D   2,437.92 65.25
酸化アルミ 2,414.88 26.32 363.03 ▲ 19.52
電解アルミ 1,374.41 32.56 19.26 ▲ 86.21
銅精鉱 92.35 19.94 543.49 5.86
銅(地金) 377.71 11.82 246.12 ▲ 10.47
鉛精鉱 151.14 42.88 130.61 ▲ 2.31
鉛(地金) 335.40 8.84 1.91 ▲ 87.52
亜鉛精鉱 294.06 24.87 270.36 ▲ 12.84
亜鉛(地金) 425.60 20.97 26.51 ▲ 57.86
ニッケル精鉱 6.64 ▲ 3.60 1,963.44 47.97
ニッケル(地金) 14.11 6.87 15.49 ▲ 28.17
錫精鉱 6.60 13.75 1.49 174.34
錫(地金) 12.12 15.26 1.42 ▲ 22.60
注)精鉱生産量については、金属量。輸入量については、実物量。
出典:有色金属信息、安泰科
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中国:中国アルミ業公司(Chinalco)、中国長江三峡集団公司と戦略的協力協定締結
 安泰科によれば、中国アルミ業公司(Chinalco)は、中国長江三峡集団公司と北京で戦略的協力協定を締結した。両社は、国内外の電力エネルギーへの投資、資源開発、その他の分野で全面的に協力事業を展開する計画とのことである。
 中国長江三峡集団公司は、水力発電・電源開発・発電所運営を主要業務とする大手クリーンエネルギー集団で、水力資源を開発利用する分野での国内のリーダー企業でもある。
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中国:チベット、エネルギー及び非鉄金属戦略地域化
 安泰科等によれば、チベット昌都地区発展改革委員会は、第12次5か年計画期間中、水力発電開発企業と協力し金沙江、瀾滄江、怒江などの流域の開発事前調査を行い、「西電東送」政策に基づき戦略地域建設を全面的に開始すると発表した。
 また昌都国土資源局長によると、昌都地域で、今後5~10年をかけて国家非鉄金属産業基地を設立する。9か所の重点鉱業経済発展区のうち、チベット中部・墨竹工卡多金属鉱業発展区及びチベット北部・塩湖鉱産鉱業発展区は、国家級鉱産資源基地とする。東部鉱業発展区では、2011年に玉龍銅鉱第2期工事が着工され、2015年までに銅精鉱8万t/年、銅カソード2万t/年を生産する予定。
 なお、2010年8月に昌都地区政府は、中国アルミ業公司と鉱産資源分野における戦略的協力協定を締結、第12次5か年計画期間中に100億元を投入し、鉛、亜鉛、銅資源量1,500万tの獲得を目指している。
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中国:財務部、2011年輸出暫定税率発表
 中国財務部は2010年12月15日、2011年の輸出暫定税率を発表した。レアアースでは、これまで暫定税率が設定されていなかった「重量で10パーセント以上の希土元素を含む鉄合金」が新たに分離設定されるなど、下表のような変更があった。
 また、商務部も、2011年の輸出許可企業31社(内訳 流通4社、生産18社、外資9社)を発表、2010年の32社より1社少なくなっている。この1社は現在も継続審査中である。なお輸出割当枠については、まだ関係部署と協議中とされ、発表されていない。
 レアアース輸出政策に関して、商務部は、「中国は責任をもってレアアース資源開発の国際協力を強化し、市場への供給を保障する」と強調している。

暫定税率が変更された品目と税率
(単位:%)
HSコード 品目 2010年 2011年 2010年12月15日発表の変更内容等
28053011 ネオジム 15 25 2011年は暫定税率変更
28053014 ランタン 25 25

2010年は2853019に含まれ25%、2011年は暫定税率は変わらないままコード新規設定

28053015 セリウム 25 25 2010年は2853019に含まれ25%、2011年は暫定税率は変わらないままコード新規設定
28469023 塩化ランタン 15 25 2010年は28469028又28469029に含まれ15%、2011年は暫定税率が25%となりコード新規設定
28469030 ふっ化希土 15 2011年は以下4品目に分割
28469031 ふっ化テルビウム 15 2011年新規設定
28469032 ふっ化ジスプロシウム 15 2011年新規設定
28469033 ふっ化ランタン 15 2011年新規設定
28469039 その他ふっ化希土 15 2011年新規設定
72029990 その他鉄合金 20 2011年は以下2品目に分割
72029991 重量で10%以上の希土元素を含む鉄合金 25 2011年新規設定
72029999 その他鉄合金 20 2011年新規設定
(JOGMEC作成 ただしHSコードの最初の桁が「2」「7」「8」のみ抽出、品目の日本語訳はJOGMECによる仮訳)
(2010. 12. 20 北京 土居正典) 目次へ
中国:中国五鉱集団(Minmetals)、傘下上場企業も含めグループ内再編
 2010年12月16~20日にかけ、これまで噂されていた中国五鉱集団(Minmetals)のグループ内再編の動きが具体化した。これに伴い、五鉱集団が支配的な株式数を保有している従来のグループ内上場企業は、前後して新体制への株式譲渡などが実施されている模様。しかし、まだ全体像としては不明な点も多い。国家資産委員会が進めている中央の重点大型企業について主要業務・上場企業間の業務整理、上場企業の独立経営能力の向上などに基づくものと見られている。
 中国五鉱集団と傘下の中国五鉱有色(Minmetals NF、非上場)は、新たに中国五鉱股分有限公司を設立、従来の中国五鉱有色の資産が新会社に充当され、新会社のもとに五鉱発展と長沙鉱冶研究院などを置く。非上場の支配下グループ企業は、おそらくこれに準じる形で新階層を形成すると思われるが、他のグループ内上場企業が今後どのように株式保有されるかは現時点で不明。また、新会社の中国五鉱股分有限公司が上場されるか否かも現時点では不明である。
(2010. 12. 20 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ
おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負いかねます。

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