チリ:銅機密法、廃止に向けて国会審議 |
メディア報道によると、Piñera大統領は2011年5月16日、現在の銅機密法を廃止し、新たな国防予算を確保するための「新国防財政法」を上程するための署名を行い、同法案は5月20日付で下院に上程された。新法案は、①通常予算、②緊急事態、自然災害の場合の臨時費、③武器調達費から構成される。野党の一部は、同法案を支持しているとされる。同法案は、2011年中に国会で承認された場合、2012年1月1日から発効し、Codelcoは、銅の輸出額の10%を軍に納付する義務から解放され、キャッシュフローの改善、格付けの向上、資金返済能力の改善が期待される。 |
(2011. 5. 22 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ |
チリ:政府補助金により地熱調査を促進 |
メディア報道によると、チリ政府は、非従来型再生可能エネルギー開発の一環として、地熱調査のために85百万$の補助金を支出する。補助金は、地熱調査のための試錐調査を対象としたものでチリ国内20か所で入札を行って実施する。また補助金の一部は、チリ北部での太陽熱、風力発電の導入についての調査にも使われる。また政府は、チリ国内でのエネルギー資源について5.38億Peso(1 US$=約470 Peso)の予算で調査を実施する。チリエネルギー委員会(CNE:Comision Nacional de Energia)によると、チリでの発電コストは石炭が18 US¢/KWh、石油が16 US¢/KWhに達している。 |
(2011. 5. 23 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ |
チリ:Explorator社株主がPucobreの買収を承認 |
メディア報道によると、Explorator Resources(本社:トロント)の株主は、Pucobre(本社:サンティアゴ)が、56.4百万US$でExploratorに対する株式保有比率を100%まで高めるとの合意を承認した。 2011年5月16日に開催されたExplorator特別株主会議において、投票総数の99.91%がこの取引に賛成した。Pucobreは現在、Exploratorの株式を17%保有している。 これにより、Pucobreは第Ⅳ州において、ExploratorがオペレートするEl Espinoプロジェクト(Pucobre 51%、Explorator 49%)の権益を100%保有することとなる。NI43-101準拠の予察的経済性評価では、El Espinoプロジェクトから平均キャッシュコスト1.02 US$/lb(金クレジットを除く)で銅735千t、金82.8千oz(25.8 t)が生産されると試算されている。 |
(2011.05.17 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ |
チリ:Piñera大統領がCODELCO役員を承認 |
2011年5月11日、Piñera大統領は、CODELCOの役員としてMarcos Büchi氏とMarcos Lima氏を承認した。任期は4年間。2009年4月にBachelet前大統領が署名したCODELCOの企業統治改革法に基づき、2010年2月に両氏は役員として任命されていた。 CODELCO役員会は9名で構成され、うち4名は高級ポスト人事審議会(Consejo de Alta Dirección Públic)から推薦される。高級ポスト人事審議会が推薦した残り2名、Gerardo Jofré氏(役員会会長)とJorge Bande氏の任期は2013年5月までとなっている。 高級ポスト人事審議制度(Sistema de Alta Dirección Pública)は、政府専門職の専門性向上を図るため2003年に創設された制度である。 |
(2011. 5. 18 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ |
チリ:Chuquicamata事業所の管理職員が1時間ストを開始 |
メディア報道によると、CODELCOのChuquicamata事業所(チリ第Ⅱ州)の管理職員は、経営者側の新退職プラン推進決定に抗議し、1か月のうち7日間の1時間ストライキを行うことを決定した。経営者側は、最近、Chuquicamata事業所の管理職員90名に対し不要勧告を行っており、2018年に予定している露天採掘から坑内採掘への移行に伴う事業所内の再編手続きの一環として、退職プランの準備を始めていた。 管理職組合は、退職者数を可能な限り減らし他事業所への配置転換を促すため、経営側と協議を行っていた。管理職組合委員長Grimaldo Ponce氏によると、90名のうち12名は既に配置転換されたが、残りの78名については経営者側は退職するよう主張している。一方、組合側は78名のうち45%は配置転換、残りに対しては2010年末に実行された退職プランよりも条件の良いプランを提示するよう求めている。 Ponce委員長によると、経営者側は78名に2010年の退職プランと同じ条件での退職を伝えるレターを送り始めているが、組合側はこの退職プランは前年のプランとは異なり自発的なものでなく強制である、と反発している。 |
(2011. 5. 19 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ |
チリ:下院特別委員会が放棄廃滓ダム調査を完了 |
下院特別委員会は、チリ国内における放棄された廃滓ダムの調査を完了した。 特別委員会の調査は、地元メディアにより閉鎖後20年以上経過した鉱山や工場に起因する多数の環境汚染の存在が明らかにされたことを受け、2011年1月に開始された。今後、問題解決に向けた提案が下院と政府に提出される。委員会は、国内の放棄された全ての廃滓ダムの地図を整備すると共に、義務企業特定への取り組みを提言している。 |
(2011. 5. 20 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ |
チリ:Far West社買収に係るCapstone社株主投票は6月13日に |
Capstone Mining(本社:バンクーバー、以下Capstone社)の株主及びFar West Mining(本社:バンクーバー、以下Far West社)の社債権者による、Capstone社のFar West社発行済み全株式取得承認に関する投票は2011年6月13日に行われる予定である。 2011年4月中旬に両社は、約725百万C$(741百万US$)の正式契約合意を発表した。これが完了すると、Far West社はCapstone社が70%、韓国KORESが30%を出資する新子会社の保有となる。Capstone社とKORESは、Far West社のSanto Domingo酸化鉄・銅・金プロジェクト(チリ第Ⅱ州)開発のための長期的戦略パートナーシップを築くことで合意している。 KORESは、新子会社の株式30%を取得するために、約210百万C$(215百万US$)を出資する。また、KORESはCapstone社の株式約11%を4.35 C$(4.45 US$)/株、総額約170~180百万C$(174~184百万US$)で取得する。 Santo Domingo鉱床は、チリの酸化鉄・銅・金鉱床ベルトに位置し、NI43-101準拠の概測資源量として486百万t、換算品位Cu 0.57%、予測資源量として61百万t、換算品位Cu 0.46%(いずれもカットオフ換算品位Cu 0.25%;換算品位には銅、金、磁鉄鉱を含む)が発表されている。 |
(2011. 5. 23 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ |
ブラジル:Vale、Ferreiro新社長就任 |
Valeは2011年5月19日、役員会の特別会合で、Roger Agnelli社長の後任としてMurilo Pinto de Oliveira Ferreira新社長を推薦し、同社長が5月22日に就任した。また同時にRoger Agnelli社長に対し、Valeを世界的な企業として成長させた点を評価し、円満退職を承認した。 Ferreira新社長は58歳で、Getúlio Vargas 財団(FGV)のサンパウロ校で経営学、同リオデジャネイロ校で経営学修士を専攻後、スイスの国際経営開発研究所(IMD、スイス・ローザンヌ)でM & A特別コースを終了した。これまで鉱山業で30年の経験を有し、直前はVale Inco(現在Vale Canada)社長、及びValeのニッケル・ベースメタル営業部門の役員職にあった。 Ferreira新社長は就任スピーチで、「今後の大規模な投資計画の継続、Agnelli前社長が進めてきた鉱山業に特化した戦略の見直し」について触れ、政府がValeに求めてきた鉄鋼業への進出について、一定の配慮を示した。Agnelli前社長は積極的な海外展開を図り、折しも鉄鉱石価格高騰とも重なりValeの業績を高めてきた。その投資戦略は積極的な海外展開が主体であり、内政を重視する当時のLula政権と対立する場面もあった。ブラジル国内でより付加価値を高める産業育成の必要性も認識されているが、市場関係者からは、鉱山会社であるValeが鉄鋼業へ進出しながら業績を維持できるかを懸念する見方もされている。投資家はValeを鉱山業としてのポートフォリオに組み込んでいるといわれている。これまでの海外展開の継続ならびに国内の鉄鋼業への進出を果たし、いかに業績を伸ばしていくか、Ferreira新社長の手腕が試される。 |
(2011. 5. 23 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ |
ブラジル:Onça Pumaニッケル鉱山、操業開始 |
Valeは、2011年5月16日、Para州Ourilandia do Sul市に位置するOnça Pumaニッケル鉱山と付属するフェロニッケル工場の操業を開始した。Valeのブラジルでの最初のニッケル生産拠点で、初期投資額は28.4億US$である。フェロニッケル生産能力は220千t/年(ニッケル純分53千t/年)で、ほとんどが中国、日本、ドイツ、フィンランド、イタリア等に輸出される。 ValeのAgnelli社長は2011年5月21日付で退任したが、Onça Puma鉱山の開山の他、オマーンのペレット工場操業開始(2011年2月、投資額13.56億US$)、モザンビークの石炭鉱山操業開始(2011年5月、投資額17億US$)、40万t級鉄鉱石運搬船納入(2011年5月)等新たな事業展開により締めくくったことになる。 |
(2011. 5. 17 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ |
ブラジル:Vale、40万t級大型輸送船7隻を受け取る |
メディア報道によると、Valeは韓国Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering Co社に発注していた40万t級の大型鉄鉱石輸送船7隻の納入を受けた。同社によると新造船は全長362 m、幅65 mで、世界最大級クラスである。Daewooへの発注総額は7.48億US$であるが、Valeは同時に中国Rongsheng社に対しても同クラスの輸送船12隻を16億US$で発注している。Valeによると、自前の輸送船を保有することで不安定な輸送コストのリスクを回避でき、コスト削減効果も大きいという。新造船は主に輸送距離の長いアジア向けに使われる。 2012年よりValeは輸送船35隻体制となり、同業のBHP Billiton、Rio Tintoに対抗できる体制が整う。これら大型船の発注は2009年に行われたが、当時のLula政権はブラジル国内での建造を迫ったものの、ValeのAgnelli前社長がブラジル国内の造船能力の不足を指摘し国外発注となった経緯があり、Lula大統領とAgnelli前社長の軋轢が高まる原因の一つとなったとされている。 |
(2011. 5. 17 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ |
アルゼンチン:San Juan州の鉱業ロイヤルティ収入が減少 |
メディア報道によると、San Juan州の2011年1月~4月鉱業ロイヤルティ収入は前年同期に比べ、僅かに減少した。2011年1月~4月の鉱業ロイヤルティ収入は49.92百万Peso(約12.45百万US$)で、前年同期の50.49百万Peso(約13.16百万US$)から1.1%減少した。 この減少は、Gualcamayo金鉱山(Yamana Gold 100%)からの納入額の減少によるものである。同鉱山からの生産は前年同期に比べ28%増加しているものの、販売量が少なかったことが影響した。 San Juan州には金属鉱山としてGualcamayo金鉱山の他にVeladero金鉱山(Barrick Gold 100%)が操業している。2010年の金生産量はGualcamayo鉱山が4.2 t、Veladero鉱山が34.8 tである。 |
(2011. 5. 18 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ |
アルゼンチン:Minera AndesがLos Azules銅プロジェクトのスピンアウトを延期 |
Minera Andes(本社:トロント、以後Andes社)は、Los Azules銅プロジェクト(アルゼンチン・San Juan州)を新会社にスピンアウトする計画を延期する予定である。Minera Andesは、弱含みの金融市場、資金調達の不確実性及び訴訟問題解決の遅れが原因としている。 Los Azules銅プロジェクトは、2007年11月にXstrata Copper(以下、Xstrata)とAndes社のJVとしてスタートし、2009年10月にXstrataが買い戻し権を行使しないことを決定、Andes社がプロジェクトの全権利を取得した。しかし、本プロジェクト北部の一角にXstrataとTNR Gold(本社:バンクーバー、以後TNR社)のオプション契約が適用される場所があり、同契約でTNR社は、Xstrataのオプション権行使後36か月以内(オプション権行使の条件にFS完了含む)に権益を25%まで買い戻すことが可能な権利を有していた。2007年4月23日、Xstrataがオプション権を行使したことから、36か月の買い戻し権行使有効期間は2010年4月23日までとなったが、FSは現在に至るまで完了していない。 TNR社は、同社の買い戻し権が、Xstrataオプション権行使後36か月の制限を受けるものではないことを2008年10月に初めて要求した。特に、買い戻し権行使期間の条項はXstrataが挿入したもので、TNR社側はそれを見落としており、Xstrataが参入を行っている何年もの間発覚しなかったことを訴えた。その後、2010年4月1日、Andes社は、加・BC州最高裁判所において、2010年4月23日以前にTNR社より送られた如何なる買い戻し通知も無効であり、TNR社が買い戻し権を行使するためにFSの完了は必要でない旨、布告することを求めた。これを受けて、2010年4月23日、TNR社は、FSを完了させる要求を取り下げる代わりに、オプション期間失効前の買い戻し権は同社が有することについて要求した。 ここまでのTNR社の要求については、2010年秋に一つにまとめられ、2011年6月に法廷闘争に持ち込まれる予定であった。しかし、2011年4月、TNR社は申し立て内容の変更を行い、裁判所がそれを認めたため、裁判の開始は遅れることとなった。その変更内容とは、Xstrata及びAndes社は、2007年4月23日にXstrataがオプション権を行使する際にTNR-Xstrata間のオプション契約で要求されていた1百万US$の探鉱支出を完了していない、というものである。TNR社はこの訴えを基に、Los Azulesプロジェクトの一部の買い戻し、あるいは、XstrataまたはAndes社からの賠償を求めている。Andes社はTNR社側の要求を拒否している。 Los Azulesプロジェクトは、アンデス山中に賦存する斑岩型銅鉱床が対象であり、概測資源量として137百万t、Cu 0.73%、Au 0.07g/t、予測資源量として900百万t、Cu 0.52%、Au 0.07g/t(いずれもカットオフ品位Cu 0.35%)が見積もられている。 |
(2011. 5. 20 サンティアゴ 縫部保徳) 目次へ |
ペルー:鉱業コンサルタント、Tia Maria銅プロジェクトの再開に言及 |
2011年5月13日付け地元報道によると、Oscar Frias鉱業コンサルタントは、地元Islay郡の根強い反対によって中止に追い込まれたTia Maria銅プロジェクト(Arequipa県)は未だ進行可能であるが、プロジェクト権益を保有するSouthern Copper社によるプロジェクト実施は不可能であるとの考えを示した。 同氏は、Tia Maria銅プロジェクトの進行は100%可能だが、変わらなければならない点が幾つかあるとし、「先ず第1に企業が変わらなければならない。Southern Copper社はプロジェクトを売却するか、筆頭ではない株主となって権益を保有する等の道が考えれらるが、いずれにしてもSouthern Copper社によるプロジェクト実施の構造は変わらなければならない」とコメントした。次に地元の人々が、自らがプロジェクトに参加している、プロジェクトは地元に属していると感じることのできる仕組みや合意の形成が必要であるとした。また、Southern Copper社によるTia Maria銅プロジェクト中止の原因は、地元に対する理解を深めることのできなかった地域社会対策の失策に加え、大統領選挙の年にプロジェクト進行を決定したことであると分析している。 Southern Copper社のGonzales社長は、同プロジェクトに対して既に4.35億US$を投資したが、ペルー及びメキシコに保有するその他のプロジェクトに重機を移動させることによって投資の大半を回収することができるとコメントしている。一方、同社のLarrea幹部は、Southern Copper社は今後もTia Mariaプロジェクト進行に前向きに取り組む姿勢を表明している。 |
(2011. 5. 23 リマ 山内英生) 目次へ |
ペルー:Xstrata、抗議デモでLas Bambas銅プロジェクトの活動を一時停止 |
2011年5月18日付け地元報道によると、Xstrata Copper社のDragoスポークスマンは、同社に対する抗議行動が発生したことを受けて、労働者の安全を確保できるまでの間、Las Bambas銅プロジェクト(Apurimac県)における鉱業活動を一時停止したことを明らかにした。 同氏によると、抗議行動は5月14日に開始され翌日にも終了する予定だったが、警官隊との衝突で怪我人が発生したことで住民側の姿勢が硬化、抗議行動が無期限化した。抗議行動は、必ずしもLas Bambas銅プロジェクトのみに向けられたものではなく、インフラ整備など政府に対する抗議も含まれている。 Las Bambas銅プロジェクトは、既に環境影響評価(EIA)が承認されており、Xstrtaは2014年Q2の操業開始を目指している。 |
(2011. 5. 23 リマ 山内英生) 目次へ |
ペルー:Candente Copper社、Cañariaco銅プロジェクトに専念 |
2011年5月18日付け地元各紙によると、Candente Copper社(加)は、新会社ExplorerCo社を設立すると発表した。 今後、Candente Copper社は、同社の主要プロジェクトであるCañariaco銅プロジェクト(Lambayeque県)を手元に留める一方、その他のペルー国内の探鉱プロジェクト権益の全てを分社化したExploreCo社に移譲する。分社化によってCandente Copper社はCañariacoプロジェクトの推進に専念する計画となっている。 Cañariaco銅プロジェクトは既にプレFSが終了しており、2015年の操業開始が見込まれている。 |
(2011. 5. 23 リマ 山内英生) 目次へ |
ペルー:Puno県で反鉱業・炭化水素事業デモ継続、県政府は投資中止の条例を発令 |
2011年5月19日付け地元紙等によると、Puno県のYunguyo及びChucuitoで5月9日から道路封鎖等による反鉱業・炭化水素事業デモが行われ、ボリビアとの国境地帯封鎖が継続する中、Puno県知事は、同県内の鉱業・炭化水素事業に対する投資の中止を命じる条例に署名した。一方、Fernandez首相は、閣僚級対策委員会が今日(5月19日)にもPuno入りし、明日(20日)の金曜日には県内の争議は収束するとの考えを示した。対策委員会では抗議デモグループが要求するSanta Ana鉱業プロジェクトの中止、Puno県南部における鉱業・炭化水素権益付与の禁止等について協議が行われた。 なお、同首相は、抗議デモの背景には政治的な意図が存在しているとの見方を示した。これらの状況に関して、ペルー鉱業石油エネルギー協会(SNMPE)のMartinez会長は、Puno県に対して計画されている鉱業・炭化水素プロジェクトの投資総額は30億US$にのぼるとし、投資停止は同県が同額の投資を失うことになることを意味しているとコメントした。更に、現在ペルーでは新たな探鉱活動が不十分なため鉱産物生産量が低下しており、探鉱の増加には投資が必要であるとしたほか、鉱業や炭化水素事業への投資は雇用や経済発展、豊かさをもたらすことを訴えた。一方、ペルー経団連のSpeziani会長は、Puno県の条例は違憲であると批判した。 |
(2011. 5. 23 リマ 山内英生) 目次へ |
加:Noront社、Baosteel社と私募債による約1,740万C$の融資契約を締結 |
Noront Resources Ltd.(本社:トロント、以下Noront社)は、2011年5月16日、Baosteel Resources International(中国政府所有、以下Baosteel社)と私募債による約1,740万C$の融資契約を締結したと公表した。募集期限は2011年6月2日。なお、契約には5%の契約解除手数料が含まれている。 Noront社は、Baosteel社に発行済普通株の9.9%にあたる私募債を各単位0.86 C$で発行。私募債の各単位は普通株1と新株予約権0.5から構成され、Baosteel社は募集期限から24か月の間に普通株を1株1.16 C$で取得することができ、Noront社は約1,740万C$の資金調達が可能となる。私募債の行使により、Noront社の株式保有比率は14.15%に拡大する。また、Baosteel社は取締役1名の任命権と株式保有比率を19.9%まで増やす権利を得る。その際、Noront社は約1,170万C$を追加で得ることとなる。 今回調達された資金は、2015年から2016年の間に商業生産開始を予定しているEagle’s Nestニッケル・銅・白金族プロジェクトのFSに拠出され、またBlackbirdクロム鉄鉱プロジェクトのFSにも拠出される。 |
(2011. 5. 20 バンクーバー 大北博紀) 目次へ |
加:Inmet社、投資会社から約800万株で5億C$を調達 |
Inmet Mining Corp.(本社:ON州トロント、以下Inmet社)は、2011年5月17日、Ellington Investments Pte.Ltd.(Temasek Holdings Ltd.全額出資子会社、以下Ellington社)がInmet社の普通株777万9,692株を5億C$で引き受けたと公表した。Inmet社の発行済み普通株式数は6,932万8,864株まで増加している。 5億C$は、Inmet社が100%権益を保有するパナマのCoblre銅プロジェクトの開発費とInmet社の一般管理費に使用される。また、Ellington社は取締役を1名任命する権利を与えられており、2011年6月27日に行われる株主総会の後に任命される予定である。 |
(2011. 5. 20 バンクーバー 大北博紀) 目次へ |
加:Hathor社、Roughriderウラン・プロジェクトEastゾーンの予測資源量を公表 |
Hathor Exploration Ltd.(本社:バンクーバー)は、2011年5月17日、サスカチュワン州Athabasca盆地に位置するRoughriderウランプロジェクトのEastゾーンについて予測資源量を公表した。 今回公表されたEastゾーンの予測資源量は11.8万t(酸化ウラン(U3O8):11.58% 3,013万lb)で、これまでにWestゾーンにおいて予測資源量4.4万t(酸化ウラン(U3O8):11.03% 1,060万lb)及び概則資源量39.4万t(酸化ウラン(U3O8):1.98% 1,721万lb)が確認されている。 Roughriderウランプロジェクトは、ArevaのMcClean Lake工場から11 km、CamecoのRabbit Lake工場から25 kmに位置している |
(2011. 5. 20 バンクーバー 大北博紀) 目次へ |
加:Pele Mountain社、Eco Ridgeレアアース・ウラン・プロジェクトの採掘リースを取得 |
Pele Mountain Resources Inc.(本社:トロント、以下、Pele社)は、2011年5月17日、同社がオンタリオ州に保有しているEco Ridgeレアアース‐ウランプロジェクトについて、オンタリオ州政府から本プロジェクトに係る採掘リースが同社子会社のFirst Canadian Uranium Inc.に賦与されたと発表した。 採掘リースは、鉱体の存在する範囲を完全にカバーし、2011年3月1日から21年間にわたって有効である。リース料は年間4,651.62 C$である。これによりPele社はEco Ridge鉱床の排他的な採掘権を保有したこととなる。 なお同社は、2009年7月27日に本プロジェクトの地上設備等の設置が予定されている土地について、所有者であるElliot Lake市と21年間の地表権リース契約を締結している。 Eco Ridgeレアアース・ウランプロジェクトは、過去にU3O8が3億lb(約13.6万t)採掘されたウラン旧鉱山の再開発プロジェクトで、現在、2011年Q2の操業開始に向けてスコーピングスタディが実施されている。2011年2月に公表された資源量は、概測資源量で1,430万t(平均酸化レアアース品位0.164%、平均U3O8品位0.048%)、予測資源量で3,310万t(平均酸化レアアース品位0.132%、平均U3O8品位0.043%)であり、概測資源量ではLa~Smの合計品位が1487.32 ppm、Eu~Lu, Y, Scの合計品位が156.27 ppmと算出されている。 |
(2011. 5. 23 バンクーバー 片山弘行) 目次へ |
加:ArcelorMittal、ケベック州Mont-Wright鉄鉱山を拡張 |
ArcelorMittal(本社:ルクセンブルグ)は、2011年5月20日、同社がケベック州で操業しているMont-Wright鉄鉱山及びCartier港の拡張に21億C$を投資することを発表した。 本拡張により、同社カナダ鉱山部門であるArcelorMittal Mines Canadaの鉄精鉱の生産能力は2013年までに現在の1,400万tから2,400万tにまで、また鉄鉱石ペレットの生産能力は現在の920万tから1,850万tにまで増強されるとしている。併せて、本拡張により建設期間中で8,000人、完成後には900人分の雇用が創出されるとしている。 Mont-Wright鉄鉱山は2010年に約20億C$を売り上げており、これは同社の鉄鋼メーカーとの契約額の約半分に相当する。 同社役員のPeter Kukielski氏は、「ArcelorMittal Mines Canadaは同社のもっとも重要な資産である。我々は2015年までに鉄鉱石生産量を1億tにまで成長させると発表しており、今回の拡張はその一部となる。」とコメントしている。 なお、Mont-Wright鉄鉱山の拡張は、本来は2008年の世界金融危機前に予定されていたものであった。 |
(2011. 5. 23 バンクーバー 片山弘行) 目次へ |
ロシア:ニッケル輸出増の一方、銅輸出は激減 |
ロシア連邦税関局の統計によると、2011年Q1におけるロシアの未加工ニッケル輸出は53,100 t(前年同期;51,000 t)であった。これは前年同期比4.1%増である。金額ベースでは14億3,150万$。 このうち53,000tがCIS域外向け、100 tがCIS域内への輸出であった。 一方、2011年Q1におけるロシアからの精錬銅の輸出は4万1,900 t(前年同期;11万9,500 t)であり、前年同期比64.9%の大幅減となった。金額ベースでは8億1,600万$から3億9,630万$まで減少。 このうち4万1,800 tがCIS域外への輸出であった。金額ベースでは3億9,560万$。 |
(2011. 5. 13 モスクワ 大木雅文) 目次へ |
カザフスタン:カザフミスが香港証券取引所に上場へ |
カザフミス・グループ広報部は、2011年6月末までに香港証券取引所への上場を計画している旨を発表している。同グループは、既に香港証券取引所に株式発行目論見書を提出済みであり、6月末までには上場手続きは完了する見通しである。 今回の上場(普通株の新株発行)は、将来の更なる資本調達と、中国及びアジアにおけるカザフミスのポジションを強化し、その長期的な発展の成功を可能にするものであると同社は強調している。 (注)カザフムイス・グループは16か所の開発中の鉱山、10か所の鉱業・濃縮工場、2か所の銅溶解生産コンプレックスを有する鉱山製錬企業。 金、亜鉛、銀、原油を採掘する他、グループ需要に対応するため電力供給と鉄道インフラの企業も傘下に有している。 |
(2011. 5. 19 モスクワ 大木雅文) 目次へ |
ジンバブエ:Zimplats、現地資本引き上げに係る計画をジンバブエ政府へ提出 |
各誌報道によると、Zimplatsの株式87%を保有するImplats(Impala Platinum)のDavid Brown CEOは2011年5月15日の週にロンドンでのプラチナムウィークで講演し、ジンバブエ政府が発表した現地化・経済権限拡大法に関し、「Zimplats社の現地資本引き上げに関しては、既に計画をジンバブエ政府へ提出済みである。」と語った。2011年3月にジンバブエ政府が発表した現地化・経済権限拡大法では、ジンバブエで活動する外国企業は、9月末までに現地資本の比率を51%にまで引き上げることが義務づけられている。また、同氏は「現地化・経済権限拡大の基本的考えは支持するが、51%という数値が適切かどうかは議論の余地がある。投資に当たってのリスクと報酬を勘案した適切な数値であるとは言えない。」とコメントした。 現地化・経済権限拡大法に関しては、最近の他の報道は、Kasukuwere青年開発・現地化・経済権限拡大大臣の発言として、「現地化・経済権限拡大に反対する外国企業は、操業を停止し、国外に退去するべきである。」と報じている。さらに同大臣のコメントとして、「中国やインド系企業は、現地資本引き上げに反対する外国企業の買収を虎視眈々と狙っている。」とも報じている。 ジンバブエ鉱業会議所は5月26日より第72回総会をVictoria Fallsで開催する予定であり、総会においては現地化・経済権限拡大法が主要な議題になる見込みである。総会には、Mpofu鉱山鉱業開発大臣も参加する予定である。 |
(2011. 5. 23 ロンドン 小嶋吉広) 目次へ |
ナミビア:鉱物資源開発の国営企業化の続報:国営企業社長がJV参入比率は未定と発言 |
報道によれば、ナミビアの国営鉱山企業Epangelo Mining社・社長 Eliphas Hawal氏は、同国の鉱物資源開発の国営企業化の閣議決定に関連して、同社がJV等を通じて保有する株式比率は決まっていないことを明らかにした模様である。 同国Katali鉱業・エネルギー大臣は、2011年5月10日付けの声明で、この閣議決定は既得ライセンスには適用されない旨を明言し、国有化への道を危惧する内外からの声に対して打ち消しに躍起になっている。そうしたことから、鉱業界関係者の中では、Epangelo Mining社の新規プロジェクトへのJV参入は10~15%という少ないシェアに留まるとの憶測が飛び交っていたが、Hawal氏は、それは最低水準であるとの認識を示した。 同氏は報道機関に対し、「自由に経営権を行使するためには、10~15%のシェアは最低限必要である。」とする一方で、「理想的には100%のシェアを占めることだが、同社の資本にも限りがあり、出資企業数を増やすためには仕方がない。」との見解を述べた模様である。同社の資本金は現在のところ500万N$:(約6,000万円)とされている。 |
(2011. 5. 23 ロンドン 萩原崇弘) 目次へ |
ナミビア:Katali鉱業・エネルギー大臣、超過利潤税の導入に言及 |
各種報道によると、ナミビアのKatali鉱業・エネルギー大臣は2011年5月17日、ナミビア鉱業会議所(Chamber of Mines of Namibia)の総会開会のスピーチで、同国の鉱物に対する超過利潤税(windfall tax)の導入を検討中であることを明らかにした。Katali大臣は「鉱物資源を管理する私の立場から考えて、好景気時には通常の税及びロイヤルティを超える恩恵を国は享受すべきである。」とコメントした。同大臣はナミビア鉱業会議所及び鉱山会社に対し、国家歳入を増加させるための新たな税制度に関する提案を提出するよう求めたとされている。 ナミビア鉱業会議所のMike Leech会長は「過去に超過利潤税に関する議論はあったが、今回の大臣の発表は、突然のことであった。じっくり話し合っていく必要がある。」と述べている。この発表を受け、ナミビアでウラン探鉱プロジェクトを有するExtract Resources社(本社:パース)のJonathan Leslie CEOは「政府の追加的な税収入は、他のエリアで税が緩和されない限りは実現可能であるとは考えがたい。大臣のコメントは、全体的な税制の改正に関する意見交換をする、という意味で受け取っているが、産業が競争力を保てることは必須である。」と超過利潤税に関する懸念を表明した。 |
(2011. 5. 23 ロンドン 北野由佳) 目次へ |
モザンビーク:Vale、Moatize石炭鉱山を開山 |
Valeは、2011年5月9日、モザンビーク西部Tete州のMoatize石炭鉱山を開山したと発表した。5月8日に現地で行われた開山式には、Armando Guebuza大統領、ValeのRoger Agnelli社長が参加した。当初は原料炭、一般炭合わせて生産能力11百万t/年でスタートし、600 km離れたBeira港から出荷するが、今後、Moatize鉱山から積出港Nacalaまでの鉄道を隣国マラウィ経由で建設し、輸送能力を22百万t/年とする計画もある。当面、従業員は8,000人、拡張計画が始まれば15,000人となり、地元Tete州ならびにモザンビークに与える経済効果も大きい。 同国の石炭資源はポルトガルの植民地時代から知られていたが、1975年の独立後も、1977年~1992年にかけての内乱で経済やインフラが疲弊したこともあり開発が進んでいなかった。Valeは2004年に開発許可を取得し、2009年より開発を始めていた。 |
(2011. 5. 17 サンティアゴ 神谷夏実) 目次へ |
南ア: Shabangu鉱物資源大臣、Kalagadi Manganese社のマンガン・プロジェクト視察 |
南アのShabangu鉱物資源大臣は2011年5月17日、Kalagadi Manganese社(本社:Rivonia、Kalahari Resources社80%所有)のKalagadiマンガン・プロジェクトを視察した。同プロジェクトの鉱山生産量は300万t/年(品位Mn 38%)とされており、2012年中にはマンガン鉱石の生産が開始される予定である。処理能力240万t/年(品位Mn 47%)の焼結プラントも2012年には稼働予定であるが、高炭素フェロマンガンの製錬所(生産量32万t/年)の完成については、予定より一年延期の2013年となっている。各施設の建設が完了すれば、同社は鉱山、焼結工場、製錬所の建設及び運営をする世界初の黒人女性所有の会社となる。 同社のDaphne Mashile-Nkosi会長によれば、製錬所が稼働を始めれば年間110億~120億ZAR(約1,300億円)の収益が見込めるという。Shabangu鉱物資源大臣は「Kalagadi Manganese社は南アの鉱業法実施の模範例である。政府の政策に準拠したプロジェクトであり、南アの原材料の国内における高付加価値化を政府は奨励している。」とコメントした。 |
(2011. 5. 23 ロンドン 北野由佳) 目次へ |
南ア:電力危機再発の懸念がプラチナ価格に影響あり |
業界の専門家らは、南アでの電力危機(power crisis)の再発に対する懸念が、世界のプラチナ価格に影響を与える可能性があるとの見方を強めている。2008年に電力危機が発生した際には、同国の鉱山及び製錬所は数日間操業を停止することを余儀なくされ、南ア経済に多大な被害をもたらした。南アの国営電力会社Eskom社は、電力供給不足を補うため4,600億ZAR(約5兆3,600億円)を投資して、新たに発電所を建設すると発表しているが、専門家の一人は「Eskom社の対策は十分ではないし、時期が遅すぎる(too little too late)かもしれない」と述べている。また電力危機の懸念から、備蓄を確保しようとする動きがあると見ている専門家もいる。 2008年の電力危機以来、鉱業及びその他の産業界は電力需要を自主的に10%カットするよう勧告されているが、この義務化に関する議論が行われているともされる。Eskom社の広報担当者は「電力の平均分配(load shedding)を行わないという保証はできない。鉱山会社に対し、プロジェクトの拡大を断念するよう指示はしないが、新プロジェクトの開始時期は、当社が必要な電力供給をいつ確保できるかに左右される可能性がある」とコメントしている。 |
(2011. 5. 23 ロンドン 北野由佳) 目次へ |
豪:Xstrata、QLD州の製錬及び精錬事業を2016年に廃止 |
2011年5月18日、QLD州で銅・亜鉛事業を展開するXstrata Mount Isa Mines社は、Mount Isa製錬所(21.4万t/2009年粗銅生産量)、Townsville精錬所(27.7万t/2009年銅生産量)を2016年末をもって閉鎖すると発表した。同社のSteve de Kruijff最高操業責任者は、世界における製錬/精錬事業の生産過剰から市場競争が熾烈となっており投資コストが事業コストに見合わないことを理由としているが、3年間の適用除外が認められてきた2008年改正のQLD州の環境規制の延長交渉が響いているとの見方もされている。これに伴い、420名の鉱山労働者が影響を受けると報じられている。 一方で、Mount Isa周辺には資源量で銅587百万t、亜鉛416百万tが賦存するとされている。同社はMount Isaの亜鉛・鉛鉱山の拡張、及び4件の重要な開発プロジェクトに463百万A$の投資を実施中で、また、現在評価中の拡張計画に対して300百万A$を追加的投資することを検討しており、これらの投資にはGeorge Fisher鉱山に274百万A$、Black Star鉱山に113百万A$などが含まれる。 |
(2011. 5. 24 シドニー 原田富雄) 目次へ |
豪:WA州政府は鉄鉱石粉鉱のロイヤルティ値上げを発表 |
2011年5月19日、WA州政府は2011/12年度の予算案を発表した。この中で、鉄鉱石の粉鉱にかかるロイヤルティを、現行の5.625%から2012年7月1日には6.5%に、2013年7月1日から塊鉱と同じ7.5%に引き上げるとした。これに伴い、2012/13年度の税収が378百万A$(399百万US$)に、2013/14年度からは820百万A$(865百万US$)に増加する。WA州政府は、BHP Billiton、及びRio Tintoとの間で3.75%という低いロイヤルティ税率が適用されてきたPilbaraでの鉄鉱石事業に関し、2010年7月1日からは他の鉄鉱石事業者と同様、粉鉱に5.625%、塊鉱に7.5%、選鉱済み鉱石(Beneficiation Ore)に対して5.0%の税率を適用してきたが、この1年の経済情勢を加味して再度粉鉱への課税率を引き上げた。これに関し、JP Morganは、粉鉱のみを扱うFortescue Metals Groupの経営には影響するものの、粉鉱以外を扱うBHP Billiton、Rio Tintoに与える影響は小さいとしている。 しかし、本件は連邦政府との間で問題となっている。連邦政府が2012年7月1日からの導入を目指す「鉱物資源利用税(MRRT)」は、現在及び将来の引上げ分を含めた州政府へ支払うロイヤルティの控除を認める一方で、連邦予算の早期黒字化の観点から州政府がロイヤルティを引き上げることを認めるべきではないとしていて、ファーガソン資源エネルギー大臣は、ロイヤルティ値上げを実施すれば、インフラ案件としてPerth空港への資金援助(2011/12年度の連邦予算案ではGateway WA案件として480百万A$(507百万US$)が計上されている)を凍結する意向を示していた。また、日本の消費税に相当する財・サービス税(GST)のWA州への配分についても、州政府がロイヤルティを値上げした場合は、その点を考慮すると牽制をしていて、今後の動向が注目される。 |
(2011. 5. 24 シドニー 原田富雄) 目次へ |
インド:政府、国営Hindustan Copper社の株式公開を延期 |
2011年5月4日の各社報道によれば、インド政府は、国営非鉄企業Hindustan Copper社の追加株式公開(FPO:follow-on public offer)の実施を、当初の予定時期であった2011年4月~6月から、2011年後半~2012年に延期したと発表した。理由は市況の低迷としている。Hindustan Copper社は国営企業の民営化プログラムにより政府保有株式の売却及び新株発行を行い、政府保有資本比率99.59%を81.45%に引き下げる計画となっている。 |
(2011.5.23 ジャカルタ事務所 高橋健一) 目次へ |
インドネシア: Sorowako鉱山の2011年ニッケルマット生産量は通年ベースで23%増産を目標 |
2011年5月6日の各社報道によれば、インドネシアSorowako鉱山を操業するInternational Nickel Indonesia (Inco)社は、2011年Q1のニッケルマット生産量が前期比8%減となる16,501 tとなったものの、2011年通年ベースでは、過去5年間の年産平均73,000 tに対し23%増となる90,000 tが目標であることを示した。2011年Q1の減産要因は地震や悪天候などの自然条件によるもので、これにより電力供給等が影響を受け生産ラインが一時的に停止したためであるとしている。一方、2011年中に2.32億US$の鉱山への投資を計画しており、これにより生産規模を拡張する予定であり、2011年Q1の減産分も補填した上で通年ベースでの増産が可能であるとしている。Inco社は政府と2025年までのSorowako鉱山に関する鉱業事業契約を締結している。 |
(2011. 5. 23 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ |
インドネシア:加Sherritt社、2011年Sulawesiニッケル・プロジェクトに13百万US$を予算化 |
カナダSherritt International Corp.(以下「Sherritt社」)は、2011年Q1レポートの中で、インドネシアのSulawesiニッケル・プロジェクトの2011年予算として13百万US$を割り当てることを示した。同資金はプレFS作業に使用され、次のステージであるボーリング調査及び環境影響調査を含んだFSに移行する計画である。 Sherritt社は、2010年12月、FSまでの費用1.1億US$の負担を条件に、同プロジェクトの57.5%の権益取得及びオペレーターとなることをRio Tintoと合意している。Sulawesi・ニッケル・プロジェクトは、世界でも有数の規模となるニッケル・ラテライト・プロジェクトとして知られており、Rio Tintoによればニッケル含有量1.62億t、ニッケル年産規模10万tのポテンシャルを有する。 |
(2011. 5. 23 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ |
マレーシア:中国CHINALCO、サラワク州にアルミ精錬プラントを建設 |
2011年5月2日の各社報道によれば、中国アルミ大手CHINALCOとGulf International Investment Group Holdingsは、マレーシア・サラワク州に16億US$のアルミ精錬プラントの建設に関するJV契約に合意した。両者による同プラント建設は2010年2月に基本合意がなされており、これにより新たな一歩を踏み出した。 計画されている製錬プラントは、第1フェーズにアルミ年産能力37万tとし、その後、電力供給量の拡大により年産能力70万tまで拡張する。併せて、両社はサラワク州の電力供給会社であるSyarikat SESCO Berhadと電力供給基本契約を締結し、これにより600 MW超の電力が今後プラントに供給される。 |
(2011. 5. 23 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ |
マレーシア:IAEA、政府からの要請を受け、豪Lynas社のレアアース精製工場建設計画の安全性を評価するための調査団を派遣 |
IAEA(国際原子力機関)は、2011年5月3日のプレス発表で、豪Lynas社のマレーシア・パハン州でのレアアース精製工場建設計画が地域住民に放射性物質の安全性に不安を招いていることについて、マレーシア政府からの要請により専門家からなる調査団を派遣し、同建設計画に関する安全性の評価を行う予定であることを示した。 マレーシア政府代表団がIAEA天野事務局長を訪問し、Lynas社の工場建設計画における放射性物質に関し、国際的な専門家によりその安全性を評価することをIAEAに要請したことに対し、IAEAは、技術協力プログラムを通じ専門家調査団を派遣し、国際安全基準に基づいた評価を行うことによりマレーシア政府を支援することを示した。調査団は5月29日までに派遣する予定である。 |
(2011. 5. 23 ジャカルタ 高橋健一) 目次へ |
中国:2011年の亜鉛製錬生産能力700万t超 |
安泰科によれば、工業情報化部が公表した2011年生産設備淘汰目標では、亜鉛は2010年目標と比べ14.74%増の33.7万tである。国内亜鉛製錬への投資は依然として旺盛で、生産能力が増加する見込みである。2010年の亜鉛生産能力は633.5万tで、生産量は約516万tであった。安徽銅冠、漢中亜鉛業、江西銅業集団などで、新規に生産能力75万tの増加が見込まれ、2011年の生産能力は700万tを突破、生産量も573万tに達する見込みである。 |
(2011. 5. 23 北京 土居正典) 目次へ |
中国:広西有色金属集団、積極的な海外展開 |
現地報道によると、広西有色金属集団の黄瀚影副総経理はメディアの質問に答え、同集団は今後1~3年に海外鉱産資源および加工プロジェクトに3億US$を投資する計画であると言及した。同集団は積極的な計画と着実な海外鉱産資源開発を推進しつつあるが、東南アジアに近いという地の利も生かしつつ、最近は、東南アジアやアフリカで協力関係を築きつつ鉱業権の取得や企業買収など非鉄金属などの資源についてその展開を強化してきた。 黄瀚影副総経理の今後の海外3億US$投資計画は、同社が第12次5カ年計画に際して、2015年までに同集団の10種非鉄金属生産量を100万tに引き上げることに基づくものと見られる。また同副総経理は東南アジアを重点としつつ、中央アジアやアフリカ、ロシア極東、ラテンアメリカなども展開の目標地域であると語っている。 |
(2011. 5. 16 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ |
中国:広東省河源市紫金県で血中鉛濃度異常事件発生 |
現地報道によると、広東省河源市紫金県で血中鉛濃度異常事件が発生した。2011年5月7日以来同県臨江鎮で1,468人が検査を受け、5月19日までに136人に血中鉛濃度異常が見つかったもの。汚染源は同地の鉛蓄電池企業である三威電池有限公司と特定され、現在、同社は生産停止を命じられている。また、環境汚染の発生地が「紫金県」と報道されたことで混乱も生じた模様で、大手鉱山会社の紫金鉱業は、同社とは無関係である旨の声明を発表している。 血中鉛濃度異常事件はとどまるところがなく、2009年は6件、2010年には9件発生している。2010年の9件内6件は鉛蓄電池企業が原因となっていて、2011年3月、環境保護部は11重点省の31の重点地域にある388の鉛蓄電池生産企業に対して監督検査を実施した。この結果、多くの中小規模企業で何らかの問題が発見されている。 中国電池工業協会の王敬忠副理事長によれば、経済成長に伴い、鉛蓄電池の需要も急増しているが、それまで参入条件が比較的緩かったことで企業数も急増した。しかし、小規模で技術水準も低い企業が大量に存在し、現在の企業数は中国間全体で約2,000社に達していると見られている。その内生産許可証を取得している企業は1,800社、生産額500万元(76.8万US$)以上の企業は約200社とのことである。広東・浙江両省では蓄電池企業数としては数百社が存在しているが、多くの企業で検査の結果生産停止が命じられているとも報道されている。 |
(2011. 5. 23 金属企画調査部 渡邉美和) 目次へ |
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